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黄金プリン様
しおりを挟む待てど暮らせど、黄金プリンの知らせは一向に来ません。
もしや“期間限定”だったのでは……!?
と不安に思っていた、ある日のお昼。
「なっ、なんと……!!」
「やっと、お目にかかれたな」
そこには、黄金プリン様が控えめにいらっしゃいました。
まるで、私に見つけてもらうのを待っているかのような……
私は嬉しさのあまり、3個ほど購入いたしました。
1つはランチ後のデザートに。もう1つは夕食後のデザートに。最後の1つは明日の朝食に。
「流石に、それは食べ過ぎではないのか」
と、黄金プリンを食べている許婚様に言われましたが
「次は、いつお会い出来るかも分からないのですよ!?今ここで満喫しなければ、いつするのです!?」
という、私の迫力ある意見に押され「まぁ……とりあえず、良かったな。買えて」とだけ言って、静かに黄金プリンを食べていらっしゃいました。
いそいそとランチを食べ、いざ!実食。
カップの蓋を開けると甘い香りが漂い、美しいカスタード色をしている黄金プリン様。
スプーンですくって口に入れると、濃厚な卵の風味と牛乳と生クリームでしょうか……クリーミーな味わいが口いっぱいに広がり、とても美味ですわ。
下のカラメルは少し苦味のある味わいで、プリンとの相性も抜群!
甘さも丁度良いので、いくらでもペロリと食べられそうなぐらい食べやすい。
「はぁ……幸せですわねぇ」
「そうだな。甘い物をあまり好まない俺でも、ここのプリンだけは、ついつい買ってしまうからな」
「まぁ、そうだったのですか」
「あぁ。俺が甘い物を食べる時は黄金プリンと、桜のお手製スイーツぐらいだからな」
「えっ……!」
私が許婚様の為にたまにスイーツを作るのですが、スイーツをあまり好まないので甘さにはとても気を遣っています。
レシピ通りに作れば、見栄えも味も美味しいのですが、許婚様の為に調整する時はレシピに書いてある量を減らしたり調整して考えて作らねばなりません。
大変な作業ですが、許婚様の喜ぶお姿を見た時から私は、許婚様に甘い物を少しでも食べてもらいたいと奮起しておりました。
何故なら、甘い物には疲れを癒やしたり幸せを運んできてくれるからです。
スイーツの甘さが、少しでも己の固まった心を溶かすように。
ふぅ、とひと息つけるように。
めちゃくちゃ甘いと逆にしんどくなって来るので、バランスが難しいのですが許婚様が私のお菓子をちゃんと食べてくださっていることを知れて嬉しくて、とても幸せですわ!
「もしかして、ご迷惑になっていたりしてないか……とても不安でしたの。何だか、押し付けているような気もして……」
「そんなことはない!桜が作るから、食べるのだ」
「怜さん……!」
「お前の作ったものは、例え甘ったるくても誰にもやらん!俺が食べる」
「あっ、ありがとう……こざいます」
「あっ、いや……別に……」
何だか、恥ずかし過ぎて気まずくなってしまいました。
まさか、許婚様がそんなことを言うとは思っていなかったので、びっくりしました。
でも良かったです、迷惑だと思われていなくて。
少しでも、許婚様の癒やしになっていますように。許婚様の楽しみの1つになっていますように。
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