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学園生活開始~学園祭。
24話『いざ、学園へ』
しおりを挟むとうとうこの日がやってきた。
そう、魔王ベリアル様の学園生活、第1日目だ!
1日目は寮に荷物入れたり、教員への挨拶とか案内や手続きとかの
準備のために過ごすことになっている。授業に出られるのは翌日からである。
ガタガタとゆれる馬車にベリアル様と私、ベリアル様付きの従者が乗っている。
この従者はベリアル様が昨日連れて来た魔族の従者だ。名前はポアソン。
魔王様はヴォルステイン家の王都邸に勝手に魔法陣を設置した。
そして、連れて来たのがポアソンだ。
褐色の肌に、クリーム色の髪。うすい金色の目は瞳孔が縦に割れている。
ふんわりとした髪型はマッシュルームカットされている。
色は銀からクリーム色に染めているんだとか。
角は小さな尖った角が髪型のおかげで埋まっている。
服装は燕尾服だ。
猫っぽい印象だ。実は彼、かなりのハイスペックだったりする。
学生服を着たベリアル様もなかなか様になっている。
眼福です。ありがとうございます!
ちなみに角は、幻惑魔法で消しているんだとか。
男性用の学生服は現代日本でいう学ランに近い形だ。色は白色。
襟のところに金の留め金がついて、後ろ丈が燕尾服のように分かれている。
左胸には学園のシンボルである開いた本に『ドルステン国紋章ノームの葉』の
マークだ。
女性用の学生服はワンピースタイプで袖と丈の短いジャケットのセットだ。
シンボルの位置はジャケットの左胸にある。
※冬になると、袖の長いものに変わる。こちらも色は白だ。
学生服には特殊な魔法が仕込まれていて、空気調和機能だ。
冬でも夏でも快適な温度になるのだ。
しばらくして、王立学園オリジムを囲む外壁が見えてきた。
ベリアル様はうずうずして窓の外を見ている。ちょっとだけ、可愛い。
門に到着したけど、私達上流貴族はそのまま顔パスで寮へ向かう。
馬車の紋章がヴォルステイン家の紋章だしね。
私は、ベリアル様と侍従ポアソンに学園について説明した。
王立オリジム学園に通う生徒のほとんどは貴族である。
裕福な一般人や商家の子息も通うが、そんなに人数はいないだろう。
王立オリジム学園では、学生はみな身分平等、コミュニケーション能
力を鍛えるために校則でそうなっている。(例外有り)
でも、どうしても、貴族のボンボン共は威張りちらしたがる輩がいる。
校則を破っている生徒にはきついオシオキがあるのだ。
礼儀や社交界マナーとしての身分差の交流は校則とは関係ない。
というか、お貴族様が多いのだから仕方ない。(これが例外。)
身分を笠にして、命令したりだとかはダメなのだ。
学園は、ミニ社交界とも呼ばれてる。
学園行事のほとんどは、貴族の常識やマナーが組み込まれ、
パーティや学園祭などは、国王夫妻も参加されるのだ。
次は寮について。オリジム学園では全校生徒、入寮制である。
寮からして、区別分けされている。差別ではない。区別だ。
本音は、上流階級のお貴族様は平民や下級貴族と一緒に寝るのが嫌らしい。
扇型の敷地で右側が貴族寮、真ん中が上流貴族寮、左側が一般寮となっている。
男女同じ寮だけど、階が違う。
1~3階が女子用、5~7階が男子用の割り振りだ。
4階は共同スペースに談話室、上流貴族用の遊び場などがある。
チェスやカードやビリヤードのようなものとさまざまだ。
入浴施設は各部屋にそれぞれ備え付けられている。
さすが、お貴族様である。
ちなみに、侍女や侍従は3人まで連れ込みOKだ。
侍女や侍従、騎士や寮長の部屋は8階の最上階に設置されている。
男女別ではあるが、入浴場所なども同じなので時間など設定されているらしい。
このあたりは、ポアソン君、自身で覚えてもらうしかない。
授業については、基礎学科は皆同じ内容である。
算術、歴史、生活学 などの基本的な学問。
教養の授業は貴族科と普通科と分かれているが
内容はほとんど同じである。
貴族への対応の仕方や、貴族社会の常識やルールなど、
普通科でも教われる内容なのだ。
ただ、ボンボンが平民と同じ教室は嫌というのが本音だったりしてね。
選択科目は、剣術科、魔術科、経済科。
推薦科目は 政治科、治癒科。
剣術科は、剣術や護身術を学べる。騎士志望者用の学科。
魔術科は、生活魔法や、魔道技師や魔道具作成用の学科。
経済科は、商売や貿易について学べる。商人用の学科。
政治科は推薦状で受けられる、国の重鎮育成用の学科。
治癒科も推薦状や紹介状、レアな魔法や加護持ちでないと受けられない。
と、こんな感じだ。
クラスも入試の平均で割り振られているが、婚約者がいる貴族のみ
同じクラスになるのだ。
もちろん、ベリアル様は特別なので、私と同じクラスだ。
ベリアル様は私に一日中くっついているつもりらしい。
寮のときはどうするのかって?
何か考えがあるようで今は内緒なのだとか。嫌な予感しかしない。
学園内には食堂、カフェはもちろん、談話室に休憩室。
パーティホールなどもある。
授業をうける校舎があるのは、寮の裏側にある中庭をぐるりと囲む建物だ。
カタカナの「コ」を縦にした形で建てられている。
中庭の中央には舗装された石畳と噴水がある。
寮からまっすぐに進んだところに噴水だ。
さらにまっすぐ行くと、グラウンド。
グラウンドの右側にはパーティホール。左側がカフェや貴族食堂がある。
校舎の中にも簡易な食堂件カフェがあり、庶民や下級貴族の人たちが
よく利用している。場所も教室から一番近いしね。
エミリアもよく利用していた。
ナナリーと愉快なイケメンsに会いたくないから。
上流貴族のボンボン様たちは、休み時間でも馬車をブィブィ乗り回すので
離れた場所にあるカフェや貴族食堂を利用できるのだ。
校則や罰則は絶対厳守である。
長々と書いてある校則を私は把握済みだ。
主に、エドワード殿下のせいで。
殿下が何かやらかす前に、校則をいち早く覚えて、細かく注意しなければ
ならなかった。 (もう、注意してやらんけどね。)
「あんなヤツ好きでもないし、もうどうでもいいです。
顔だけな残念イケメンsには極力関わらないようにしましょうね?」
私の言葉に、引きつった表情のベリアル様とポアソン君だった。もちろん、頷いてくれた。
そんなグチも交えながら、学園について説明していると、
寮の前で馬車が止まった。
馬車から降りる。
ベリアル様が完璧なエスコートで手を出してくれた。
(こういう事を無意識にしているとしたら、感激ものだわ。
私が、ただの令嬢だったら、勘違いしそう)
その後は、寮の管理室にいる寮長に2人を紹介して
一緒に寮の中を案内したのだった。
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