異世界は何か？都合が悪いね！

都合を合わせよう

扉は開かれたが、出落ちである

  俺が異世界に憧れ始めたのは、特に気兼ねなく体を充分に動かしたいという欲求が理由の一つである。

 中２の頃から、風呂屋に行くたび思った。

 太ももふっとくね！体格がっちりしすぎてね！と。幼い頃から水泳をやっていたからか、はたまた遺伝の影響かは分からない。
 ただ、武道とか相撲をやっとけば良かったと…筋肉のつき方がまさに力士のそれなのである。宝の持ち腐れであった。

 それを特に、活かしたいと思ったのが夢あふれる異世界であった。きままにモンスターなどと、勝ち負けを気にせずに、直感を元に戦いたい！負けたらログアウト死亡だけどな！
 その他には思いつきを試したいのだよ！妄想もいいけど、自分の体で体験したかったのさw妄想を実現させてくれるのが異世界のはずっ！

 えぇ…いちおう異世界への扉は開かれましたよ。
 開かれましたよ、木の数メートル上に。木の頂点の尖ってるところに体が刺さらないよう体勢をなんとか整えましたよ…。ただいま風に揺られながら実況しております。制服に木の枝が刺さっただけに留めましたよw
 確率は低いだろうが、異世界転移を待つだけ待った結果がコレだよ！最初から締まらねぇなおい！

 (歪みから)出てきたところで落ちて引っかかる。見事な出落ちだなw
 そういえば、微乳の女神様に名前を聞くのを忘れてたなw神ともなれば高位の存在だろうし名前を聞いてもいいのだろうか？今更だけどな！

 もし再び会うことがあれば、名前を聞こう。そしてお茶会に誘ってやるっ！

 俺がぶらぶら揺れている高さは地上7メートル級だ。まともに落ちたら怪我で済むかな？出だしから無茶はごめんだ、ノーセンキュー。
 転移してすぐに、ピンチになったら誰かが助けてくれるというテンプレを期待して何もしないでいた。10分ほど風に煽られてみたが、誰も助けてくれない、もう十分•か。
 というか周りに誰もいないだだっ広～い草原だよ、草原だ。見渡してみると木もまばらに生えていた。
 …いちおう周りにダレかいるにはいるけど…それはモンスターだ！スライムだ！今はお呼びでないわよ！
 俺が出落ちしてからずっと木の下からこちらを見ているような気がする。なんか不気味よのう。少し離れたところに見えるスライムよりも若干色が濃いし。
 モンスターに会うことを物凄く楽しみにしていたが、なんとも都合が悪い。 
カットからのリテイクを要求したい。
落ちるのはいいけど、せめて地上3メートル級くらいにしてちょうだい！

早くなんとかしなければ！この状況。
どうせ夜になったら碌でなしっ！
エビ吊るされてるおれで鯛飢えたモンスターを吊り上げかねないからねw