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1.子爵領編
4.量産のためにサイクルを回すことのススメ 後半
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ドンピシャのタイミングで、シンバの「放て!」という声とともに砦からの多数の矢が射られた。先ほどと同じく、3つの付与魔法と魔法の痕跡を隠す隠匿魔法を味方の放った矢にかける。倒れているオークがちょうどよい的となりオーガの一団の背中に矢が吸い込まれて、海面に浮いているハリネズミのようになる。
「蛇壺が効いていますね」
シンバが矢を射ながら、声をかけてきたので、小声で答える。
「そうだな。あの壺を100個ほど味方にも気が付かれないように、海底に埋め込んだからな。壺一つ一つに魔法を展開して、もう数時間たっているから、あの一帯の海底に大型の海壺蛇が、うようよ寄ってきているはずだ。しかも蛇壺は海壺蛇を興奮させ攻撃的にさせるからな。オーク達もあの浅さで海壺蛇に海底に引きずられる経験は初めてだろうな」
海壺蛇は海底に生息し、獲物を捕らえるために海中に出るウミヘビの一種だ。
通常はもっと深いところに生息しているが、海壺蛇の好きなニオイを放つ匂い草を蛇壺に入れて沈めると、その匂いに興奮しながら集まってくる習性があるため海壺蛇を呼ばれている。
同じ匂いフェチの仲間として、俺は以前からお前たちに親近感をもっていたよ。
昨晩、周りの兵士たちに気が付かれないように、蛇壺を100個海底に転移させ、埋め込み、魔法をつかってニオイを増強、海中に広がるようにしておいた。強いニオイを展開させておいたので、オークのような大型の魔獣でも海底へ引きずり込める大型の海壺蛇が多数集まってきているはずだ。
シンバの「放て!」という指示に従い、砦から味方の矢が次々に射られていく。
オークが倒れ掛かり、そこに多数の矢がつき刺さり、その後ろのオークに海壺蛇に海に引きずられバランスを崩し、倒れ掛かり、矢が突き刺さり、という死のサイクルが見事に回っていく。
同じことがオーガの後ろの歩兵隊にも起こり始める。
見事にハリネズミ作成サイクルが回る。
敵が海の外へ向かおうとする。海壺蛇にかみつかれ、敵が海底へ引きずり込まれる。敵が海面で暴れながら倒れる。味方から矢が放たれる。付与魔法3つと隠匿魔法を俺が放つ。矢が鎧や皮膚を突き破り敵の身体中を突き刺さる。海面に多数の矢がささりハリネズミ様の死体が浮く。海壺蛇に海中に引き込まれる。の繰り返し。
『主殿よ。余裕すぎて退屈だな。』
『矢の余裕がたいぶあるからな。これで矢がつきそうだったら、焦っていたよ。』
『その時は別の策を用いただろうよ。久方ぶりの戦だというに、本当に暇じゃよ。主殿よ。』
エクスの愚痴を聞いていたら、緊張がだいぶほぐれてきた。
引き続き、付与魔法と隠匿魔法をかけ続ける。
1時間くらいしたところで、味方の兵士から声が上がった。
「敵軍、撤退開始! 敵軍、撤退開始!」
結局、飛竜騎士団は9割、オーク・歩兵隊の5割ほどが消耗したところで、シスプチン王国側が大型船ごと撤退していく。対する、味方の損害は、飛竜による攻撃で、兵士11名が重軽傷を受けたが、幸いなことに死者はゼロだった。
「飛竜騎士はほぼ殲滅、オークと歩兵隊は半分に削りましたが、魔法師団は、無傷でかえしちゃいましたね」
「今は、このくらいで十分だろう。連中、この後、占領した小島の村で一旦落ち合うかもしれないから、待ち伏せして、落とし前をつけてもらうつもりだよ」
シンバの疑問に、最後の仕上げの種明かしをする。
この後、砦の兵士には、警戒態勢を24時間とらせ、シンバに言って、アルフは初陣の緊張の糸がきれて、寝込んだ事にしてもらった。その間に一人(実際はエクスと二人)で、小島の村へ転移し、落ち延びてきた魔法師団のほとんどと、オーク、歩兵隊と飛竜騎士団の残りを始末した。闇夜にまぎれ、魔王の力を解放し、それこそ塵一つの残さずに殲滅した。
『主殿よ。あー、久しぶりにすっきりしたぞ』
宿便が解決した時のようなセリフを幼い声でエクスがつぶやいたのが、妙に印象的だった。
魔法師団の生き残り5人が這う這うの体で逃げ帰り、シスプチン王国に1400名中生存者5名のみの惨憺たる戦果が伝わるのは、おそくら2か月くらいはかかるだろう。
これでしばらく戦意をくじいてくれたらよいのだけど。
あと、単に、逃がすだけではもったいないので、お土産として、魔法師団の生き残り5人の左目を眼球が好物だというエクスに食べてもらった。といっても、俺が実際には食べたわけではない。5人からの左眼球をもぎ取るように転移させ、封印石のエクス本体のところにどうにか送り込んだ。
5名全員がのたうちまわり叫び、うるさいので、魔法で眠らせ、隷属の宝珠を左目のあったところに埋め込んでおいた。シスプチン王国へ逃げ帰った後も、俺のことは伝えないよう契約魔法で行動を制限しておくともに、今後俺に、敵対行動ができないように保険をかけておくことにした。親切心で、隷属の宝珠を埋め込む際、魔法で、ちゃんと止血と鎮痛処理をしておいたよ。
敵の大型船 2隻? エクスが作り出した亞空間に一旦転移させ預かってもらうことにした。こちらは、島国なので、いつか役立つこともあるだろうという打算が当然あった。
「蛇壺が効いていますね」
シンバが矢を射ながら、声をかけてきたので、小声で答える。
「そうだな。あの壺を100個ほど味方にも気が付かれないように、海底に埋め込んだからな。壺一つ一つに魔法を展開して、もう数時間たっているから、あの一帯の海底に大型の海壺蛇が、うようよ寄ってきているはずだ。しかも蛇壺は海壺蛇を興奮させ攻撃的にさせるからな。オーク達もあの浅さで海壺蛇に海底に引きずられる経験は初めてだろうな」
海壺蛇は海底に生息し、獲物を捕らえるために海中に出るウミヘビの一種だ。
通常はもっと深いところに生息しているが、海壺蛇の好きなニオイを放つ匂い草を蛇壺に入れて沈めると、その匂いに興奮しながら集まってくる習性があるため海壺蛇を呼ばれている。
同じ匂いフェチの仲間として、俺は以前からお前たちに親近感をもっていたよ。
昨晩、周りの兵士たちに気が付かれないように、蛇壺を100個海底に転移させ、埋め込み、魔法をつかってニオイを増強、海中に広がるようにしておいた。強いニオイを展開させておいたので、オークのような大型の魔獣でも海底へ引きずり込める大型の海壺蛇が多数集まってきているはずだ。
シンバの「放て!」という指示に従い、砦から味方の矢が次々に射られていく。
オークが倒れ掛かり、そこに多数の矢がつき刺さり、その後ろのオークに海壺蛇に海に引きずられバランスを崩し、倒れ掛かり、矢が突き刺さり、という死のサイクルが見事に回っていく。
同じことがオーガの後ろの歩兵隊にも起こり始める。
見事にハリネズミ作成サイクルが回る。
敵が海の外へ向かおうとする。海壺蛇にかみつかれ、敵が海底へ引きずり込まれる。敵が海面で暴れながら倒れる。味方から矢が放たれる。付与魔法3つと隠匿魔法を俺が放つ。矢が鎧や皮膚を突き破り敵の身体中を突き刺さる。海面に多数の矢がささりハリネズミ様の死体が浮く。海壺蛇に海中に引き込まれる。の繰り返し。
『主殿よ。余裕すぎて退屈だな。』
『矢の余裕がたいぶあるからな。これで矢がつきそうだったら、焦っていたよ。』
『その時は別の策を用いただろうよ。久方ぶりの戦だというに、本当に暇じゃよ。主殿よ。』
エクスの愚痴を聞いていたら、緊張がだいぶほぐれてきた。
引き続き、付与魔法と隠匿魔法をかけ続ける。
1時間くらいしたところで、味方の兵士から声が上がった。
「敵軍、撤退開始! 敵軍、撤退開始!」
結局、飛竜騎士団は9割、オーク・歩兵隊の5割ほどが消耗したところで、シスプチン王国側が大型船ごと撤退していく。対する、味方の損害は、飛竜による攻撃で、兵士11名が重軽傷を受けたが、幸いなことに死者はゼロだった。
「飛竜騎士はほぼ殲滅、オークと歩兵隊は半分に削りましたが、魔法師団は、無傷でかえしちゃいましたね」
「今は、このくらいで十分だろう。連中、この後、占領した小島の村で一旦落ち合うかもしれないから、待ち伏せして、落とし前をつけてもらうつもりだよ」
シンバの疑問に、最後の仕上げの種明かしをする。
この後、砦の兵士には、警戒態勢を24時間とらせ、シンバに言って、アルフは初陣の緊張の糸がきれて、寝込んだ事にしてもらった。その間に一人(実際はエクスと二人)で、小島の村へ転移し、落ち延びてきた魔法師団のほとんどと、オーク、歩兵隊と飛竜騎士団の残りを始末した。闇夜にまぎれ、魔王の力を解放し、それこそ塵一つの残さずに殲滅した。
『主殿よ。あー、久しぶりにすっきりしたぞ』
宿便が解決した時のようなセリフを幼い声でエクスがつぶやいたのが、妙に印象的だった。
魔法師団の生き残り5人が這う這うの体で逃げ帰り、シスプチン王国に1400名中生存者5名のみの惨憺たる戦果が伝わるのは、おそくら2か月くらいはかかるだろう。
これでしばらく戦意をくじいてくれたらよいのだけど。
あと、単に、逃がすだけではもったいないので、お土産として、魔法師団の生き残り5人の左目を眼球が好物だというエクスに食べてもらった。といっても、俺が実際には食べたわけではない。5人からの左眼球をもぎ取るように転移させ、封印石のエクス本体のところにどうにか送り込んだ。
5名全員がのたうちまわり叫び、うるさいので、魔法で眠らせ、隷属の宝珠を左目のあったところに埋め込んでおいた。シスプチン王国へ逃げ帰った後も、俺のことは伝えないよう契約魔法で行動を制限しておくともに、今後俺に、敵対行動ができないように保険をかけておくことにした。親切心で、隷属の宝珠を埋め込む際、魔法で、ちゃんと止血と鎮痛処理をしておいたよ。
敵の大型船 2隻? エクスが作り出した亞空間に一旦転移させ預かってもらうことにした。こちらは、島国なので、いつか役立つこともあるだろうという打算が当然あった。
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