親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

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テスト期間編。

136話『雪の星霊』

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※ベリアル様視点です。



部屋の中では、神秘的な光景が広がっていた。



エミリアは美しい光の帯を纏い、両手からは魔力の翼が羽ばたく。

翼から抜け落ちた光の羽根がエレノア姫の体に触れるたび、

光の雫があたりを照らす。



その光は、とても清浄で触れるもの全てを癒す効果があることが

一目で分かった。



エミリアの頭の上。

そこに一匹の白い小鳥が両の翼を広げて輝く。



シェイドが目を細めて呟いた。




「『雪の星霊アリエだ』」





雪の星霊アリエの力を借りたエミリアはエレノア姫の症状を癒し続けている。

どれくらい時間がたっただろうか?



治療が終わったエミリアは、その場で崩れ落ちるように気を失った。

それと同時に、アリエもエミリアの三つ編みの隙間にもぐり込んで

眠りについていた。


私は、エミリアに駆け寄り抱える。



「シュゼルツ殿。別室の用意を」



「わ、わかりました! こちらへ」





別室をシュゼルツに用意してもらい、案内された部屋へ入る。

場所は、エレノア姫の隣の部屋だった。



エミリアをベッドで寝かせた後、そっと頬に触れる。

どうやら、疲れて眠っているだけのようだ。ホッと息をつく。

ピンクに色づく頬と寝息に愛しさを感じる。

静かに手を離し、布団をかけて退室した。



廊下では、シュゼルツが立って待っていた。



どうやらエレノア姫が目覚めた様で、

中では着替えと医師が往診の最中だという。

私とシュゼルツは廊下で待機する。

待機している間、シェイドにエミリアの身に起こった内容を

詳しく聞いた。



しばらくして、女性医師とサポーターがエレノア姫の部屋から出てきた。

エレノア姫の容態は安定していて、もう医師の治療は必要ないとの事だった。



医師達と入れ替わりで部屋へと入室する。



エレノア姫は起き上がり、アスカと何か喋っているようだ。

女性用の兵士のサーコートに身を包んでいる。


私は、エレノア姫に近づき声をかけた。



「エレノア姫。無理をしすぎだ。

 君が居なくなっては、悲しむ者が多いのだぞ」



「ベリアルへい……王子。

 ご心配をおかけしました。

 たった今、同じ様にアスカにも叱られてしまいました」



苦笑するエレノア姫に

体調を聞いてみると、倒れる前より良くなっているということだった。



「使い切った魔力も完全に回復しているようです。

 アスカから聞いた限り、これはエミリアの力だと聞きました」



私はエレノア姫に、先ほどエミリアに起こったことを説明する。



「エミリアが雪の星霊アリエに気に入られた。

 その力を使って、君の怪我と病を癒した。


 シェイドが言うには、アリエの力はそれほど強くはないそうだ。


 自衛や相手を傷つける力は皆無だが、他人に干渉する力だけは高い。

 特に、癒しに関しては星霊一らしい。

 清らかなる心の持ち主にしか力を貸さないらしいからな。

 ある意味奇跡の賜物だそうだ。


 星霊憑きになったエミリアの今の状態は疲労も激しいだろう。

 このまま、半日は目を覚まさないだろうな」



私の話を聞いていたエレノア姫は、ホッとしていた。

そして、エレノア姫は何か思い出したように私に問う。



「魔物は!?

 街に3匹の魔物が入り込んでいたはずです。

 私と兵士達は、必死に攻防して……。


 なんとか、1匹だけ引き離す事が出来たはずなのですが、

 引き離した魔物に不意を突かれて……」



エレノア姫の言葉に、後ろに控えていたシュゼルツが言葉を発する。



「エレノア様のおかげで、魔物を引き離すのには成功しています。

 引き離した魔物は、いまだに兵士達が攻防を繰り広げています」



沈痛な表情のシュゼルツはエレノア姫を見つめ、真撃な態度で頭を下げた。



「ご回復したエレノア様には、酷な話なのですが、

 いまだに頑張っている兵士達のため、なにとぞ力をお貸しください!」



シュゼルツの行動にエレノア姫は真剣な表情で頷いた。



「もちろんよ。それと、ベリアル王子。

 貴方にも力を貸して欲しいわ」



「分かった」



「――っそ、そんな簡単に決めてもよろしいのですか!?」



私とエレノア姫が簡単に了承をするとは思ってなかったのか、

シュゼルツは驚いていた。



「大丈夫だ。私も星霊憑きなのでな。

 その代わり、エミリアを頼む」



星霊憑きだと言う私にシュゼルツは驚いていた。

原初の星霊を除いて、全部で15柱しか居ない星霊のうち3柱が

ここに集まっているのだ驚くのも無理はないだろうな。

これも、ゲームの運命というやつなのだろうか……?



この後、持ち堪えている兵士達を助けるために、

魔物の元へ向かう手筈を整えることとなった。



他の兵達の容態を見に、部屋を出ようとしたその時だった――







「――いやあああああああああああ!!!」







外から叫び声が聞こえ、

私とエレノア姫は、急いで宿の外へと向かった。


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