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砦終了~新入生編
214話『ポアソン サイド 1』
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※ポア回から新章へ。
視点が変わります。
三人称っぽいポアソン視点? です。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
エミリア達がエリクサーを作成し、それが無事にポアソンの手に渡ったのは
2日後のことだった。
雪が積もる森の中を悠々とかける美男子が2人。
一人は白銀のオカッパ頭に小さめの丸メガネをかけた青年だ。
服装はゆったりとした東方風の袖の長い服だ。
もう一人は、クリーム色のマッシュルームカットに燕尾服の青年。
ポアソンである。
ポアソンは、目の前を走る人物を見つめ、ため息をつく。
自分の目の前を走る人物は、知的なイメージとは裏腹に、走る速度は
後ろから着いて行く自分と同じ速度。
ポアソンは目の前の男性、アスタロットにずっと疑問を浮かべている。
アスタロットは自分よりも立場は上であり、命令に従うのはいい。
だけど、この人物の行動は急に説明もせずに何かを成そうと実行するのだ。
その結果が現在の雪積もる森を目的も分からずに進んでる現状であった。
行動が読めないし、話す時はいつも質問を投げかける前に
質問の答えを言われる。
逆にまったく関係のない答えというか、質問を無視される場合もあるのだ。
今回の場合は無視だった。
それに、魔族の地にいる間、アスタロットが素早く動いている所など、
一度たりとも見たことが無かった。
現在なぜそんなに動けてるの? その動きはどこで習ったの?
などの疑問がわいてくる。
太古の預言者だとベリアル様は言っていた。
ベリアル様曰く、魔族の中でも古参のジイ様達は、
魔族の中で一番多く歳を取っているのはアスタロットだろうと語った。
語ったというのは、ジイ様のジイ様が子供だった時から
アスタロットは存在しているからという。
という事は、アスタロットは軽く2000歳以上という事になる。
なんともポアソン的には眉唾な話だった。
ポアソンはそんなことを考えながら、もう一度ため息をつく。
正直なところ、ポアソンはアスタロットと一緒に居たくはなかった。
ベリアル様が「絶対に逆らうな」と言うお人だ。
我らが王の命令でポアソンは魔族の地からアスタロットを
呼び寄せる任をたまわったのだ。
たまわって、ポアソンの隠れ家に連れて来たのはいい。
しばらくアスタロットは静かに隠れ家に身をおいてくれたからだ。
だけど、昨日部下から届いた金色に光る不思議なポーションが届いた時から
アスタロットは動き出した。
アスタロットは、それをまっていたらしく、
ポーションを持ってすぐに出発すると言い出したのだ。
その時の部下一同の心は、どこへ? だった。
もちろん、ポーションを受け取ったのはポアソンだ。
我らが王に「丁重に保管しろ」と命令を受けたのにだ。
その命令すらなかったと言わんばかりに、アスタロットはポーションを持って
すごい勢いで隠れ家を出た。
自分達に行き先も告げずにだ。
ポアソンは部下達にアスタロットを追うのは自分だけでいいと告げた。
他の部下は隠れ家で待機を命じ、アスタロットの後を追った。
そして着いて来たはいいが……
隠れ家を出て1時間ほど、ずっと雪の積もる森の中を進んでいる。
そろそろ南のパナストレイとの国境の山に入りそうな勢いだ。
その証拠に、森の中の雪の量が大分減ってきている。
「アスタロット様! そろそろどこに行くのか
教えてくれませんか?」
ポアソンは冷たい空気を吸い込んで大声で
前を走るアスタロットに問いかけた。
どうせ無視されるのは分かっているが……
そう思っていたけれど、
なんとアスタロットが首を少しだけこちらに向けてきたのだ。
「部下を連れてこなかったことは褒めてあげますよポアソン。
彼らには、隠れ家に私たちが戻るまでに寝具の用意を整えるようにと
伝えなさい。 貴方なら、聖霊通信で伝える事ぐらいはできるでしょう?」
ポアソンは質問の答えとは違う言葉が返ってきたことに不満の表情をする。
それでも命令には従うが。
きっと、何か意味があるはずだ。 きっと……。
さらに30分ほど森を進む。
もう雪はほとんど見当たらなく、空気のみが冷たい。
そろそろパナストレイに入っただろうか?
急に進行方向を変え、立ち止まるアスタロット。
彼は、近くにあった木の陰に隠れた。
ポアソンも同じく立ち止まり隠れる。
アスタロットはその状態でポアソンに声をかけた。
「私が合図をしたら、指し示した場所に順番に短剣を投げなさい。
短剣には麻痺毒を。
即効性が高いものをお願いしますね。
最初はあそこの岩の横、地面から30センチの場所ですよ。それから――」
一方的な指示にポアソンは目を白黒させながら聞き入る。
なにせ、アスタロットは2度目は教えてくれないからだ。
『1度目を失敗すると、もう次は無いのです』それが彼の
口癖でもある。
ポアソンは受けた指示の場所に短剣を投げるための合図を待つ。
「ああ、そうそう。
5つ目に投げる短剣には毒が無いタイプの短剣でお願いしますね」
意味が分からなかったが、ポアソンは言うとおりにする。
「今です!」
合図のあった場所に順番に短剣を投げていく。
1つ目―――ザシュ!! 「ぐっ……」
1秒待って、
2つ目―――ザシュ!! 「ぐはっ……」
3秒待って、すぐに2つ同時にっ!
3つ目―――キィン!!
4つ目―――…………ザシュ!!「ちっ……」
5つ目―――ザシュ!! ギャギャギャギャ!!
6つ目―――ザシュ!! 「ぐふっ……」
6発中、当たった手ごたえは5つ。
なんだか、途中変な声も混ざっていたが……。
「さて、行きますよ、ポアソン」
草むらをかきわけて、アスタロットは進む。
ポアソンも後を追う。
そこには、見たことのある黒装束の男達が致命傷を負った状態で
倒れていたのだった。
視点が変わります。
三人称っぽいポアソン視点? です。
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エミリア達がエリクサーを作成し、それが無事にポアソンの手に渡ったのは
2日後のことだった。
雪が積もる森の中を悠々とかける美男子が2人。
一人は白銀のオカッパ頭に小さめの丸メガネをかけた青年だ。
服装はゆったりとした東方風の袖の長い服だ。
もう一人は、クリーム色のマッシュルームカットに燕尾服の青年。
ポアソンである。
ポアソンは、目の前を走る人物を見つめ、ため息をつく。
自分の目の前を走る人物は、知的なイメージとは裏腹に、走る速度は
後ろから着いて行く自分と同じ速度。
ポアソンは目の前の男性、アスタロットにずっと疑問を浮かべている。
アスタロットは自分よりも立場は上であり、命令に従うのはいい。
だけど、この人物の行動は急に説明もせずに何かを成そうと実行するのだ。
その結果が現在の雪積もる森を目的も分からずに進んでる現状であった。
行動が読めないし、話す時はいつも質問を投げかける前に
質問の答えを言われる。
逆にまったく関係のない答えというか、質問を無視される場合もあるのだ。
今回の場合は無視だった。
それに、魔族の地にいる間、アスタロットが素早く動いている所など、
一度たりとも見たことが無かった。
現在なぜそんなに動けてるの? その動きはどこで習ったの?
などの疑問がわいてくる。
太古の預言者だとベリアル様は言っていた。
ベリアル様曰く、魔族の中でも古参のジイ様達は、
魔族の中で一番多く歳を取っているのはアスタロットだろうと語った。
語ったというのは、ジイ様のジイ様が子供だった時から
アスタロットは存在しているからという。
という事は、アスタロットは軽く2000歳以上という事になる。
なんともポアソン的には眉唾な話だった。
ポアソンはそんなことを考えながら、もう一度ため息をつく。
正直なところ、ポアソンはアスタロットと一緒に居たくはなかった。
ベリアル様が「絶対に逆らうな」と言うお人だ。
我らが王の命令でポアソンは魔族の地からアスタロットを
呼び寄せる任をたまわったのだ。
たまわって、ポアソンの隠れ家に連れて来たのはいい。
しばらくアスタロットは静かに隠れ家に身をおいてくれたからだ。
だけど、昨日部下から届いた金色に光る不思議なポーションが届いた時から
アスタロットは動き出した。
アスタロットは、それをまっていたらしく、
ポーションを持ってすぐに出発すると言い出したのだ。
その時の部下一同の心は、どこへ? だった。
もちろん、ポーションを受け取ったのはポアソンだ。
我らが王に「丁重に保管しろ」と命令を受けたのにだ。
その命令すらなかったと言わんばかりに、アスタロットはポーションを持って
すごい勢いで隠れ家を出た。
自分達に行き先も告げずにだ。
ポアソンは部下達にアスタロットを追うのは自分だけでいいと告げた。
他の部下は隠れ家で待機を命じ、アスタロットの後を追った。
そして着いて来たはいいが……
隠れ家を出て1時間ほど、ずっと雪の積もる森の中を進んでいる。
そろそろ南のパナストレイとの国境の山に入りそうな勢いだ。
その証拠に、森の中の雪の量が大分減ってきている。
「アスタロット様! そろそろどこに行くのか
教えてくれませんか?」
ポアソンは冷たい空気を吸い込んで大声で
前を走るアスタロットに問いかけた。
どうせ無視されるのは分かっているが……
そう思っていたけれど、
なんとアスタロットが首を少しだけこちらに向けてきたのだ。
「部下を連れてこなかったことは褒めてあげますよポアソン。
彼らには、隠れ家に私たちが戻るまでに寝具の用意を整えるようにと
伝えなさい。 貴方なら、聖霊通信で伝える事ぐらいはできるでしょう?」
ポアソンは質問の答えとは違う言葉が返ってきたことに不満の表情をする。
それでも命令には従うが。
きっと、何か意味があるはずだ。 きっと……。
さらに30分ほど森を進む。
もう雪はほとんど見当たらなく、空気のみが冷たい。
そろそろパナストレイに入っただろうか?
急に進行方向を変え、立ち止まるアスタロット。
彼は、近くにあった木の陰に隠れた。
ポアソンも同じく立ち止まり隠れる。
アスタロットはその状態でポアソンに声をかけた。
「私が合図をしたら、指し示した場所に順番に短剣を投げなさい。
短剣には麻痺毒を。
即効性が高いものをお願いしますね。
最初はあそこの岩の横、地面から30センチの場所ですよ。それから――」
一方的な指示にポアソンは目を白黒させながら聞き入る。
なにせ、アスタロットは2度目は教えてくれないからだ。
『1度目を失敗すると、もう次は無いのです』それが彼の
口癖でもある。
ポアソンは受けた指示の場所に短剣を投げるための合図を待つ。
「ああ、そうそう。
5つ目に投げる短剣には毒が無いタイプの短剣でお願いしますね」
意味が分からなかったが、ポアソンは言うとおりにする。
「今です!」
合図のあった場所に順番に短剣を投げていく。
1つ目―――ザシュ!! 「ぐっ……」
1秒待って、
2つ目―――ザシュ!! 「ぐはっ……」
3秒待って、すぐに2つ同時にっ!
3つ目―――キィン!!
4つ目―――…………ザシュ!!「ちっ……」
5つ目―――ザシュ!! ギャギャギャギャ!!
6つ目―――ザシュ!! 「ぐふっ……」
6発中、当たった手ごたえは5つ。
なんだか、途中変な声も混ざっていたが……。
「さて、行きますよ、ポアソン」
草むらをかきわけて、アスタロットは進む。
ポアソンも後を追う。
そこには、見たことのある黒装束の男達が致命傷を負った状態で
倒れていたのだった。
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