婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?

伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。
人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。
これでは領民が冬を越せない!!

善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。

『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』


と……。

そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。
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