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異世界生活
16 魔法
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あの激しい夜から一夜明けた現在。俺はヴォルフに相談があると言って、真面目な顔で彼と向き合っている。
「回復魔法を覚えようと思います」
「……はぁ??」
突拍子もない俺の提案に、素っ頓狂な言葉で返すヴォルフ。彼の反応も尤もではあるが、これは急務である。
「ちょっとヴォルフ君のアソコの大きさをなめてました。このままじゃ日常生活に支障をきたしてしまいます」
そう言って、自分のお尻をさする俺。
もうね、すごかったよ。何が凄かったって、ナニがスゴカッタンダ。
もし俺が初めてだったら、ぶっ壊されてたところだよ全く。
俺の言わんとしていることが理解できたのか、申し訳なさそうに頬を指でポリポリ掻くヴォルフ。
「す、すまん! そんなに……だったか?」
「そんなに、でした」
いや、気持ち良かったんだけどね。それとこれとはまた別というか。
とにかく、これからも後顧の憂いなくヤルためにも、回復魔法は必須なのである。
今後どちらかが怪我をする可能性も十分あるんだから、戦闘的にも必要だしね。
しかしそんな俺の意気込みの出鼻をくじくように、ヴォルフが口を開いた。
「あー……、でもよ、回復魔法ってのは長い間、神事に仕えた神官とかしか覚えられねぇって聞いたぜ?」
そう申し訳なさそうに話すヴォルフ。
なんと。スキルを覚えるのにそんな制約があったのか。
……ん? でも待てよ――
「でも前に俺のスキル一覧を見た時、回復魔法もその一覧の中に入ってたぞ?」
確かこの世界に来て最初に確認したとき、基本的な魔法や武術のスキルは全て一覧に入っていたはずだ。
そのことを思い出し、安心する俺。
しかしヴォルフはそんな俺の言葉を聞き、何やら呆れ気味である。
「はぁ……。お前が規格外だってことは知ってるつもりだったが、そんなことまで出来んだな。多分そんなこと出来んのは、この世界でお前だけなんじゃねぇか?」
そう言って、やれやれと首を振るヴォルフ。
なんか馬鹿にされてるみたいでちょっとむかつくが、まぁでもこんな素敵チートが俺に隠れていたとは行幸だ。
なんでも、この世界の人にとってスキルっていうのは、頑張って訓練をした果てに手に入れるものらしい。
たまに先天的に身に付けたりしている人もいるらしいが、そんなのは稀なんだと。
身に付きやすさの大小はあれど、そんな簡単に手に入れられる物じゃないんだってさ。
だとしたら、俺の【ステータス操作】スキルって、超チートスキルってことじゃないか。
俺はレベルを上げてスキルポイントさえ手に入れれば、タップ1つでスキルが手に入ってしまうんだから。
この世界に連れて来てくれたのが誰だかは知らないが、是非とも感謝しておかなくては。
ん? そう言えば確か、ヴォルフのスキルポイントも余っていたような……。
ステータス確認、っと。
ヴォルフ・シュタインゲルト 24歳
Lv13 奴隷契約(所有者:サク・イロハ)
筋力 60
体力 48
瞬発力 82
器用 72
魔力 60
スキル 剣術2 体術1 回避2 気配察知2 気配遮断1 闇魔法1
固有スキル 取得経験値減少(大)
スキルポイント 1
お、やっぱり1ポイント余ってる。試しに何か取れないだろうか。スキルポイントの所をタップしてっと。
……ん~、俺のと違って、かなり武術や探索系に偏ったスキルしか取れなさそうだな。あとは申し訳程度の魔法か……。ヴォルフのステータスは瞬発や器用に偏ってるから、そっちを伸ばす構成にした方が良いよなぁ。
えーっと、この【暗視】スキルなんてのはどうだろう。ダンジョンの中ってちょっと薄暗くて見ずらいって思ってたんだよね。ヴォルフが取ってくれれば俺も同時に取れる訳だから、ここで取っておいてもらって損はなさそうだ。
「なぁヴォルフ。ヴォルフのスキルポイント1つ余ってるから、暗視のスキル取っちゃってもいいかな?」
一応確認しておくべきだろうと彼に尋ねる俺。しかしそんな俺の言葉を聞いて、彼は口をパクパクさせ始め、そしてしばらくして諦めたようにがっくりと肩を落とした。
「そうか、お前だけじゃなく、俺までもが規格外になっちまったんだなぁ……いいよ、お前の好きにしてくれ。俺はちょっと疲れた」
そういって、そのまま横になってしまうヴォルフ。なんだよ人を化け物みたいに言いやがって。いいじゃん便利になったんだからさ。
まぁいいや。気をとりなおして、早速暗視スキルを取得してみようか。
ポチっとな。
「……おぉ、すげぇ」
取得した瞬間、薄暗くて見えにくかった部屋の景色が、一気にクリアに見えるようになった。
これがスキルの力か……。こりゃ早い所レベルを上げて、色々とスキルを取得しないとな!!
そうと決まればこうしちゃいられない。
「ヴォルフ! さっさと準備して迷宮行こうぜ! レベル上げだレベル上げ!!」
俺はケツの痛みも忘れ、意気揚々と寝ているヴォルフを叩き起こす。
取得経験値減少がなんぼのもんじゃい! ゴブリンを片っ端から倒しまくって、じゃんじゃんレベル上げしてやんよ!
「回復魔法を覚えようと思います」
「……はぁ??」
突拍子もない俺の提案に、素っ頓狂な言葉で返すヴォルフ。彼の反応も尤もではあるが、これは急務である。
「ちょっとヴォルフ君のアソコの大きさをなめてました。このままじゃ日常生活に支障をきたしてしまいます」
そう言って、自分のお尻をさする俺。
もうね、すごかったよ。何が凄かったって、ナニがスゴカッタンダ。
もし俺が初めてだったら、ぶっ壊されてたところだよ全く。
俺の言わんとしていることが理解できたのか、申し訳なさそうに頬を指でポリポリ掻くヴォルフ。
「す、すまん! そんなに……だったか?」
「そんなに、でした」
いや、気持ち良かったんだけどね。それとこれとはまた別というか。
とにかく、これからも後顧の憂いなくヤルためにも、回復魔法は必須なのである。
今後どちらかが怪我をする可能性も十分あるんだから、戦闘的にも必要だしね。
しかしそんな俺の意気込みの出鼻をくじくように、ヴォルフが口を開いた。
「あー……、でもよ、回復魔法ってのは長い間、神事に仕えた神官とかしか覚えられねぇって聞いたぜ?」
そう申し訳なさそうに話すヴォルフ。
なんと。スキルを覚えるのにそんな制約があったのか。
……ん? でも待てよ――
「でも前に俺のスキル一覧を見た時、回復魔法もその一覧の中に入ってたぞ?」
確かこの世界に来て最初に確認したとき、基本的な魔法や武術のスキルは全て一覧に入っていたはずだ。
そのことを思い出し、安心する俺。
しかしヴォルフはそんな俺の言葉を聞き、何やら呆れ気味である。
「はぁ……。お前が規格外だってことは知ってるつもりだったが、そんなことまで出来んだな。多分そんなこと出来んのは、この世界でお前だけなんじゃねぇか?」
そう言って、やれやれと首を振るヴォルフ。
なんか馬鹿にされてるみたいでちょっとむかつくが、まぁでもこんな素敵チートが俺に隠れていたとは行幸だ。
なんでも、この世界の人にとってスキルっていうのは、頑張って訓練をした果てに手に入れるものらしい。
たまに先天的に身に付けたりしている人もいるらしいが、そんなのは稀なんだと。
身に付きやすさの大小はあれど、そんな簡単に手に入れられる物じゃないんだってさ。
だとしたら、俺の【ステータス操作】スキルって、超チートスキルってことじゃないか。
俺はレベルを上げてスキルポイントさえ手に入れれば、タップ1つでスキルが手に入ってしまうんだから。
この世界に連れて来てくれたのが誰だかは知らないが、是非とも感謝しておかなくては。
ん? そう言えば確か、ヴォルフのスキルポイントも余っていたような……。
ステータス確認、っと。
ヴォルフ・シュタインゲルト 24歳
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スキル 剣術2 体術1 回避2 気配察知2 気配遮断1 闇魔法1
固有スキル 取得経験値減少(大)
スキルポイント 1
お、やっぱり1ポイント余ってる。試しに何か取れないだろうか。スキルポイントの所をタップしてっと。
……ん~、俺のと違って、かなり武術や探索系に偏ったスキルしか取れなさそうだな。あとは申し訳程度の魔法か……。ヴォルフのステータスは瞬発や器用に偏ってるから、そっちを伸ばす構成にした方が良いよなぁ。
えーっと、この【暗視】スキルなんてのはどうだろう。ダンジョンの中ってちょっと薄暗くて見ずらいって思ってたんだよね。ヴォルフが取ってくれれば俺も同時に取れる訳だから、ここで取っておいてもらって損はなさそうだ。
「なぁヴォルフ。ヴォルフのスキルポイント1つ余ってるから、暗視のスキル取っちゃってもいいかな?」
一応確認しておくべきだろうと彼に尋ねる俺。しかしそんな俺の言葉を聞いて、彼は口をパクパクさせ始め、そしてしばらくして諦めたようにがっくりと肩を落とした。
「そうか、お前だけじゃなく、俺までもが規格外になっちまったんだなぁ……いいよ、お前の好きにしてくれ。俺はちょっと疲れた」
そういって、そのまま横になってしまうヴォルフ。なんだよ人を化け物みたいに言いやがって。いいじゃん便利になったんだからさ。
まぁいいや。気をとりなおして、早速暗視スキルを取得してみようか。
ポチっとな。
「……おぉ、すげぇ」
取得した瞬間、薄暗くて見えにくかった部屋の景色が、一気にクリアに見えるようになった。
これがスキルの力か……。こりゃ早い所レベルを上げて、色々とスキルを取得しないとな!!
そうと決まればこうしちゃいられない。
「ヴォルフ! さっさと準備して迷宮行こうぜ! レベル上げだレベル上げ!!」
俺はケツの痛みも忘れ、意気揚々と寝ているヴォルフを叩き起こす。
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