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08 黄の狂気は自らを追い込む
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鏡を見て、上手くギョッとした赤の方と黄の方。
だけど、その次の瞬間……二人の感情や態度と言えば全く正反対へと向かう。
赤の方は、混乱と後悔、そして嘆きを露わにする。
黄の方は、私の行動を嫌がらせだと判断し怒り出す。
私は、彼女達が張り付いていたバルコニーに面したドアを開き、黄の方へと素早く囁いた。
「彼の愛を繋ぎとめたいなら、怒ってはダメ」
怒って良いのは……そこに絶対的な愛があるか、利害関係があるときに限る。 でなければ、自分を貶めるだけ。
生まれてくる赤ん坊には罪はない。
だけど、公子の中に赤ん坊に対する愛は無いように思えた。
もし、生まれて来るだろう赤ん坊に愛着があると言うなら、彼は私にアピール等する訳がないのだから……。
開かれた扉を黄の方は強引に押し開く。
相手が妊婦だと、私は反射的に身を引いていた。
「うるさいわね!! アンタに何が分かるのよ!! 全部!! アンタが悪いんだから!!」
甲高い叫びは、私の配慮をすべて無駄にした。
カスパーは目を開き……悪鬼の形相を私に向ける黄の方を見ていたのだ。 だからこそ黄の方の次の行動を止める事が出来た。
黄の方は叫びながら、外で編み物をしていた棒を手に、私の目に向かって突き刺そうとしたのだ。
赤の方が叫び、私は逃げようとする。 私の腕は掴まれ、床に押し倒されそうになった。 流石に失明は……いえ、こんな事で命を失うのは遠慮したい。
そんな状況から助けてくれたのは公子様だった。 真っ青な顔で公子様は叫び、私の手を引き抱き寄せ、黄の方に背中を向けて庇ったのだ。
それが余計に怒らせたが……だからと言って他に方法が無かったのも確かでしょう。
「なんでよ!! どうしてよ!! 私を大切だと、愛していると言ってくれたのは嘘なの!!」
怒りは何時の間にか公子様……カスパーへと向けられ幾度となくカスパーの背に編み棒が振り下ろされ棒はすぐに折れた。
今日の彼は、まるで私へのプロポーズをするかのように正装を身に着けており、それによって妨げられた編み棒は呆気なく負けたのだ。 昨日の晩、小指をせいっ!!とした私の方が酷い事をしているのは確かである。
それでも、その程度で済んでいても……狂気に言葉にならない叫びは、恐怖でしかない。
カスパーが一目惚れだと手土産付きで訪れる事なんて……
黄色の君が暴力的行為に出るなんて……
どちらも予測等していなかった。
混乱で、私の声は泣き叫んでいるかのように聞こえるようだったのは、私を庇い抱きしめていたカスパーが……身体で視界を塞ぎ、両手で私の耳を塞いでいたからだろう。
リリーと赤の方が、両サイドから黄色の方の腕を取りとめた。
「うわぁああああああああああああ」
泣き崩れる黄色の方。
呆然とする私。
哀れなものを見るような赤の方。
私を案し涙ぐむリリー。
「大丈夫?」
安心させようと私に向かって笑みを向け問いかけるカスパー。
「私は……ビックリしただけです」
やがて屋敷中の人々が集まってきた。
老執事アーメントは、ケガの状況を確かめ。 筆頭侍女はその場にいる者達の精神状態を案じていた。
「僕は、少し背が痛いだけ。 だけど、彼女は落ち着いた方が……いや、ココに居るものの精神状態を案じた方がいいかもしれない」
何処か他人事のように言うカスパーに対して、筆頭侍女は冷ややかな視線を黄の方へと向けていた。 それでも、お腹を抱えるように床にうずくまる黄の方へと筆頭侍女は手を差し出す。
「腹の子が大切なら悪影響を受ける薬は避けた方がいいのですが……」
最後まで言わずとも分かった。
言葉こそ案じているが、表情は別だ。 正反対な思いが浮かび出ている。
このような女の子が、公爵家に必要なのか? と、言う感情……。 生まれてもいないうちから可哀そうに……。 私は、ただ憐れむしかできない。 死人も居なかったしケガも無い……いえ、あえて危険な状態があるとするなら、黄の方の胎児が最も危険な状況に陥っているでしょう。
「心を穏やかにするハーブティがあります。 ここまで気持ちが乱れてしまっては、どれほどの効果があるかはわかりませんが、どうか彼女のために……」
両親の善良さは、特に弱者に向けられる。 私が、暴力の矛先にあうと言う事は無かっただけで、彼女のように子供は出来たが、産み育てる自信がなく錯乱する母親は幾度も見てきており、我が家の主治医と共に身体に影響の少ないハーブティを調合したのだ。
まぁ、効果は、気分八割と言うところでしょうか?
「ありがとうございます」
そう告げたのは、赤の方だった。
やがて訪れた警備の者が、公子の子が腹にいるにもかかわらず、少々乱暴な様子で黄の方の腕を取れば、言葉にならない叫びと共に暴れ出す。 だから、警備の者も少々乱暴に両手を抑え込み、黄の方の身体を緊張へと追い込んでいくのが見えて分かった。
もう少し、穏やかに……でないと……赤ん坊が……。
私が言ったところで、火に油を注ぐだけだと黙って……私は、哀れな女性をジッと見つめるしかない。
黄の方の味方をしたのは赤の方だった。
「やめて、彼女のお腹には赤ん坊がいるのよ!!」
「お腹の子が大事なら、大人しくしろ!!」
「彼女はどうしましょう」
凶器と言っていいのかどうかわからないような品だけれど、それでも、最初の通り私の目に棒を突き刺していたなら、私は死んでいたかもしれない。
「地下の牢へ」
カスパーは冷ややかな様子で告げれば、断末魔を叫ぶ獣のように黄の君は大口を開け叫びだす。 そして、それを止めるのも赤の君だ。
「彼女のお腹にいるのはカスパー様の子です。 どうか……慈悲を……かけてやってください。 部屋の周りに警備をつければ……子供のいる女の身で逃げ出すと言う事は難しいでしょう」
「分かった……警備は厳重に……」
カスパーの声には、呆れ、侮蔑、疲労が混ざっていた。 ケガの確認をとアーメントがカスパーが服を脱ぐのを手伝えば、騎士として戦場に出ていただけあり、良く鍛えられていて、その背には殆ど傷は残っていなかった。
「若様には傷はございませんが、錯乱状態にある方を今まで通りお過ごしいただくと言うのは難しいのではないでしょうか?」
それはアーメントがカスパーに向けた言葉で、声色には冷ややかな……軽蔑とも言える色が混ざっていた。
「そう、ですね……。 少し、落ち着いてから考えさせてください。 今の僕は混乱していて、上手くものを考えられそうにありません」
そう答えるカスパーは俯き、黄色の方を振り返る事は無く。 警備の者の腕を振りほどきカスパーの背に縋りつこうとする黄色の方を、赤の方が必死に止めるのだった。
「僕は……もう、彼女を愛する事は出来そうにない……」
呻くような言葉……。
「公子様の浅はかな態度が招いた事だと言う事を、忘れないでください。 公子様とあの方がどのような愛を築いていたのかは分かりません。 ですが……公子様は、彼女にも彼女の子にも責任を負われるべきだと思います。 でなければ、生まれて来る赤ん坊が余りにも不憫です」
私の言葉に、カスパーはショックを受けていた。
そして、ソレは苛立ちへと怒りへと変わっていく。
「助けてもらっておいて礼も言えないのか!!」
私はもう一度繰り返す。
「公子様の態度が招いた結果です」
結局、私は……その日、公爵様との面会をキャンセルさせてもらった。 だけれど……私は全ての原因は私がそこにいたせいだと、公爵家本館で過ごす事の許可をアーメントにとってもらうのだった。
だけど、その次の瞬間……二人の感情や態度と言えば全く正反対へと向かう。
赤の方は、混乱と後悔、そして嘆きを露わにする。
黄の方は、私の行動を嫌がらせだと判断し怒り出す。
私は、彼女達が張り付いていたバルコニーに面したドアを開き、黄の方へと素早く囁いた。
「彼の愛を繋ぎとめたいなら、怒ってはダメ」
怒って良いのは……そこに絶対的な愛があるか、利害関係があるときに限る。 でなければ、自分を貶めるだけ。
生まれてくる赤ん坊には罪はない。
だけど、公子の中に赤ん坊に対する愛は無いように思えた。
もし、生まれて来るだろう赤ん坊に愛着があると言うなら、彼は私にアピール等する訳がないのだから……。
開かれた扉を黄の方は強引に押し開く。
相手が妊婦だと、私は反射的に身を引いていた。
「うるさいわね!! アンタに何が分かるのよ!! 全部!! アンタが悪いんだから!!」
甲高い叫びは、私の配慮をすべて無駄にした。
カスパーは目を開き……悪鬼の形相を私に向ける黄の方を見ていたのだ。 だからこそ黄の方の次の行動を止める事が出来た。
黄の方は叫びながら、外で編み物をしていた棒を手に、私の目に向かって突き刺そうとしたのだ。
赤の方が叫び、私は逃げようとする。 私の腕は掴まれ、床に押し倒されそうになった。 流石に失明は……いえ、こんな事で命を失うのは遠慮したい。
そんな状況から助けてくれたのは公子様だった。 真っ青な顔で公子様は叫び、私の手を引き抱き寄せ、黄の方に背中を向けて庇ったのだ。
それが余計に怒らせたが……だからと言って他に方法が無かったのも確かでしょう。
「なんでよ!! どうしてよ!! 私を大切だと、愛していると言ってくれたのは嘘なの!!」
怒りは何時の間にか公子様……カスパーへと向けられ幾度となくカスパーの背に編み棒が振り下ろされ棒はすぐに折れた。
今日の彼は、まるで私へのプロポーズをするかのように正装を身に着けており、それによって妨げられた編み棒は呆気なく負けたのだ。 昨日の晩、小指をせいっ!!とした私の方が酷い事をしているのは確かである。
それでも、その程度で済んでいても……狂気に言葉にならない叫びは、恐怖でしかない。
カスパーが一目惚れだと手土産付きで訪れる事なんて……
黄色の君が暴力的行為に出るなんて……
どちらも予測等していなかった。
混乱で、私の声は泣き叫んでいるかのように聞こえるようだったのは、私を庇い抱きしめていたカスパーが……身体で視界を塞ぎ、両手で私の耳を塞いでいたからだろう。
リリーと赤の方が、両サイドから黄色の方の腕を取りとめた。
「うわぁああああああああああああ」
泣き崩れる黄色の方。
呆然とする私。
哀れなものを見るような赤の方。
私を案し涙ぐむリリー。
「大丈夫?」
安心させようと私に向かって笑みを向け問いかけるカスパー。
「私は……ビックリしただけです」
やがて屋敷中の人々が集まってきた。
老執事アーメントは、ケガの状況を確かめ。 筆頭侍女はその場にいる者達の精神状態を案じていた。
「僕は、少し背が痛いだけ。 だけど、彼女は落ち着いた方が……いや、ココに居るものの精神状態を案じた方がいいかもしれない」
何処か他人事のように言うカスパーに対して、筆頭侍女は冷ややかな視線を黄の方へと向けていた。 それでも、お腹を抱えるように床にうずくまる黄の方へと筆頭侍女は手を差し出す。
「腹の子が大切なら悪影響を受ける薬は避けた方がいいのですが……」
最後まで言わずとも分かった。
言葉こそ案じているが、表情は別だ。 正反対な思いが浮かび出ている。
このような女の子が、公爵家に必要なのか? と、言う感情……。 生まれてもいないうちから可哀そうに……。 私は、ただ憐れむしかできない。 死人も居なかったしケガも無い……いえ、あえて危険な状態があるとするなら、黄の方の胎児が最も危険な状況に陥っているでしょう。
「心を穏やかにするハーブティがあります。 ここまで気持ちが乱れてしまっては、どれほどの効果があるかはわかりませんが、どうか彼女のために……」
両親の善良さは、特に弱者に向けられる。 私が、暴力の矛先にあうと言う事は無かっただけで、彼女のように子供は出来たが、産み育てる自信がなく錯乱する母親は幾度も見てきており、我が家の主治医と共に身体に影響の少ないハーブティを調合したのだ。
まぁ、効果は、気分八割と言うところでしょうか?
「ありがとうございます」
そう告げたのは、赤の方だった。
やがて訪れた警備の者が、公子の子が腹にいるにもかかわらず、少々乱暴な様子で黄の方の腕を取れば、言葉にならない叫びと共に暴れ出す。 だから、警備の者も少々乱暴に両手を抑え込み、黄の方の身体を緊張へと追い込んでいくのが見えて分かった。
もう少し、穏やかに……でないと……赤ん坊が……。
私が言ったところで、火に油を注ぐだけだと黙って……私は、哀れな女性をジッと見つめるしかない。
黄の方の味方をしたのは赤の方だった。
「やめて、彼女のお腹には赤ん坊がいるのよ!!」
「お腹の子が大事なら、大人しくしろ!!」
「彼女はどうしましょう」
凶器と言っていいのかどうかわからないような品だけれど、それでも、最初の通り私の目に棒を突き刺していたなら、私は死んでいたかもしれない。
「地下の牢へ」
カスパーは冷ややかな様子で告げれば、断末魔を叫ぶ獣のように黄の君は大口を開け叫びだす。 そして、それを止めるのも赤の君だ。
「彼女のお腹にいるのはカスパー様の子です。 どうか……慈悲を……かけてやってください。 部屋の周りに警備をつければ……子供のいる女の身で逃げ出すと言う事は難しいでしょう」
「分かった……警備は厳重に……」
カスパーの声には、呆れ、侮蔑、疲労が混ざっていた。 ケガの確認をとアーメントがカスパーが服を脱ぐのを手伝えば、騎士として戦場に出ていただけあり、良く鍛えられていて、その背には殆ど傷は残っていなかった。
「若様には傷はございませんが、錯乱状態にある方を今まで通りお過ごしいただくと言うのは難しいのではないでしょうか?」
それはアーメントがカスパーに向けた言葉で、声色には冷ややかな……軽蔑とも言える色が混ざっていた。
「そう、ですね……。 少し、落ち着いてから考えさせてください。 今の僕は混乱していて、上手くものを考えられそうにありません」
そう答えるカスパーは俯き、黄色の方を振り返る事は無く。 警備の者の腕を振りほどきカスパーの背に縋りつこうとする黄色の方を、赤の方が必死に止めるのだった。
「僕は……もう、彼女を愛する事は出来そうにない……」
呻くような言葉……。
「公子様の浅はかな態度が招いた事だと言う事を、忘れないでください。 公子様とあの方がどのような愛を築いていたのかは分かりません。 ですが……公子様は、彼女にも彼女の子にも責任を負われるべきだと思います。 でなければ、生まれて来る赤ん坊が余りにも不憫です」
私の言葉に、カスパーはショックを受けていた。
そして、ソレは苛立ちへと怒りへと変わっていく。
「助けてもらっておいて礼も言えないのか!!」
私はもう一度繰り返す。
「公子様の態度が招いた結果です」
結局、私は……その日、公爵様との面会をキャンセルさせてもらった。 だけれど……私は全ての原因は私がそこにいたせいだと、公爵家本館で過ごす事の許可をアーメントにとってもらうのだった。
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