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ガチャ魔導士、追放される

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「レオン、貴様はクビだ!」

 そう俺に言い放ったのは、勇者パーティのリーダーであるユーシアであった。


「どうしてですか!?」
「貴様は勇者パーティの一員でありながら、戦闘にも参加せずに突っ立っていたな!」

 ユーシアは、俺を指さしそんなことを言い放った。


「それはガチャ魔導士は戦闘職ではないからです! パーティが困った時に、いつだってガチャを使って、必要なものを調達してきたではありませんか!」

 俺はガチャ魔導士というジョブに付いていた。
 それは自らの魔力と引き換えに、パーティにそのとき必要なものを提供するというものだ。

 回復薬が不足していれば回復薬を。
 魔力が不足していれば魔力を。
 攻撃力が足りていなければ、超強力な武器を出したりもしていた。
 支援職としては十二分な役割を果たしているつもりなのに、その上、戦闘職として前衛に立つことまで求めるというのか!?


「はっ、聞けば『ガチャ』と言うのは手に入るものがランダムらしいではないか。これまでは、たまたま運が良かっただけだろう? 外れが大半のゴミのようなスキルしか持たないくせに、口だけは立派ではないか!」
「な! ガチャのランダム要素は、ジョブを極めればある程度は排除できます! 俺は修行の果てに、たしかにそのとき必要なものを確実に手に入れる術を見出したんです!」

 そう口にしてもユーシアは、ハッハッハと馬鹿にしたように笑うだけだった。

 いざという時に仕えないゴミのようなジョブ。
 そんな悪評も多く、俺はガチャ魔導士のジョブを極めるために最大限努力してきた。
 そしてようやく手にしたのだ――確率を操り、自らの望む結果を引き当てるすべを。


「とにかく貴様のクビは決定事項だ! 貴様の代わりも、既に決まっている!」
 ユーシアは、自信満々にそう言い放った。

「本当に良いのか? 攻撃力、回復アイテムの準備、その場での判断力……このパーティには、足りないものが山ほどある。俺の【ガチャ魔導士】がなければ、必ず困ったことに――」
「はっはっは! 忠告ありがとよ。さっさと出ていけよ!」

 ユーシアは俺の忠告にまるで聞く耳を持たず、シッシッっとまるで犬でも追い払うように手を振った。
 ……ここまで言われたら仕方ないか。


「分かったよ。そこまで言うのなら、俺はパーティを出ていくよ」

 何を言っても、まるで聞く耳を持たない勇者にはほとほと愛想が尽きていた。
 そうして俺は、勇者パーティを追い出された。



◆◇◆◇◆

 勇者パーティ。
 それは魔王を倒すための使命を帯びた、世界でたった1つの選ばれしパーティだった。
 冒険者としてガチャ魔導士の力を鍛えていたとたら、国王陛下の推薦で勇者パーティに加入することになったのだが――

「やっぱり、俺に世界を救う旅とか似合わないよな。これで、その日暮らしの冒険者生活に逆戻りか~。でも気楽で良いや」

 勇者パーティを支えようと、全力で力を振るってきた。
 毎日、魔力がなくなるギリギリまで、パーティに不足するものをガチャで生み出し続けたのだ。
 追放されたのは悔しいが、それよりも俺にとっては解放感の方が大きかった。


「う~ん。これから、どうしようかな?」

 俺は久しぶりに自分のためだけに、『ガチャ魔導士』の力を使うことにした。



――――――――――――

『ガチャ魔導士』

SKLV:32

排出率(魔力消費:小)
EXR:0%
SSR:30%
SR:40%
HR:20%
N:10%

※ SR以上なら、その時に欲しいものしか出てこない

――――――――――――


「ガチャよ回れ!」

 俺は少しだけ魔力を少しだけ注いでやる。


 ハズレの可能性も、だいぶ減らせたとはいえ……。
 30%はゴミなんだよな。
 確実にいくなら、魔力消費を上げるべきなのだが、確実性を求めるならガチャである意味もない。
 この「何が出るか」というワクワク感もまた、ガチャの醍醐味なのだ。
 な~に、出るまで回せば当たり確率は100%だ。

 お腹すいたから、食事が出てくるとかかな?
 さっさと街に戻りたいから、スピードスターの書とかが出てきても嬉しい。
 そんなことを考えていたが、


「んん……? なんか見覚えのない演出だな――」

 久しぶりに回すガチャは、黄金に輝き派手な演出と共に止まり……


――――――――――――

SSR:ジョブオプション
『ガチャ魔導士』のオプションとして【無限ざまぁガチャ】を手に入れました

――――――――――――


 何だそれ……?

 手に入ったのはジョブの性能を強化するための強化パーツ。
 でもSSRだし、きっと強いのだろう。 
 俺は首を傾げながら、ジョブの強化パーツの説明を読むことにした。
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