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3. 大問題になります。後悔しますよ?

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「それほどの罪を犯したとは思えませんわ」
「未来の国母に対する暗殺未遂だぞ? 国家反逆罪を適用するのに不足はない。
 暴れるかもしれん。衛兵、この者を捉えよ」

 なんとも無茶苦茶な理論です。
 だいたい、王子がカレイドルさんとの婚約を発表したのはたった今。
 その身分を元に既に行われた罪を裁くなんて話は、聞いたことがありません。

 そして、そもそも私はやってない。

「観念しろ、フィーネ! 身分を笠に、やりたい放題していたようだがな!
 フォード王子は、そのような愚かな行為を見過ごさない!」

 出てきた衛兵というのは……あなたですか。
 私を捉えるために出てきた人物を見て、私は思わずため息をつきます。

 登場したのは騎士団長の息子、ランスロット。
 彼もカレイドル男爵令嬢と親しくしていましたね。

 助けを求めようにも、周囲の人はみな遠巻きに見守るだけでした。
 無理もありません。たとえ私を無罪だと思っていても、それを口に出すことは王子に弓を引く行為ですからね。
 ここで提言して聞き入れられるなら、このような事態は起こらなかったでしょう。

「……貴族裁判を要求します」
「さきほどのフォード王子の言葉が聞こえなかったのか?
 魔族領へ追放処分というのは決定事項だ。フォード王子の押印もある」

 裁判の1つもなく、フォード王子の一存で最高刑が下されるですって?
 これまでの国のあり方を揺るがしかねない、最悪の一手だと言えます。

 そのような印象を与えてしまうのは下策もいいところです。
 本当に、フォード王子は何を考えているのでしょう?

「大問題になります。後悔しますよ?」
「ふん。その捨て台詞、貴様の最後の言葉として胸に刻んでおこう」

 何も考えていないのでしょうね。
 フォード王子に考え直すよう伝えますが、帰ってきたのは馬鹿にするような一言。 

 カレイドルさんが、口だけを動かして「ざまぁないわね」と伝えてきました。
 キッと睨みつけると

「その顔は二度と見たくない、早く連れていけ!」
「おい、早く来い!」

 王子がカレイドルさんを庇うように移動。
 反論するだけ無駄なのでしょうね。
 
「乱暴に引っ張らないで下さいませ。女性のエスコートすらできませんの?」
「減らず口を……」

 乱暴に私を引っ張るランスロットの手を振りほどきます。
 忌々しげな口調のランスロットをよそに、私はこれからのことを考えます。

 ――魔族領への追放処分

 ……いやいや、まだ死にたくないですよ?
 パーティー会場を出ると、待っていたのは王室御用達の馬車。
 最後の頼みの綱と御者を見ますが、

「早く乗れ! まったく、こっちは休日だってのによ~」

 だ、だめだこれ。
 何の疑問も持たない様子の御者を見て、私は遠い目になります。

 馬車に乗り込むと、ガッチリとした兵士が両脇に乗り込んできました。
 逃げられないように、警備は厳重にということでしょうか。
 馬鹿王子の処分に味方する兵士が多かったことに驚きです。

 ――未だに現実感を欠いたまま。

 状況に翻弄される私を嘲笑うように、馬車は動き出しました。 
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