金喰い虫ですって!? 婚約破棄&追放された用済み聖女は、実は妖精の愛し子でした ~田舎に帰って妖精さんたちと幸せに暮らします~

アトハ

文字の大きさ
8 / 14

8. こうして、国に訪れた大災厄は防がれたのでした

しおりを挟む
 お母さんは、錫杖を厳かに振り、舞いを踊ります。
 こんな緊急事態にも関わらず、堂々とした美しい佇まいで。

 ――やっぱりお母さんはカッコイイ!

 妖精の愛し子と呼ばれても。
 妖精さんとお喋りして全部お任せ~、なんてかっこよくない!

 お母さんの雄姿を見て、居ても立っても居られなくなり。
 聖女らしいことをしたい! と両手を合わせて、祈りのポーズを取りました。


「妖精さん、私の声が聞こえるなら――」

『もちろん聞こえてるよ~』
『そんなことよりはやく邪竜を倒すの~』

「……儀式だから。
 ほんの少しだけ付き合って?」

『面倒だよ!』
『いつものアルシャの方が好きなの~』

 お母さんを真似して儀式を行おうとしましたが。
 元気な妖精さんが、じゃれついてきたので断念。


「でも……。
 皆が頑張ってるのをここで見てるだけなんて」

『それなら応援して~?』
『アルシャの応援があれば、もっと頑張れるの~』

 聖女の役割の本質は、堅苦しい儀式ではなく。
 何を置いても妖精が望むものを差し出すこと。
 それを思い出します。


「力を貸してくれてありがとうございます。
 みんな、頑張って!」

『わ~い。アルシャのために頑張るよ!』
『邪竜なんて、ぎったんぎったんにしてやる~』

 飛び立っていく妖精さんを笑顔で眺め――


 直後、妖精さんたちによる凄まじい魔法が発動。
 七色の輝きが発現すると同時に邪竜を襲い――

 5分後には、跡形もなく邪竜はこの世から消滅していました。
 妖精さんの本気。見るのは初めてですが、ここまで圧倒的な力だったとは。


「これが選ばれし聖女。妖精の愛し子か……」

 あまりのことに、しばらくは呆然としていた兵士たちですが。


「やった~!
 聖女様がやって下さったぞ~!」
「助かったんだ~!!」
「うおーーー!」

 やがて巻き起こるのは、兵士たちの雄叫び。
 こうして、国に訪れた大災厄は防がれたのでした。



◇◆◇◆◇

「なぜ、あの金喰い虫がここに?」

 一方、その様子を影で苦々しく見ていた人物がいました。
 魔法の研究を推し進め、自らの手柄としていた宰相とその息子。
 そして宰相の支持する第三王子。


「たまたま我々の開発した魔法具の調子が悪かったにすぎん。
 所詮、奴は祈る真似事をしたにすぎん!」

 カアッと目を見開く宰相。

「なぜあんな見え見えの芝居に引っかかるのか。
 結局、邪竜を倒したのも奴ではない、どこからか現れた魔法だったではないか!
 聖女の力なぞ噓っぱちだ!」

 ブツブツと機嫌が悪そうなガマガエル顔の宰相に、息子も相槌を打ちます。

「どうするんだ?
 兵士たちは、聖女の祈りとやらをすっかり信じ切っているようだぞ?」
「目を覚ましてやるためには仕方ない。
 かくなる上は――」


 不安げな王子を安心させるように。
 ガマガエル顔の宰相は、ニタァと気色悪い笑みを浮かべたのでした。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2025年10月25日、外編全17話投稿済み。第二部準備中です。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

自称聖女の従姉に誑かされた婚約者に婚約破棄追放されました、国が亡ぶ、知った事ではありません。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。 『偽者を信じて本物を婚約破棄追放するような国は滅びればいいのです。』  ブートル伯爵家の令嬢セシリアは不意に婚約者のルドルフ第三王子に張り飛ばされた。華奢なセシリアが筋肉バカのルドルフの殴られたら死の可能性すらあった。全ては聖女を自称する虚栄心の強い従姉コリンヌの仕業だった。公爵令嬢の自分がまだ婚約が決まらないのに、伯爵令嬢でしかない従妹のセシリアが第三王子と婚約しているのに元々腹を立てていたのだ。そこに叔父のブートル伯爵家ウィリアムに男の子が生まれたのだ。このままでは姉妹しかいないウィルブラハム公爵家は叔父の息子が継ぐことになる。それを恐れたコリンヌは筋肉バカのルドルフを騙してセシリアだけでなくブートル伯爵家を追放させようとしたのだった。

奈落を封印する聖女ですが、可愛い妹が追放されたので、国を見捨てる事にしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 ファンケン公爵家の長女クラリスは本来家を継ぐ立場だった。だが奈落の底に住む魔族を封印する奈落の聖女に選ばれてしまった。聖なる役目を果たすため、クラリスは聖女となり、次女のエレノアが後継者となった。それから五年、両親が相次いで亡くなり、エレノアは女性ながら公爵となり莫大な資産を引き継いだ。その財産に目をつけたのが、日頃から素行の悪い王太子アキーレヌだった。愛人のキアナと結託し、罠を仕掛けた。まず国王を動かし、エレノアを王太子の婚約者とした。その上で強引に婚前交渉を迫り、エレノアが王太子を叩くように仕向け、不敬罪でお家断絶・私財没収・国外追放刑とした。それを奈落を封じる神殿で聞いたクラリスは激怒して、国を見捨てエレノアと一緒に隣国に行くことにしたのだった。

最優秀な双子の妹に婚約者を奪われました。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 第2章、後日談と悪女の陰謀反撃を書くことにしました。

異母妹に婚約者を奪われ、義母に帝国方伯家に売られましたが、若き方伯閣下に溺愛されました。しかも帝国守護神の聖女にまで選ばれました。

克全
恋愛
『私を溺愛する方伯閣下は猛き英雄でした』 ネルソン子爵家の令嬢ソフィアは婚約者トラヴィスと踊るために王家主催の舞踏会にきていた。だがこの舞踏会は、ソフィアに大恥をかかせるために異母妹ロージーがしかけた罠だった。ネルソン子爵家に後妻に入ったロージーの母親ナタリアは国王の姪で王族なのだ。ネルソン子爵家に王族に血を入れたい国王は卑怯にも一旦認めたソフィアとトラヴィスの婚約を王侯貴族が集まる舞踏会の場で破棄させた。それだけではなく義母ナタリアはアストリア帝国のテンプル方伯家の侍女として働きに出させたのだった。国王、ナタリア、ロージーは同じ家格の家に侍女働きに出してソフィアを貶めて嘲笑う気だった。だがそれは方伯や辺境伯という爵位の存在しない小国の王と貴族の無知からきた誤解だった。確かに国によっては城伯や副伯と言った子爵と同格の爵位はある。だが方伯は辺境伯同様独立裁量権が強い公爵に匹敵する権限を持つ爵位だった。しかもソフィアの母系は遠い昔にアストリア帝室から別れた一族で、帝国守護神の聖女に選ばれたのだった。 「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」「ノベルバ」に同時投稿しています。

愛しい義兄が罠に嵌められ追放されたので、聖女は祈りを止めてついていくことにしました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  グレイスは元々孤児だった。孤児院前に捨てられたことで、何とか命を繋ぎ止めることができたが、孤児院の責任者は、領主の補助金を着服していた。人数によって助成金が支払われるため、餓死はさせないが、ギリギリの食糧で、最低限の生活をしていた。だがそこに、正義感に溢れる領主の若様が視察にやってきた。孤児達は救われた。その時からグレイスは若様に恋焦がれていた。だが、幸か不幸か、グレイスには並外れた魔力があった。しかも魔窟を封印する事のできる聖なる魔力だった。グレイスは領主シーモア公爵家に養女に迎えられた。義妹として若様と一緒に暮らせるようになったが、絶対に結ばれることのない義兄妹の関係になってしまった。グレイスは密かに恋する義兄のために厳しい訓練に耐え、封印を護る聖女となった。義兄にためになると言われ、王太子との婚約も泣く泣く受けた。だが、その結果は、公明正大ゆえに疎まれた義兄の追放だった。ブチ切れた聖女グレイスは封印を放り出して義兄についていくことにした。

前世水乙女の公爵令嬢は婚約破棄を宣言されました。

克全
恋愛
「余はカチュアとの婚約を破棄する」  王太子殿下に一方的に婚約を破棄されたのは、公爵家令嬢のカチュア・サライダだった。  彼女は前世の記憶を持って転生した、水乙女という、オアシス王国にはなくてはならない存在だった。  精霊に祈りを捧げ、水を湧かせてもらわないと、国が亡ぶのだ。  だが事情があって、カチュアは自分は水乙女であることを黙っていた。  ただ、愛する人や民の為に祈り続けていた。  カチュアとの婚約解消を言い放った王太子殿下は、自分に相応しい相手は水乙女しかいないと、一人の女性を側に侍らせるのだった。

処理中です...