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最終学年
しおりを挟む春───
桜が満開で、花びらがひらひらと舞い踊り暖かな香りがする、この季節。
とても好ましく思います。
読者の皆様、お元気でいらして?
ごきげんよう。桜川 綺羅は相変わらず、健在ですわ!
そして───
「桜、おはよう」
「怜さん!ごきげんよう」
私の許婚・篠目 怜さんも、ご健在ですわ。
「今日から3年生だな」
「そうですわね!」
「クラス割りは、どうなっているのだろうな」
「もしかして、一緒のクラスだったりして」
相変わらず、他愛のない話をしながら登校しております。
「あれが綺羅様……!」
「篠目会長様……今日もステキッ!!」
「あらあらぁ、新入生にまでファンが出来てしまうだなんて……私たち有名人ですわね」
「俺は別に気にしてなど、いない」
「そうなんですの?手振りの1度や2度、されてみては如何です?」
「俺のキャラではないので、却下だ」
「まぁ……!ギャップ萌えというやつで、人気爆上がりになるでしょうに」
「な、なんだ?ば、爆……爆上がり?」
「人気がすごく上がるという意味ですわよ!知らないのですか?」
(爆上がりって、今や死語なのでしょうか……?)
「いや……存じないな……」
「ネットで、流行りの言葉が載っているんですの!」
「俺に流行り言葉は必要ないからな……」
「流行りに乗るというのも、1つの社会勉強ですわよ」
「いや、遠慮しておく」
「むぅ!」
「本日も、仲睦まじい姿が拝めたぞ」
「あの二人、いつも輝いて見えるわね~」
などとコソコソ話していらっしゃっても、いつもの超小型補聴器で拾っておりますので、ご安心を!!
今日も朝から、耳が幸福の音で溢れ返っておりますわ♪
早速、許婚様と共に校内に貼り出されたクラス割りを見に行きました。
「う……人集りで見えませんわね……」
「ちょっと、すまない。通してもらえないか」
流石は生徒会長様である、許婚様。一声掛けるだけで、他の生徒たちが捌けてくださいました。
「綺羅様に気付かず、ご無礼を……!」
「いえいえ!お気になさらず。皆様も気になって見ていらしたのに、お邪魔して申し訳ありませんわ」
「いえ、何もそんな……!」
そこまでして謝らなくても……
「あっ、ごめんね☆」
「いいよ、いいよー☆」
ぐらいの会話をしてみたいですが、この学園ではその可能性はゼロに近いですわね……
憧れは憧れのまま、終わる。ですわね……
「おっ、クラスが同じだぞ。桜」
「へっ!?どこ?どこですの!?」
「あそこだ。A組」
「まぁ……!」
私の予想が当たるだなんて……!許婚様と同じクラスだなんて、生まれて初めてですわ!
うちの学園はA~E組まであるのに、同じクラスになれたのは奇跡ですわ。
これは幸先が良いですわね!最後のイベントに、最後の登下校……
どの場面を取っても“最後”の言葉がつく学年に、許婚様と共に過ごせるだなんて……幸せ以外の何物でもありませんわ!
これなら、嫌いな勉強も頑張れますわね。(多分)
「おはよ~、怜」
「あ、巧幡じゃないか」
「俺は、どのクラスかな~?っと……」
巧幡くんは、クラス割りで自分のクラスを見つけたようですが固まっておられる……?
一体、どうされたのでしょうか。
しばらく、巧幡くんは放心状態になっていたので
「大丈夫か?おーい、巧幡!」
と許婚様が声を掛けて、現実世界へと強制的に連れ戻しました。
「あ、いや……麗華と一緒のクラスだなぁって思って……」
「藤山ぁ?」
「あ、本当ですわ!!」
「何を騒がしくしていらっしゃるの?」
「噂をすれば、何とやら!麗華さんですわ」
「やぁ、おはよう」
「あら、ごきげんよう」
「れ、麗華……お、おはよ」
「ご……ごきげんよう」
「良かったですわね!巧幡くんと同じクラスですわよ」
とコッソリ耳打ちすると、麗華さんは顔を真っ赤にしていらっしゃいました。
私も許嫁様と同じクラスですし、麗華さんも巧幡くんと同じクラスになることが出来て、幸先良いスタートが切れました。
今年の春はとてもツイているので、今日は学食にて少しお高めのランチでもいただこうかしら。
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