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文化祭の出し物
しおりを挟む体育祭が終わり、少しずつ寂しさが押し寄せてくる今日この頃。
いよいよ、学校生活最後の文化祭の時期になってきました。
この文化祭が終われば生徒会役員総選挙が始まり、許嫁様は生徒会長としての任期が終了いたしますの。
今まで許嫁様のことをお傍で見てきたので、とても寂しく感じますわ……
許嫁様のサポート役に私を指名した時は、私の放課後の自由時間が奪われた恨みが少しあったのですけれど、許嫁様と行動を共にして様々な発見や許嫁様の素敵なところを知ることが出来て、今ではサポート役に私を指名してくださったことに感謝しているくらいですわ!
昨年は私のクラスではカフェをしたので、今年の文化祭での出し物は何が良いのか考えていたところ、許嫁様が「俺の全勢力を挙げて、みんなの希望を実現させよう」とよく分からないことを言っていましたわ。一体、何なんでしょうか……?
クラスのみんながそれぞれ考えている時に、ある生徒が「はいはーい!ベタだけど、お化け屋敷がいいでーす!!」と言い出しました。
そこで、許嫁様は「❝恋のキューピッドが居るお化け屋敷❞っていうのは、どうだろうか」といきなり提案してきました。
お化け屋敷って、来た人に恐怖を与えるものでは……?お化け屋敷なのに、恋のキューピッドとは……?と、私と他の生徒たちがポカン……としていますと、許嫁様が「最近、とあるテーマパークのお化け屋敷に行くと結ばれるという噂があるそうだ。そこで、我々のクラスでも恋のキューピッド役を買って出ようというわけだ」
許嫁様がそう言うと「なんだか面白そう!」「俺もやりたい!」「我がクラスには、生徒会長である篠目様と婚約者の綺羅様がいらっしゃるので、インパクトも話題性も抜群ですわ~!」
と、クラスの皆様が大盛り上がりでお化け屋敷に決定し、許嫁様は「では、俺の全勢力を挙げて何としてでも優勝を目指す!この俺についてきてくれる者は居るか!?」というと
「勿論じゃないか!」「絶対、優勝間違いなしですわ!」と皆様、やる気に満ち溢れていてとても楽しみになってきましたわ!
それぞれ皆様の仕事を割り振り、スケジュールも調整したところでチャイムが鳴り、お昼休みになりました。
「桜、昼休みって誰か先約している人は居るのか?
「いえ、まだどなたともお約束しておりませんわ。いかがなさいましたか?」
「それなら良かった。俺と食堂に行かないか?」
「ええ、喜んで!」
************
「なんとか、文化祭の出し物が決まって良かったな」
「怜さん、やたらと今年は張り切っていらっしゃいますね」
「まぁ、な……」と、歯切れの悪い返答でしたので「どうかされたのですか?」と聞いてみると……
「今年は、さ、桜と同じクラスだからな……格好良いところをみ、見せたかったというか……」
「えっ……!?」
許嫁様は私に格好良いところを見せたくて、あんなに張り切っていらっしゃったのですね!あの頃の許嫁様からは全く想像が出来ない言動ですわね。でも―――
「私は、格好悪い怜さんも……好きですわよ……!」って許嫁様に言いましたが、恥ずかしくて俯いてしまいました。
格好良くても悪くても、許嫁様が素敵なことには変わりませんもの!!
「あ、そ、そう……か?で、でも……す、好きな人には……格好良いところを、見せたい、から……」
私よりも顔を真っ赤にして許嫁様が私を真っすぐ見て言ったので、本当に心臓の音がドッキンドッキンしてうるさかったですわ……!!!
超小型補聴器から「キャ~!篠目様と綺羅様、とっても可愛らしいですわ!!!」
「本当にいつ見ても、絵になりますわ……」「理想のカップルですわね……!」などど、更に恥ずかしくなるような声を拾うものだから、思わず超小型補聴器を外して投げてしまうところでしたわ……!
「じ、じゃあ……俺は先に行くから、桜はゆっくりしてから来るといい……」
早々に食事を終えた許嫁様は、そう言って足早に食堂を後にされました。
感情を表に出してくださるようになって嬉しいと思ってはいましたが、こうも恥ずかしいと感じるだなんて……
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