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16話 名乗る程でもない奴らリターン
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教室で込み入った話すのも何なので、手早く昼食を済ませ中庭に移動しようという俺の提案が受け入れられた。
言うまでもありませんが食事中の静けさと言ったらもうマナー抜群な感じでしたよね。
それはそれとして、二人に話す前にやって置かなければいけないことがある。
「おい、夜音」
こっそりと、夜音の横に立ち、二人に聞こえないように話す。
「なに?」
「おま、声が大きい。あとこっち見んな」
あ、やべ。
こっち見んなは言いすぎたか?
「なによ?」
意外にもそこはスルーしてくれた。
「すまん。前を向いて小声で答えてくれ」
夜音は律儀に合わせてくれた。
基本的には素直だな。
「後ろの二人に事情を話すにあたってお願いがあるんだ」
「聞きましょうか」
「遺跡にいったことは秘密にしつつ説明するから、そういうことにしてくれないか?」
「ワケあり? まあ、それくらいなら別に構わないわよ」
「すまん、ありがとう。そのうち礼はする」
「え、私と組んでくれるの?」
「それはそれ、これはこれ」
「はいはい。わかったわよ」
場所を中庭に変え響、水雪、夜音の三人に向かって昨日の出来事を説明した。
遺跡探索で終電を逃し、野宿をしていた夜音が酔っぱらいに絡まれていた。
そこに居合わせて、成り行き上仕方なく家に泊めた、という設定で説明した。
まあ概ね間違ってはいない。
もちろん、俺が遺跡にいったことは隠して。
「と、いうわけで。コイツをウチに泊めた結果、あのメモを残していったってわけだ」
「まあ大体そんなところね」
話を聞いていた夜音から肯定の声が上がった。
「にしてもあんた、私が心配だから来たんだ? かわいーとこあるじゃない」
「ああ。我ながらあの頃の俺は可愛かったな。こんな胸無しワガママ女の心配をするなんてどうかし……ゴフッ!」
いてぇ……。
返答がお気に召さなかったらしい。
笑顔を保ったままボディにいいのを一発貰った。
「にしても、あんた、私が心配だから来たんだ? かわいーとこあるじゃない」
なんだこれは?
デジャブ? いや、無限ループの予感を感じる。
回避行動に出なければ。
「ああそうだよ心配しましたよ。まさかネゴシエイターだとは思わなかったけどな」
今度はお気に召したのか、ヨシヨシと頭を撫でられた。
ぺしっ!
「ええい、うっとーしい」
ナデナデ……。
ぺしっ!
「素直じゃないわねぇ」
ナデナデ……。
ぺしっ!
払いのけても払いのけても手が伸びてくる。
これが噂の無限ループ?
二重に罠をはるとはやりやがる。
「はーい、そこまでー」
「……近い」
響が俺を、水雪が夜音を後ろから羽交い締めにして引き離す。
おぅふ、背中に被弾した。
響さんってば大胆。
「……真人」
喜びが思わず顔に出てしまったのか、水雪に物凄い睨まれた。
「つまりあれだね。真人はただ単に野宿するつもりだった残念な夜音ちゃんを見るに見かねて仕方なく泊めてあげたってことでいいんだよね?」
響が極限まで端折ってまとめた。
確かに残念なヤツだな。
「ざ、残念っていわないでくれる!? ちょっと! あんたの周りには失礼な奴しかいないの!?」
「お前も含めてな」
「あんた、ケンカ売ってるわけ?」
「ああん? かかってこいやぁ。お前のその防御力皆無な胸に一発食らわせてやんよぉ」
「やってみなさいよこの色情魔。冤罪の恐ろしさをその身で体感するといいわ」
「上等だ。お前の平らさを全国区にして『平良さんて、すっごい平らよねー♪』とか噂される、まな板アイドルに育て上げてくれるわぁ」
俺と夜音が罵り合ってると、水雪が聞いてきた。
「真人」
ピタリ!
「ハイ。なんでしょう?」
この混乱に乗じて有耶無耶にしようと思ったが、やはりそうもいかないようだ。
うん、どんな仕打ちも受け入れようじゃないか……。
「遺跡に行ったの?」
あれ? なんかそういうテンションじゃないな。
「あ、ああ……俺は遺跡にいってない。夜音は行ってたみたいだけどな」
「そう」
なんとかごまかせた……かな?
「でも」
「でも?」
「真人の家に泊め無くても、他に選択肢はあったんじゃない?」
「いや、それは緊急事態だったから仕方なく……」
「そうだねー。私んちでも問題ないよねー」
響が口を挟んできた。
何やらニコやかに。
「お前んちはちょっと離れてるだろう」
「私はお隣さん」
「いや……まぁそうだな。そういえば……そんな選択肢も……あったカナー」
白状しよう。
それは考えました。
でもワタクシとて年頃の学生さんなわけで……。
少し言いよどんだ俺を見て、響が不敵な笑みを浮かべる。
「ほぅ? 真人くんや。それでは聞き方を変えましょーか。下心が無かったと言い切れるのカナー?」
「あたりまえだ。やましいことなど何も無い。なぁ? 何もなかったよな?」
迷ったら負けだ。弱みを見せたらヤラれる。
「ほぅ? どうなの、夜音ちゃんとやら」
裁判官かお前は。
「どうかしらねぇ。お風呂覗こうとしたし。執拗に。着替えは用意してくれたけど下は無かったし」
「え?」
「え!?」
水雪と響が一瞬固まった。
響はにっこり笑うと、笑顔のまま無造作に俺の胸ぐらをガッチリ掴んだ。
「こんのロリコンやろう……!」
「ちょっと。誰が幼女よ」
「響、遠慮はいらない。苦しむようにしてあげて」
苦しむように!? 苦しまないようにじゃなくて!?
「ふ……腐腐腐……ラッキースケベくらいかと思ったらとんでもない地雷を掘り当てちった……!」
「まて! 誤解だ! 夜音!? お前あれはちょっとした冗談だろうが! 下はサイズ合うのが無かったんだよ!」
「それでも、しっ、下は履かせなさいよ!?」
「下が無いって言ってもサイズがでかいからワンピースみたいなもんなんだよ!」
「はっ、裸ワイシャツ!?」
「あー、男って好きよねそういうの」
「お前、火に油注いどいて、なに部外者っぽく相槌打ってんの!?」
「そう、真人は穿いてない子が好みだと」
水雪が何かを学習したように頷いた。
「まてええええええええええええええ! それじゃただのヘンタイじゃねえか!?」
「うっさい!」
「真人はゴミクズ」
「違うんだよほんとに! まじで!」
「新しい遊びを発見したわ」
「ごめんなさいでしたぁあああ! 多少の下心はありましたぁあああああ!」
学校の中庭に俺の悲鳴が響いた――。
言うまでもありませんが食事中の静けさと言ったらもうマナー抜群な感じでしたよね。
それはそれとして、二人に話す前にやって置かなければいけないことがある。
「おい、夜音」
こっそりと、夜音の横に立ち、二人に聞こえないように話す。
「なに?」
「おま、声が大きい。あとこっち見んな」
あ、やべ。
こっち見んなは言いすぎたか?
「なによ?」
意外にもそこはスルーしてくれた。
「すまん。前を向いて小声で答えてくれ」
夜音は律儀に合わせてくれた。
基本的には素直だな。
「後ろの二人に事情を話すにあたってお願いがあるんだ」
「聞きましょうか」
「遺跡にいったことは秘密にしつつ説明するから、そういうことにしてくれないか?」
「ワケあり? まあ、それくらいなら別に構わないわよ」
「すまん、ありがとう。そのうち礼はする」
「え、私と組んでくれるの?」
「それはそれ、これはこれ」
「はいはい。わかったわよ」
場所を中庭に変え響、水雪、夜音の三人に向かって昨日の出来事を説明した。
遺跡探索で終電を逃し、野宿をしていた夜音が酔っぱらいに絡まれていた。
そこに居合わせて、成り行き上仕方なく家に泊めた、という設定で説明した。
まあ概ね間違ってはいない。
もちろん、俺が遺跡にいったことは隠して。
「と、いうわけで。コイツをウチに泊めた結果、あのメモを残していったってわけだ」
「まあ大体そんなところね」
話を聞いていた夜音から肯定の声が上がった。
「にしてもあんた、私が心配だから来たんだ? かわいーとこあるじゃない」
「ああ。我ながらあの頃の俺は可愛かったな。こんな胸無しワガママ女の心配をするなんてどうかし……ゴフッ!」
いてぇ……。
返答がお気に召さなかったらしい。
笑顔を保ったままボディにいいのを一発貰った。
「にしても、あんた、私が心配だから来たんだ? かわいーとこあるじゃない」
なんだこれは?
デジャブ? いや、無限ループの予感を感じる。
回避行動に出なければ。
「ああそうだよ心配しましたよ。まさかネゴシエイターだとは思わなかったけどな」
今度はお気に召したのか、ヨシヨシと頭を撫でられた。
ぺしっ!
「ええい、うっとーしい」
ナデナデ……。
ぺしっ!
「素直じゃないわねぇ」
ナデナデ……。
ぺしっ!
払いのけても払いのけても手が伸びてくる。
これが噂の無限ループ?
二重に罠をはるとはやりやがる。
「はーい、そこまでー」
「……近い」
響が俺を、水雪が夜音を後ろから羽交い締めにして引き離す。
おぅふ、背中に被弾した。
響さんってば大胆。
「……真人」
喜びが思わず顔に出てしまったのか、水雪に物凄い睨まれた。
「つまりあれだね。真人はただ単に野宿するつもりだった残念な夜音ちゃんを見るに見かねて仕方なく泊めてあげたってことでいいんだよね?」
響が極限まで端折ってまとめた。
確かに残念なヤツだな。
「ざ、残念っていわないでくれる!? ちょっと! あんたの周りには失礼な奴しかいないの!?」
「お前も含めてな」
「あんた、ケンカ売ってるわけ?」
「ああん? かかってこいやぁ。お前のその防御力皆無な胸に一発食らわせてやんよぉ」
「やってみなさいよこの色情魔。冤罪の恐ろしさをその身で体感するといいわ」
「上等だ。お前の平らさを全国区にして『平良さんて、すっごい平らよねー♪』とか噂される、まな板アイドルに育て上げてくれるわぁ」
俺と夜音が罵り合ってると、水雪が聞いてきた。
「真人」
ピタリ!
「ハイ。なんでしょう?」
この混乱に乗じて有耶無耶にしようと思ったが、やはりそうもいかないようだ。
うん、どんな仕打ちも受け入れようじゃないか……。
「遺跡に行ったの?」
あれ? なんかそういうテンションじゃないな。
「あ、ああ……俺は遺跡にいってない。夜音は行ってたみたいだけどな」
「そう」
なんとかごまかせた……かな?
「でも」
「でも?」
「真人の家に泊め無くても、他に選択肢はあったんじゃない?」
「いや、それは緊急事態だったから仕方なく……」
「そうだねー。私んちでも問題ないよねー」
響が口を挟んできた。
何やらニコやかに。
「お前んちはちょっと離れてるだろう」
「私はお隣さん」
「いや……まぁそうだな。そういえば……そんな選択肢も……あったカナー」
白状しよう。
それは考えました。
でもワタクシとて年頃の学生さんなわけで……。
少し言いよどんだ俺を見て、響が不敵な笑みを浮かべる。
「ほぅ? 真人くんや。それでは聞き方を変えましょーか。下心が無かったと言い切れるのカナー?」
「あたりまえだ。やましいことなど何も無い。なぁ? 何もなかったよな?」
迷ったら負けだ。弱みを見せたらヤラれる。
「ほぅ? どうなの、夜音ちゃんとやら」
裁判官かお前は。
「どうかしらねぇ。お風呂覗こうとしたし。執拗に。着替えは用意してくれたけど下は無かったし」
「え?」
「え!?」
水雪と響が一瞬固まった。
響はにっこり笑うと、笑顔のまま無造作に俺の胸ぐらをガッチリ掴んだ。
「こんのロリコンやろう……!」
「ちょっと。誰が幼女よ」
「響、遠慮はいらない。苦しむようにしてあげて」
苦しむように!? 苦しまないようにじゃなくて!?
「ふ……腐腐腐……ラッキースケベくらいかと思ったらとんでもない地雷を掘り当てちった……!」
「まて! 誤解だ! 夜音!? お前あれはちょっとした冗談だろうが! 下はサイズ合うのが無かったんだよ!」
「それでも、しっ、下は履かせなさいよ!?」
「下が無いって言ってもサイズがでかいからワンピースみたいなもんなんだよ!」
「はっ、裸ワイシャツ!?」
「あー、男って好きよねそういうの」
「お前、火に油注いどいて、なに部外者っぽく相槌打ってんの!?」
「そう、真人は穿いてない子が好みだと」
水雪が何かを学習したように頷いた。
「まてええええええええええええええ! それじゃただのヘンタイじゃねえか!?」
「うっさい!」
「真人はゴミクズ」
「違うんだよほんとに! まじで!」
「新しい遊びを発見したわ」
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