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第四十五話
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「アルスさん。助かりました」
「ここにいるってことは冒険者になったんですね」
「えぇ。冒険者学校を出て先ほど試練の洞窟を攻略したところです」
「へぇ。他にメンバーがいないってことはレイドでなくて単独パーティーでなのかな?」
「はい。でも色々反省点が見つかりました」
一歩間違えば、今こうして話すこともできなかっただろう。
「多かれ少なかれ冒険者は失敗しながら学んでいくものだよ。生きていればいくらでもやり直しは効くさ」
冒険者の死亡率というのは結構高い。
特に初心者の迷宮での死亡率は5割を超える。
冒険者組合も少しでも冒険者の死亡率を抑えようとはじめたのが冒険者学校であった。
「ねぇ。リーシアそろそろそちらの方を紹介してくれないかしら?」
そう言って夕闇のメンバーが寄ってくる。
「こちらはAランク冒険者のアルスさん。以前、お会いしたことがあってね」
「アリスです」
「ラーシャです」
「ミリスといいます」
「はじめまして。クラン栄光の剣でリーダーをしているアルスです」
クランは複数の冒険者パーティーが集まった形だ。
目的は様々だが多くのクランはダンジョンの攻略を目指している。
アルス達、栄光の剣もダンジョン攻略を掲げ国内でも有数のクランでその庇護下に入りたい冒険者は後を絶たない。
しかし、加入を許されるのは極限れらた人だけだ。
実力は勿論のこと人柄も重視される。
街で問題を起こされればダンジョン攻略どころの話ではないからだ。
ガインと呼ばれた男もAランクパーティーを率い黒龍という名のクランに所属している。
しかし、こちらは何かと問題を起こすことで有名で様々な噂が後を絶たない。
調査段階ではあるが先ほどの人身売買にも噛んでいると目されている。
では、何故捕まらなかったかというと証拠がなかったからだ。
疑わしくも証拠なく処罰を下せば法が意味をなさなくなる。
「4人はしばらくパーティーだけで挑むのかな?」
「えぇ。そのつもりです」
「そう言うことならこれを」
アルスが取り出したのはビー玉サイズの宝珠だった。
「これは?」
「転移の宝珠だよ。使い捨てだけど魔力を込めれば一瞬で地上まで戻ってこれる」
転移の宝珠は一定ランク以上のダンジョンの宝箱に入っている。
それなりに高額で取引される人気商品だ。
「よろしいのですか?」
「うん。攻略祝いだと思って持っていて」
難易度の高いダンジョンに籠っていればいくつあっても足りないだろう。
そのうちの一つをくれると言うのはリーシア達の身を案じてのことだった。
「ここにいるってことは冒険者になったんですね」
「えぇ。冒険者学校を出て先ほど試練の洞窟を攻略したところです」
「へぇ。他にメンバーがいないってことはレイドでなくて単独パーティーでなのかな?」
「はい。でも色々反省点が見つかりました」
一歩間違えば、今こうして話すこともできなかっただろう。
「多かれ少なかれ冒険者は失敗しながら学んでいくものだよ。生きていればいくらでもやり直しは効くさ」
冒険者の死亡率というのは結構高い。
特に初心者の迷宮での死亡率は5割を超える。
冒険者組合も少しでも冒険者の死亡率を抑えようとはじめたのが冒険者学校であった。
「ねぇ。リーシアそろそろそちらの方を紹介してくれないかしら?」
そう言って夕闇のメンバーが寄ってくる。
「こちらはAランク冒険者のアルスさん。以前、お会いしたことがあってね」
「アリスです」
「ラーシャです」
「ミリスといいます」
「はじめまして。クラン栄光の剣でリーダーをしているアルスです」
クランは複数の冒険者パーティーが集まった形だ。
目的は様々だが多くのクランはダンジョンの攻略を目指している。
アルス達、栄光の剣もダンジョン攻略を掲げ国内でも有数のクランでその庇護下に入りたい冒険者は後を絶たない。
しかし、加入を許されるのは極限れらた人だけだ。
実力は勿論のこと人柄も重視される。
街で問題を起こされればダンジョン攻略どころの話ではないからだ。
ガインと呼ばれた男もAランクパーティーを率い黒龍という名のクランに所属している。
しかし、こちらは何かと問題を起こすことで有名で様々な噂が後を絶たない。
調査段階ではあるが先ほどの人身売買にも噛んでいると目されている。
では、何故捕まらなかったかというと証拠がなかったからだ。
疑わしくも証拠なく処罰を下せば法が意味をなさなくなる。
「4人はしばらくパーティーだけで挑むのかな?」
「えぇ。そのつもりです」
「そう言うことならこれを」
アルスが取り出したのはビー玉サイズの宝珠だった。
「これは?」
「転移の宝珠だよ。使い捨てだけど魔力を込めれば一瞬で地上まで戻ってこれる」
転移の宝珠は一定ランク以上のダンジョンの宝箱に入っている。
それなりに高額で取引される人気商品だ。
「よろしいのですか?」
「うん。攻略祝いだと思って持っていて」
難易度の高いダンジョンに籠っていればいくつあっても足りないだろう。
そのうちの一つをくれると言うのはリーシア達の身を案じてのことだった。
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