親子そろって悪役令嬢!?

マヌァ

文字の大きさ
上 下
60 / 231
学園生活開始~学園祭。

60話『笑いのツボ』

しおりを挟む



「ご、ごめんなさい。

 私、笑うつもりじゃ……ふふっ……あはははっ!」



思いっきり笑い出しているマリエラに周囲は唖然としていた。

私は、マリエラの笑いのツボを探すために声をかけた。



「マリエラ? 

 大丈夫? 急に笑い出したりしてどうしたの?」



マリエラは、くつくつ笑いながら答えてくれる。声が震えていますね。



「だ、だって……ふふっ……

 あのパニエの形が…………

 逆さまになったクラゲにしか見えなくて……くふっ」



確かに。 クラゲに見えなくも無い。

というか、そう言われたら、

そうとしか見えなくなってしまうのが人間の心理だ。

私も少し可笑しくなってしまいそうで、耐えるのに必死だった。



「ぷふっ!!」



そして、新たに聞こえた噴出し声だ。

その声を発したのが、まさかのナナリーだった。



クラゲの話に反応したのは私とマリエラとナナリーのみだ。

ほかの生徒達はポカーンである。

ベリアル様はクラゲとはなんだ? という顔だった。


「ひ、ひどいわっ!!

 そ、そんなこと言う貴女が犯人なのね!!……ぷふふっ」



ナナリーは、頑張って茶番のセリフを言う。

だけど、惜おしい!口元が笑いを耐えきれてませんよ!

ぷふふって言っちゃったしね。ふるふるして笑いを耐えるのに必死だ。



「ど、どうして私が、ふふふっ……

 ク、クラゲを作らなくちゃいけないの? ……くっはははっ―」



マリエラは笑いを堪えることもせずに対抗している。

というか、爆笑だった。マリエラのこんな姿見たことなーい。

ダメだ……。私も笑っちゃいそう!



「あ、貴女が笑うからよ!……ぷふふっ」



ナナリー、貴女も笑っていますよ。

存分に笑ったマリエラは、

ナナリーの茶番に付き合ってあげるようだった。



「何度も言いますが、私はクラゲを作る趣味なんて……くふっ

 ご、ございませんわ。それに、私だったら切り刻んでいる途中、

 我慢できなくて高笑いでもしていたでしょうね。……ぷはははっ―」



あーっと、マリエラの笑いのツボがまた刺激されちゃったようだった。

とりあえず、廊下に集まっていた生徒達は茶番だと気がついたのか

散り散りになって去っていった。

このまま平穏に終わればいいのにね。


「いいかげんにしろ!!」



見かねて声を荒げたのは、イケメンsナンバー3のコンラート・バイゼイン様だ。

彼は、騎士の正装にアレンジを加えた服を着ていた。

長い青の縦模様の入った長めのチェインシャツに腰には剣ベルト。

黒皮のズボンに膝上のチェインブーツという、劇の衣装だった。



呆然としていたイケメンsも立ち直ったようで、

カイン様がナナリーに声をかける。



「ナナリー、犯人らしき人物に心当たりはないのか?」



なぜ、こっちを見ながら言うんですかねー?



「っ……朝来たときには、ドレスは破れてなかったの」



ナナリーは笑いが治まったようだ。

すぐに悲しい表情を作れる演技力には私も関心するわー。



「誰か、何か気づいたことは無かったか?」



カイン様は、オーバーリアクションで周りに疑問を投げかける。

ここで、挙手したのはナナリーと同じクラスの女子3人だ。


「私達も、朝早く来た時はドレスは破れていませんでした」



「その時に、何か気になることはあったかね?」



カイン様が調子に乗り始めましたよ。推理回ですね。



「私達は、小道具を取りに来たんですけれど、一ノ実クラスの前を通って

 教室に入りました。

 その時に、一ノ実クラス以外の教室からは人の気配はしませんでした」



「一ノ実クラスには誰がいたのかね?」



ニヤリと笑うカイン様。

女子達とカイン様は示し合わせたような回答を言う。



「私達が聞いた声は、男性の声と、女性の声のみです。

 男性の声はわかりませんでしたが、

 女性の声は覚えています。それは―――」



一度溜めてからの――



「エミリア様ですわ!!」



来たーー!! 私が犯人説きたー!!

というか、どうせこんなことになるだろうとは思っておりましたとも。


カイン様はしたり顔でゆっくりと立ち上がる。

髪をかき上げてから、こちらに視線と指をむけてポージングした。



「エミリア嬢。犯人は君だ!!」



「違います」 「ぷふっ!!」



私は即答した。

そして、マリエラがまた噴出したようだ。



「ご、ごめんなさい……思い出し笑いですわ……」



ぜっっったい、違うでしょ!



お腹をくの字にまげて、ぷるぷるしているマリエラを無視して

私達は茶番の続きを続行した。



「私は、マリエラとベリアル様、エドワード殿下と一緒に

 劇の練習をしていました。それも、教室に来たときからずっと。

 練習中に私は1人になったことは一度もありませんわ。

 そうですよね? エドワード殿下」



「エド様?!」 「「エドワード様!?」」



ナナリーとイケメンs2人が驚いている。



そう、私はこういう事態になることを避けるために、

寮にいるうちから4人で教室に向かったのだ。

もちろん、前日からちゃんと声もかけていたので、

男性人が私とマリエラの部屋まで迎えに来てくれてからの出発だ。

馬車にも一緒に乗ったし、教室からは一度も出ていない。

トイレ?もちろん、人が増え始めた時に

小道具の子達やマリエラと一緒に行ったさ。





完全完璧なアリバイなのだ!ワハハ。



「そうだね。

 今日は朝からエミリアとずっと一緒に居た。僕が保証しよう」



グッジョブ!! エドワード殿下。



「で、では、いったい誰が……?」



驚愕の表情のカイン様はここにいる皆の言葉を代弁していた。



「貴方、推理がお得意でしたよね? 当ててみなさいよ」



おっとぉ!?



笑いから復活したマリエラが小馬鹿にした顔でカイン様に言い放った。

やっぱりこの子、かなり黒いゎー……。




しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

元おっさんの幼馴染育成計画

みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。 だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。 ※この作品は小説家になろうにも掲載しています。 ※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。

最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!

電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。 しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。 「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」 朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。 そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる! ――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。 そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。 やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。 義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。 二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...