猛焔滅斬の碧刃龍

ガスト

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1章【真実編】

第80話・真実。②

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「──彼の名はオーガ。オーガ・ゲイルガランド・フェイスタンだ。君には、『次元を司る神』だとか言ってたんじゃないかな?」

「あぁ、そんな感じだったな。⋯ただ、なんとなく『違うな』とは思ったけど」

「違う⋯?なんでそんな事が分かったの?」

「⋯⋯なんでだろうな?勘かもしれない」

「⋯⋯。まぁいいよ。話を戻そう──⋯」





⋯──“力の性質”の違い、って所からだったね。
まず、私達の様な『ある世界に存在する生命体』と、神っていう『それ以外』の存在がいる訳だ。

問題なのは『神の力』には、『神の力』でしか対応出来ないって事だね。オーガが私から奪った力は、彼に順応しちゃって彼のモノになっちゃたし。

だからこそ、オーガの『攻撃転送の能力』には手出しが出来ないって話なんだ。こっちからの“干渉”が出来ない以上、『能力』を封じる事も出来ないからね。

けどね、それはあくまで『防御』の話。
例えば、オーガが1つの島を破壊したとしても、それは単なる『自然の破壊』だから私や『魔王』の力で元に戻せるんだ。

つまりは、攻撃力100・防御力∞と、
攻撃力0・回復力10000くらいの戦いが起きている状態だ。

⋯ただ、私は力を失っているから論外として、『魔王』もオーガ程長生きじゃないんだよ。ハッキリ言って、私にとってこの戦いは『魔王』の力ありきで、彼が力尽きたら終わりなんだ。

⋯⋯と、ある時の私は気が付いた訳で。
力を使い果たしかけたオーガが実行した『とある作戦』に、私は目を付けた。『異世界から、魂を呼び寄せる』作戦にね。

初めにオーガは、別世界の技術⋯⋯つまり、『記憶』を保持したままの人間を寄越し、それを武器に魔王に対抗しようした。
けど、それは失敗。

次は、敢えて力を分け与える事で、それぞれが『力を高める』という点に狙いを定めた。⋯だけど、呼び寄せた人間達は、悉くが力に溺れ、未熟なうちに魔王や私の前に散っていった。

そして、その間。
所謂、『転生者』を研究するにあたって、私は気が付いた。
彼らの中に、オーガと同じ『神の力』が混ざっている事にね。
つまり、オーガの『攻撃転送の能力』をどうにか突破できる鍵を見つけたんだ。

⋯ただ、それでも一筋縄ではいかなかったけど。
『魔王』は、手っ取り早く『転生者』を操ってオーガにぶつけようと試したんだけど、その辺は考えられてたみたいで。

オーガは、転生者が刃向かってきた場合に、彼らが『自爆する』様に仕組んでいたんだ。付け加えるなら、『自我を失った後に、力をオーガに吸い取られてから』だね。

まぁ私も、オーガならそれくらい考えてるだろうって事で動いてたんだけど。

私か研究を急いだのは、オーガが『転生者』にしている、その『支配』を解除する方法なんだ。それさえ何とかできれば、あとはどうとでもなるからね。

⋯⋯けど、ここで問題になったのが、“力の性質”の違いだ。
神と人間の力⋯ここでは魔力ね?

神と人間の力が違う様に、『私』と人間の魔力も違うんだ。
私の力が完璧な状態なら、そんなの気にもしない問題なんだけど、何せ力を失った後に気が付いたからねぇ。

暫くは困ったもんだよ。
まぁ、それはいいとして。

私はこう見えて、貴方と同じなワケよ。
つまり、『魔物』って事なんだけど。『魔物の魔力』と『人間の魔力』っていうのは大きく違くて、魔物が『人間に作用する魔法』を作り出すのは、物凄く大変なんだ。

だから、私は待っていたんだよ。
オーガが、どこかのタイミングで『魔物の転生者』なんて作ったりしないかなーって。

⋯⋯言いたい事は、分かるね?
君と初めてあった日、私はその『支配を解除する魔法』をかけたんだ。⋯心当たりがあるかは分からないけど、君は『呪い』や『精神の支配』が効かない様になっているんだよ。

──そして、だ。

オーガに対抗できる様、君には力をつけて欲しかった。
だからこそ、今まで君に『成長を促す』を出来事が起きるようにしていたんだ。

例えば、君がシャルフ・ガムナマールの群れと戦った時。
あの戦闘の直前に、君は私の手紙を読んだよね?

⋯ごめんね。
あの手紙は、細工をしていたんだ。『強い怒り』を発生させる事で、君に内なる魔力の存在に気がついて欲しかったんだよ。

他にも、君の命を脅かす様な人達との出会いもあった筈だ。
それらは、全て『君の成長』の為。そして、『成長した君』にオーガを打ち倒してもらう為、私が仕組んだ事だったんだ。
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