Cassandra

ライト@あご割れガンマン

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本編

ep.1 変遷

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Cassandra



 日課として私は、
デバイスに日記をつける事にした。
 宇宙暦220年
私達は現在、
地球圏の少し先にある小さな惑星
その中の第3前哨基地に居る。
  つい3日前、
第2前哨基地からの通信が途絶えた
...おそらく奴等にやられたのだ。
このまま行けば私達の第3前哨基地も
奴等に潰されるのだろう。
そんな日記をつけ、
ひとまず私は眠りに付くことにした。

                 ーとある情報科のメモ書きー

   現在の日時は午前7時前後、
普通なら朝食の配給が始まる時間帯だが

普通の日常は、戦闘警戒のサイレンにより
突如として終わりを迎えたのであった。
機械の摩擦音や、
モーターの起動音に加え様々な声が飛び交っていた

「おい!いいか?
テメェの今乗ってる機体は旧式の量産機過ぎねぇんだ」

   ガラガラと聞き取りづらい声...
いや、目の前に居る杖つきの老年のそれは
もはや声と言うよりも
怒号とも取れるようなもの凄い剣幕だった。

「機体問題以前に、お前は..」

   俺は、ぐちぐち言ってくるであろう
ヤッさんのその言葉を途中でぶった切り
「ヤッさん、いつものだろ?わかってるさ」

   液晶付近のスイッチを操作しながら
会話に対応しなければならない。

「ーーお前は1人の人間パイロットだ、
慢心するな、仲間を大切にしろ、
自分もくひょうを見失うな、
何があっても生き残れ。ーー
だろ?」

ヤッさんの決まり文句だった。
不満そうな顔でヤッさんはコクコクと頷く。


   そして、決まって最後は...

「「ハッチを(は)壊すな。」」

   そう言って、
俺はヘルメットのバイザーを下ろし
機体のコックピットを閉じる。

   完全にコックピットが閉じると、
カタパルトに固定された脚部に
負荷がかかり、

「カリム・ウェンドリッヒ
BTR-0βに搭乗完了しました!
軌道補正お願いします!」

コックピット内部の気圧が重くなる
ハッチが開き始めたのだろう。

ーーー直後。

『ガツン!!』
とカタパルトの留め具が外され
加速装置の起動とともに
ハッチのレーンに向かって軌道修正される、

(こっちのハッチ、
開くまで少し時間がありそうだな。)

  コックピット内の前方下部にある
ナビゲーションの
システムの動作確認をする。

「えーと、Eドライブの数値は正常、
圧力メーターも...大丈夫っと
関節部、外装共に異常なし。」

『おい!カリム!
何してんだ!とっとと出撃しろ!』

「あ!すみません!」

時間など無かった。

  急いでブースターの出力と
ハードポイントを確認する。

※ハードポイント
:武装等を取り付ける場所である。

 サブモニターに武装が表示される。

:搭載武装
120mmマシンガン
シールド付属4連ミサイル
クラッカー

ド派手な物はない。
量産機らしい装備だ。

「出撃準備完了!
敵反応確認。緊急出撃します!」

マニピュレートレバーのすぐ脇にある
推力レバーを勢いよく前に押し、
『ガツン』と音がすると。

ーーーーーー『射出。』

機体付属の、
補助システムによる機械音声が
コックピット内部に響いた。

   機体が前方に加速しシュミレートとは比べ物にならない程のGの洗礼を
身体に浴びる。

「...グ。」

ハッチから出撃した俺は、
メインモニター越しの
外の光景を見てしまった。

「なんだ、こりゃ」

  次々と出撃していく機体。

どの機体も、
数コンタクト後には激しい戦闘を繰り広げていた。

※コンタクト
:レーダーで敵を捕捉する事。

だが..
敵は敵国でもなんでもない。

ーー表すなら謎の生物、、、。
その外装には陽の光があたり
宝石のような美しい光沢を放っていた。
人型のモノやドライフルーツの様なモノも居た。

   それらは皆巨大であり
一番小さいものでも、
小型の戦闘機ぐらいはあった。

   それらの特徴としては統一して
真ん中に《コア》があるようだ。

その中の数体がこちらを?向いていた。

ーーん?
コアが光って...。

ーー次の瞬間。
「アッぶねぇ!!」

機体の脚部先端が微かに焦げた。
危うく紙一重で躱したが...

次々と光線や光弾が飛んでくる。

「あんなの避け切れるかって...の!」

空中で機体を翻し真下に加速する。

  先ほどと同じ様に、
複数本光線が俺の機体を追尾し飛んでくる。


「そりゃあ、逃がしちゃくれねぇわな...」


『ーーエネルギー反応。
急接近しています。ーーー』

アラート反応が今更来た。

「おせーよポンコツが!」

   ドライフルーツ型の...やつらが
フワフワと不気味に浮遊しながら
高速でこちらに迫ってきている。


『ーー敵反応識別。
コンタクトします。ーーー』

  こちらも、
そこそこの速度で飛行しているが
回避行動も取らなければならない。

ーーこのままでは、

「確実に追いつかれるな。」


  近づかれれば確実に
あの変なレーザーみたいなものをほぼ零距離でぶち込まれるだろう。

  うちの基地内のシュミレートでは、
総合ランク5に入りエース扱いだったが。

現実はシュミレーションほど甘くはない。

追いつかれ、接触すれば確実に殺られる。

零距離であの光線を避けうる技能など無い。

味方機はほぼ基地の防衛で手一杯、、。

   自分の背中を、
汗がツーっと伝うのが分かる。

背筋に悪寒が走り
基地内の日常や、家族との記憶が
一瞬、脳裏に浮かぶ。

ーーーいいや。

ーーまだ行ける、
ーー死んでたまるか。

「各種ブースター!
フルブースト準備!」

ーーアフターバーナーを起動準備ーー

近づく敵を一気にこちらに引きつける。

『ーーー熱源反応』

  次にレーダー内に敵を捕捉する。

「だから、」

ーーアフターバーナー使用準備完了。ーー

  補助画面を見るとレーダー内の赤点が
ワンテンポごとに近づいている。

『多数接近中ーーー。』


「おせぇっての!!」

  補助画面内の赤点は眼前。

メインモニターにもデカデカと映る。

「エンゲージ!!」

ーーアフターバーナー展開!!ーー

   上空へと向け急加速を開始させる。

ーーと、同時に
物凄いGが身体を軋ませる。

「....ッ!!」

  この機体で出せる瞬間速度では最速のはずだ。

だが、
まだ足りない。

   バックモニターで後方確認すると、
機体の背後スレスレでドライフルーツ共が
迫って来ているのが分かる。

少しチェイスを続けると、
敵の速度が少し落ち

真ん中のコアが少しピカリと光った。

ーー刹那。
一斉に光をまとったレーザーが照射される。

「ーーーーッ!!」

  機体を急旋回させ
一本一本を確実に正確に避けていく、
ミスは許されない。

「うおおおおぉぉぉ!!」

身体にのしかかるGに耐えつつ、

  オートロックする時間ひまなどない、
振り向きざまに、マシンガンを構え
マニュアル操縦で
マシンガンによる射撃を行い迎撃を図る。

  ーーーが、
カツンカツンと火花を散らすだけで
ダメージは入っていない様に思えた。

「ッ...!!」

クソッタレが!

   そのまま、背面へと加速し
シールドに付属するミサイルを
全てぶち込む。

ーーこれなら!

「喰らえぇっ!!」

爆破の炎と煙が上がり、
爆音の衝撃が機体を貫き身体に響く。

「どうだ!?」

その場から離脱し
背面へと急いで逃げる。

『ーー敵反応、追尾して来ます。ーー』

ーー硬すぎる。

と、
煙の中から、
複数体の光沢が顔を出す。

「チッ...ん?」

  待て、1体足りない。

加速し、旋回、上下運動と繰り返しながら
敵を撹乱、同時に索敵を行う。

ーーどうやらドライフルーツ型は、
1度射撃するとほんの少しだが、
チャージタイムが存在するようだ。

と、煙の中に動きがおかしなヤツがいた。

中央部が焼け、飛び方も少しおかしい。

ーー『コア』だ。
コアが弱点か?

こちらを向きながらブルブルと震えている。

「効いてる...のか?」

と、そいつに気を取られすぎたのか。

  側面からドライフルーツ型1体の
接近を許してしまった。

コアが光り、
こちらを捉える。

まずい、

「...ッ!!しくじっ...」

シールドを構える。


ーーーと、
次の瞬間。

  熱光を纏った弾丸が、
側面に接近していた奴を貫く。

『ヌェギョ!!』

   そんな奇っ怪な音を慣らし、
直後エネルギーのせいなのか
弾丸のせいなのか、
コアの球体?が膨れ上がり内部爆破を起こした。

『ヒュ~♪ナイスダンスだったぜ、
アクロバティックスター。』


直接通信が入った。
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