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4.行政大学校イベント編

4.歳の差で恋人には見えない時は数年待つことのススメ

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 一週間後に、ジェシカさんと出っ歯メガネのリアナさんを入れた4名の魔技研の幹部メンバーと雇われハンター4名と俺という計9名の構成で、調査隊を結成し、「魔獣狩り」予定地まで調査に向かう,,,,,,と思ったらなぜか王女専属魔法師までついてきていた。

「シルフェさん、専属魔法師の仕事はよいんですか?」

 と俺はジト目で魔女姉さんに問いかける。

 「ジェシカちゃんや魔技研の生徒たちになにかあったらいけないから、殿下が私も同行するように勧めてくださったの。殿下は、アルフ君と私が行けば、安心だろうから、とおっしゃってくださったわ」

 シルフェさんの説明を聞きながら、頭の中で3つのシーンの想像した。

 一つ目は、第三王女が自分の信頼する部下をジェシカさんの友達枠で、保険として同行することにしようと、第二王女(顔はわからないけど)と相談するシーン。自分たちの支持母体の一つ、魔技閥・魔技研の失点にならないようにしないと、と言っている場面だ。

 二つ目は、シルフェさんが「私も事前調査に同行するため、1週間休暇をいただきます!」と駄々をこね、第三王女はともかく、護衛騎士や侍女たちが絶句しているシーン。

 そして、最後は、俺が一週間前にナイフで殺したネズミが、外国勢力によって使役魔法を施されていたことをシルフェさんが気が付き、そのことを第二王女、第三王女そして魔技閥のルートン家へ報告し、三者が背後の黒い影とその悪意に焦っているシーン。

 すべてあり得そうだから怖い。

 なぜ、第三王女の俺の護衛面に対する評価が高いのか、と疑問に思ったが、先日の面会の時に、隠しナイフをいつでも投擲できるよう準備していたのが護衛騎士にバレたかもしれない。
 気にはなったが、シルフェさんに、手の内がバレることをさけるため、あえて聞くことはやめることにする。





 今回の事前調査の日程は6日間の予定だ。

□馬車での現地までの往路に2日
□現地調査に2日、
□馬車での現地から王都までに復路に2日

 俺は、事前にトビアスに命じて、パルスキーの魔獣対策組織「赤獅子会」のうち、3名を現地へ先行させている。そして、調査区域から少し離れた場所で待機をさせ、もし、調査隊になにかあったらすぐに駆け付けられるように準備をさせてある。

 今回は、魔技研が独自にプロのハンターを4名雇っているので、赤獅子会の構成員を現地周辺でスタンバイさせていることがバレないように、俺の命じるまで、俺たち調査隊には決して接近させない。

 ハンターというのは、魔獣や魔物を狩ることを生業にしており、ガイドの仕事なども引き受けている。通常は、パーティーを組み、チーム内で役割分担をしている。

 索敵役、前衛、後衛といった位置取りによる役割分担や、剣士、魔法師などの職業別の役割分担など、パーティーごと、さまざまなようだ。





 往路の馬車で2日の旅路に前に、ハンター達を含め、簡単にお互い自己紹介をした後、3台の馬車に分かれる。今回同行するハンター4名は、魔法専門の魔法師ではないが、全員、探知魔法を使えるらしい。ということは魔素の探知に敏感という訳で、魔法の使用に注意が必要だ。

 俺は馬車の揺れを回避する浮遊魔法を使いたいため、魔法師であるシルフェさんとハンターたちとは別の馬車に乗るように画策するも早くも妨害される。





 「アルフ君とジェシカちゃんは私と一緒にこの馬車に乗りましょう」

 年長者として、年の功とばかりに、魔女姉さんが仕切ってくれる。

 こういう時、人見知りの俺は、どうしてよいか困るから助かりはするのだが、シルフェさんの前で魔法を使えない点は大いに困る。

 もちろん、断る言い訳も見つからず、シルフェさんとジェシカさんと俺は同じ馬車に同乗した。

 結局、浮遊魔法を使えず、揺れる馬車をひたすら我慢する。

 「や、やばい。き、気持ち悪い」

 「フフッ。しょうがないわね。私の膝の上に頭を乗せていいわよ」

 と隣に座るシルフェさんがありがたい申し出をしてくれる。

 お言葉に甘えて、俺はシルフェさんの太ももに頭をのせて少し横にする。シルフェさんからやっぱりよい匂いがする。今日も甘い匂いだ。

 そして、俺の頭を優しく手で撫でてくれる。

 あー、なんか、気持ちいい。気分もすぐ落ち着いてきた。俺はやっぱりこの人がいると幸せになれる気がするんだよな。

 『色気づきおって。まったく主殿は』

 エクスが遠くで何か文句を言ってきたが聞こえないことにする。

 馬車の向かいに座るジェシカさんがそれをみて言ってくる。

 「こうしてみると、仲の良い兄弟みたいですね」

 うーん。やっぱり5歳離れていると、恋人というよりも兄弟にみえちゃうか。

 やっぱり、あと3年は待たないとダメだな、と改めて思う。
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