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学園生活開始~学園祭。
56話『サロン』
しおりを挟む私のリビングには、ピンクと白を基調にしたレースの飾り付けがされている。
魔法陣は目立たないように、絨毯を大き目のものに変えて隠してある。
ソファーは背もたれを倒して、自由にくつろげるようにし、
机はネコ足の丸テーブルを5つ真ん中に寄せ集めるように並べる。
※テーブルクロスの下には、例のスクロールを設置してある。
真ん中の机にはお菓子やシャンパンやジュース類とグラスやお皿を並べ、
手前の4つは自由に使えるようにした。
※シャンパンの度数はきわめて低いものを使っています。
この世界では、社交界デビューをしたら大人になれるので
学生である14~16歳でもお酒は嗜みます。
開催時間の4時近くになり、女子メイトが次々に訪ねてくる。
マリエラとレヴァンヌ様は一番乗りだった。
全員がそろったら、挨拶をしてサロン開始だ!
みんな他愛ない話をそれぞれしている。
私とマリエラもソファーで授業内容について話したりしていた。
「エミリア様もマリエラ様も呼び捨てになるくらい仲良しなんて
ずるいですー!」
レヴァンヌ様がシャンパンで酔ったのか絡んできた。
「レヴァンヌ様、シャンパンばかりお飲みになったの?!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「ち、がーう!
私のこともレヴァンヌって呼び捨てにしてください!」
レヴァンヌ様は呼び捨てにこだわっているようだ。
「「わ、分かりました」」 「よし!」
「わらひも……おふたりのこと……よびふてにしたぃろ……」
満足したのか、そう言って私の隣でグデーンとなった。
あれ? 寝ちゃった? その様子を、部屋の皆で笑いあった。
待機室に居たレヴァンヌの侍女が彼女を抱えて帰るようだ。
レヴァンヌの侍女は皆に挨拶をして帰って行った。
「マリエラ様、エミリア様、少しよろしいでしょうか?」
私達に話しかけてきたのは女子メイトのよく2人一緒にいる子爵家の
令嬢達だ。
「エミリア様も、マリエラ様も……その、大丈夫ですの?」
「大丈夫とは?」
「ランゲス男爵令嬢のことですわ」
彼女の声に反応して、みんな耳を傾けている。
「私も思ってましたのよ。 あのままでいいんですの?」
いつのまにか、全員が少しずつこちらに近づいてきていた。
「こういう言い方はあまりよろしくないのですけれど、ランゲス男爵令嬢は
婚約者のいる殿方に色目を使いすぎている気がしています」
皆が話したい内容がわかった。
しかし、私はどうでもよく思っているので当たり障りの無い内容を言う。
「大丈夫ですよ。 エドワード殿下は、見聞を広げるために庶民育ちである
ナナリー様と親しくしているのですわ。ですから、私は気にしていません」
まぁ!という尊敬の眼差しを向けられる。
うう……。本当は、婚約破棄を目論んでいるなんて言えない。
「ですが、マリエラ様はそういう訳にはいきませんでしょう?」
こんどはマリエラに話が向いた。
「私は、カイン様とは将来の婚約者として1度しか会っていないので
気になりませんわ。
それに、将来どうなるかなんて分からないんですもの。 ふふふ」
おおぅ……。
黒いマリエラ降臨!
彼女も婚約破棄したいんだよね。 なんとかして作戦を考えねば。
「お二人とも大人ですのね。 私だったら嫉妬してしまいますわ」
「私も」 「私もですー」
このあと、皆さんは、それぞれ自分の婚約者の話やデビュタントについてと
話が移ろいで行った。
※
デビュタントとは、社交界デビューのことである。
下級貴族の令嬢は、デビュタントで婚約者探しなどをする。
学園もチャンスなんだけど、学園の貴族様はほとんど婚約者がいるものだ。
こうして、第一回目のサロンは大成功したのでした。
ちなみに、魔法のスクロールは良好だったけど、一つだけ欠点があった。
それは、暖かい飲食をおいた場合、それらまで冷えてしまうという
誰にでも気づきそうな欠点だった。
そりゃあ、低温の魔法だもの。冷えるわよね。
私は、スクロール第一号の魔法の効果を低温から状態維持に変更することに
決めたのだった。
まぁ、そう簡単にいかないんすけどね……。 グスン。
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