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学園生活開始~学園祭。
48話『エレノアの夢 番外編4』
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※過去のお母様視点です。
気がついたら、金色のレースの天幕がついたベッドに寝かされていた。
隣に目を向けると、同じ作りのベッドに眠るラナー様の姿があった。
私は、上半身を起こして自分の体を確かめる。
あれ…………?
私の首から右肩にむけて、灰色の痣が広がっていた。
手で触られた感触はなく、
逆に手で触った感触はざらざらと、まるで石像の様な手触りだ。
「目が覚めたか」
声がしたほうを見ると、魔王ベリアル様がイスに座っていた。
ずっといたのだろうが気づかなかった。
ベリアル陛下の声に反応して、ラナー様も目が覚めたようだった。
ラナー様も、なにが起きたのか覚えて無い様子だ。
ベリアル陛下はあのあと起こったことを詳しく教えてくれた。
まず、ラナー様と私に起こった体の異変だ。
これは、呪いによるものらしい。
私の首から右肩にある痣がそうだろう。
ラナー様は、背中からわき腹に同じ痣が広がっているという。
呪いの内容は、徐々に痣が広がり、体が石化していく呪いだそうだ。
解くには、本人に解かせるか、呪い以上の星霊の加護が必要なのだとか。
例外で白魔法というレアな魔法使いが治せるらしいが、
長生きで魔力の高い魔族にもそんな魔法を使えるものは居ないという。
魔法具で効果を遅らせることは出来るようで、その道具がたまたま
このヴェルマにあるという。
ベリアル陛下は、その魔法具をラナー様と私に渡してくれた。
ブレスレットタイプのそれを身につけておけば、石化の時間を遅らせるらしい。
「すまない……」
ベリアル陛下は、思い詰めた表情で、頭を下げて私とラナー様に謝った。
「ベリアル陛下!?」 「頭をおあげください!」
「君達を匿えと星霊シェイドに言われた。
だが、危険に合わせてしまった!
それだけじゃない、呪いまで……」
黙っていたラナー様が、口を開く。
「あれは、私達の不注意も原因ですわ。行ってはいけないと言われた
洞窟への誘いに、疑問には思ったものの、ここは安全な場所で、
聖霊様の庇護下だ、と勝手に思い込んでいました。
あの方の誘いに、のこのこついて行った、私達自信にも責任はあります」
その言葉に私も頷いた。
ベリアル陛下は、幾分か表情がやわらいだ。
「すまない。感謝する」
私とラナー様は、お互いに目配せして、少しだけ優しい笑顔になった。
「できれば、私もお前達に手を貸そう」
ベリアル陛下は、こんな事態を引き起こしたリリーナという人物に
怒りを覚えている。
私とラナー様は、今現在の国の情勢などを詳しくベリアル陛下に話した。
そして、打倒リリーナに向けて、手を組んだのだった。
その日は、解散になった。
私とラナー様は軽い軽食をとって、部屋で休んでいるように言われた。
ザ、ザーーーーー
「っ……痛ッ!!」 「エレノア!? どうしたの!?」
急に頭痛に襲われる。
ザー ザー ザー
機械音のような、壊れたテレビの砂嵐のような音が聞こえ、
―ア アブナイ――タスケ ガ――イル――。
音は、次第に人の声のような響きになっていく。
―ミ―イ― カエテ―――。
―イソイデ!!
そして頭の中に鮮明な映像が映し出された。
映像の内容は、
[ヴィルステイン家のジェバース様とアスト殿下が乗った
馬車が山岳地帯に入ったあたりで、黒ずくめの男達に襲われる映像だ。
応戦していたジェバース様とアスト殿下だったが、
後ろからの不意打ちにより2人とも倒れる。]
映像はここまでだった。
不意打ちを襲った男には見覚えがあった。
私とラナー様を襲った男だ……!!
私は、なんともいえない感情に苛まれた。
「行かなきゃ!」 「えっ!?」
ラナー様は、驚いている。
「行かなきゃ! アスト殿下とジェバース様が危ない!」
私は、ラナー様を振り切って、部屋を出た。
そこは大理石の廊下が続き、真ん中に赤の絨毯が敷かれた場所だった。
私は、迷わず走った。
この場所には初めて来たはずなのに、ずっとこの場所を知っているような
そんな感覚だった。
走りついた場所の扉の前にいる魔族の騎士に声をかける。
「ベリアル陛下に、あわせて!」
急に走ってきて、陛下に会わせろと言う私に、騎士達は驚いていたが、
私の頭のあたりに目を向けたあと、何かを察したのか
無言で扉を開いてくれた。
部屋の中は政務室のような作りになっていた。
中には、ベリアル陛下とオカッパ頭に鼻眼鏡をかけた魔族の男性がいた。
「あの! ベリアル陛下! お願いがっ!」
「わかった。行こう。馬は庭に用意してある」
ベリアル様は、したり顔で言った。
「へ!?」
私は、陛下の言葉についていけなかった。
でも、馬を用意してくれたと言った。
もしかしたら、さっきの映像は星霊シェイド様が?
「星霊アスカ様に認められたようですね」
鼻眼鏡の男性が声をかけてきた。
星霊アスカ様??? なんのこと!?
私は困惑の表情だった。
「貴女の守護星霊ですよ」
と頭上を指差された。
恐る恐る見上げる。私の頭の上には、炎を纏った茜色のオカメインコが
ちょこんと乗っかっていた。
え……??? なにこの子!? カワイイ!!
って、そうじゃない!
「星霊アスカ様!? な、なんで私なんかに!?」
今更だけれど、首の痣もなくなっていたことに気づいた。
ベリアル陛下と、鼻眼鏡の男性は、私に庭に向かうように指示した。
向かう途中で説明をしてくれるという。
ざっと内容を纏めるとこうだ。
もともとパナストレイに居たころから星霊アスカは私に憑いていた。
しかし、私は不思議な性質を持っていたらしく、アスカとの交信が
出来なかったようだった。
交信できるようになった切欠が何かあるはずということで、
それを考えた結果、私が『やり直し』し、
瀕死のリナと出会った時に聞こえたあの声だ。
アスカが憑いていれば、命の危険なんてないはずなのに、私は一度死んでいる。
これは私の性質が原因だろう。転生者という性質だ。
今回、アスカが私と交信し、姿が見えるようになったのは、
私とアスカが長い時間共にして、馴染んだおかげだという。
転生者だったせいで、アスカとの交信ができずに一度死に、
一度死んだお陰で、馴染んで交信できるようになったということだ。
なんというか……もどかしい思いだった。
そんなこんなで、星霊アスカは私のパートナーになったのだった。
星霊の姿は一般人には見えない。
だけど、魔族の人達には見えている。
種族による特性のようなものらしかった。
気がついたら、金色のレースの天幕がついたベッドに寝かされていた。
隣に目を向けると、同じ作りのベッドに眠るラナー様の姿があった。
私は、上半身を起こして自分の体を確かめる。
あれ…………?
私の首から右肩にむけて、灰色の痣が広がっていた。
手で触られた感触はなく、
逆に手で触った感触はざらざらと、まるで石像の様な手触りだ。
「目が覚めたか」
声がしたほうを見ると、魔王ベリアル様がイスに座っていた。
ずっといたのだろうが気づかなかった。
ベリアル陛下の声に反応して、ラナー様も目が覚めたようだった。
ラナー様も、なにが起きたのか覚えて無い様子だ。
ベリアル陛下はあのあと起こったことを詳しく教えてくれた。
まず、ラナー様と私に起こった体の異変だ。
これは、呪いによるものらしい。
私の首から右肩にある痣がそうだろう。
ラナー様は、背中からわき腹に同じ痣が広がっているという。
呪いの内容は、徐々に痣が広がり、体が石化していく呪いだそうだ。
解くには、本人に解かせるか、呪い以上の星霊の加護が必要なのだとか。
例外で白魔法というレアな魔法使いが治せるらしいが、
長生きで魔力の高い魔族にもそんな魔法を使えるものは居ないという。
魔法具で効果を遅らせることは出来るようで、その道具がたまたま
このヴェルマにあるという。
ベリアル陛下は、その魔法具をラナー様と私に渡してくれた。
ブレスレットタイプのそれを身につけておけば、石化の時間を遅らせるらしい。
「すまない……」
ベリアル陛下は、思い詰めた表情で、頭を下げて私とラナー様に謝った。
「ベリアル陛下!?」 「頭をおあげください!」
「君達を匿えと星霊シェイドに言われた。
だが、危険に合わせてしまった!
それだけじゃない、呪いまで……」
黙っていたラナー様が、口を開く。
「あれは、私達の不注意も原因ですわ。行ってはいけないと言われた
洞窟への誘いに、疑問には思ったものの、ここは安全な場所で、
聖霊様の庇護下だ、と勝手に思い込んでいました。
あの方の誘いに、のこのこついて行った、私達自信にも責任はあります」
その言葉に私も頷いた。
ベリアル陛下は、幾分か表情がやわらいだ。
「すまない。感謝する」
私とラナー様は、お互いに目配せして、少しだけ優しい笑顔になった。
「できれば、私もお前達に手を貸そう」
ベリアル陛下は、こんな事態を引き起こしたリリーナという人物に
怒りを覚えている。
私とラナー様は、今現在の国の情勢などを詳しくベリアル陛下に話した。
そして、打倒リリーナに向けて、手を組んだのだった。
その日は、解散になった。
私とラナー様は軽い軽食をとって、部屋で休んでいるように言われた。
ザ、ザーーーーー
「っ……痛ッ!!」 「エレノア!? どうしたの!?」
急に頭痛に襲われる。
ザー ザー ザー
機械音のような、壊れたテレビの砂嵐のような音が聞こえ、
―ア アブナイ――タスケ ガ――イル――。
音は、次第に人の声のような響きになっていく。
―ミ―イ― カエテ―――。
―イソイデ!!
そして頭の中に鮮明な映像が映し出された。
映像の内容は、
[ヴィルステイン家のジェバース様とアスト殿下が乗った
馬車が山岳地帯に入ったあたりで、黒ずくめの男達に襲われる映像だ。
応戦していたジェバース様とアスト殿下だったが、
後ろからの不意打ちにより2人とも倒れる。]
映像はここまでだった。
不意打ちを襲った男には見覚えがあった。
私とラナー様を襲った男だ……!!
私は、なんともいえない感情に苛まれた。
「行かなきゃ!」 「えっ!?」
ラナー様は、驚いている。
「行かなきゃ! アスト殿下とジェバース様が危ない!」
私は、ラナー様を振り切って、部屋を出た。
そこは大理石の廊下が続き、真ん中に赤の絨毯が敷かれた場所だった。
私は、迷わず走った。
この場所には初めて来たはずなのに、ずっとこの場所を知っているような
そんな感覚だった。
走りついた場所の扉の前にいる魔族の騎士に声をかける。
「ベリアル陛下に、あわせて!」
急に走ってきて、陛下に会わせろと言う私に、騎士達は驚いていたが、
私の頭のあたりに目を向けたあと、何かを察したのか
無言で扉を開いてくれた。
部屋の中は政務室のような作りになっていた。
中には、ベリアル陛下とオカッパ頭に鼻眼鏡をかけた魔族の男性がいた。
「あの! ベリアル陛下! お願いがっ!」
「わかった。行こう。馬は庭に用意してある」
ベリアル様は、したり顔で言った。
「へ!?」
私は、陛下の言葉についていけなかった。
でも、馬を用意してくれたと言った。
もしかしたら、さっきの映像は星霊シェイド様が?
「星霊アスカ様に認められたようですね」
鼻眼鏡の男性が声をかけてきた。
星霊アスカ様??? なんのこと!?
私は困惑の表情だった。
「貴女の守護星霊ですよ」
と頭上を指差された。
恐る恐る見上げる。私の頭の上には、炎を纏った茜色のオカメインコが
ちょこんと乗っかっていた。
え……??? なにこの子!? カワイイ!!
って、そうじゃない!
「星霊アスカ様!? な、なんで私なんかに!?」
今更だけれど、首の痣もなくなっていたことに気づいた。
ベリアル陛下と、鼻眼鏡の男性は、私に庭に向かうように指示した。
向かう途中で説明をしてくれるという。
ざっと内容を纏めるとこうだ。
もともとパナストレイに居たころから星霊アスカは私に憑いていた。
しかし、私は不思議な性質を持っていたらしく、アスカとの交信が
出来なかったようだった。
交信できるようになった切欠が何かあるはずということで、
それを考えた結果、私が『やり直し』し、
瀕死のリナと出会った時に聞こえたあの声だ。
アスカが憑いていれば、命の危険なんてないはずなのに、私は一度死んでいる。
これは私の性質が原因だろう。転生者という性質だ。
今回、アスカが私と交信し、姿が見えるようになったのは、
私とアスカが長い時間共にして、馴染んだおかげだという。
転生者だったせいで、アスカとの交信ができずに一度死に、
一度死んだお陰で、馴染んで交信できるようになったということだ。
なんというか……もどかしい思いだった。
そんなこんなで、星霊アスカは私のパートナーになったのだった。
星霊の姿は一般人には見えない。
だけど、魔族の人達には見えている。
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