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さつまいも

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【シナリオ】電光石火BOY

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人  物
小倉 優(05)(10)(21)(25)モデル
坂上 芳(05)(10)(21)(25)小倉の友人
女性ライター
子供A、B、C
坂上の母
小倉の叔父
カメラマン
スタジオバイト

○応接室
   六畳ほどの部屋。
部屋の側面は大きな窓がある。
応接セットがあり、机にはテレコとベンダーで淹れたが珈琲が置かれている。
椅子には、白の開襟シャツに黒のゴルチェのスーツ。
胸には銀のアーミープレートをし、容姿の整った小倉優(24)が足を組んで座っている。
その正面に、メモを手にしている女性ライターが座っている。
小倉「そうですね、男の魅力ですか…。そうだな、俺は、ただ服装きめてても、それだけじゃダメかなって思いますね」
   ライター、一瞬えっと言う顔をするが、直ぐに表情を変え、愛想笑いをする。
ライター「とても意外に感じるんですが…」
   小倉、思い出したように微笑み、窓の外を見る。
外には大きな看板。

○ビルの屋上
   大きな看板には、”Guilty”のロゴと、開襟のシャツに、銀のアーミープレート、黒のスーツを着た小倉が、黒のスリップドレスを着た後ろ向きの女性の髪を抱きしめ、香水の瓶を持っている。
小倉の声「そうですか?俺は昔から思ってるんですけど、何にでも、玉砕覚悟で向かっていてる強さ。そんなものに感じますね」

○回想・赤沢銀座・入り口
   T字路の先端に”赤沢銀座”と電球で装飾されたアーチが建っている。
その先には商店が軒を並べている。
通行人は、主婦や老人など数人いる。

○空き地の中
   枯れ始めは雑草が生い茂っている。
   土管が三個重ねられている裏で、腕や足が泥と血液に汚れた小倉(05)がいる。
   同世代の子供五人が、小倉を取り囲んでいる。
子供A「やーい、”しせいじ~”」
子供B「こいつ、父親に捨てられたんだぜ」
子供C「あいじんのこども~」
   ぎゅっと歯を噛み締め、反論しない小倉に、ますます子供が調子に乗り、蹴り、殴る。
坂上芳(05)の声「やめろよ!」
   坂上は、小倉の前に立つと、正面の子供達を睨み付け、ファイティングポーズを取る。
坂上「やめろよ!そう言うの、弱いものいじめって言うんだぞ!」
子供A「何言ってるんだ! そいつの母ちゃんは、人の父ちゃん取ったって、母ちゃんが言ってたんだぞ」
坂上「だから何だってんだ! そんなのこいつに関係ないだろ!」
   子供達は、坂上に襲いかかる。
小倉がおろおろしながら見つめていると、坂上が、子供達に受けてたっている。
× × ×
   ぼろぼろになった子供達が逃げる。
子供B「おぼえてろー!」
   子供達に坂上は、アカンベをする。
坂上「おぼえてないよー!」
   泥まみれの坂上を、唖然とした顔で、小倉は見つめる。
その視線に気づき、坂上が照れた表情しながら、地面に座り込んでいる小倉に手を差しのべる。
   小倉は、傷の痛みを押さえながら、ゆっくりと立ち上がる。
坂上「大丈夫か?」
   小倉はうなずきながら、呟く。
小倉「いつも…、ありがとう…」
   瞳に、涙をいっぱいためている小倉の頭を、坂上は微笑みながら撫でる。
坂上「泣くな…、優!お前のことは、俺が守ってやる。優を虐めるやつは、俺が蹴散らしてやるから!」
小倉「芳君…」
   しゃくり上げながら、小倉は坂上を見つめる。坂上が小倉の手を引き、ゆっくりと二人は歩き始める。

○同・前の道
   両サイドを塀に囲まれた、舗装されていない道。
泥だらけの坂上と小倉が遠ざかって行く。

○元のビルの屋上
   小倉(25)が、後ろ姿の女を抱いた、香水の看板。
その景色が、かなりのスピードで、通り過ぎて行く。

○車道
   周りをビル群に囲まれた、二本車線に、黒の2ドアのポルシェが走っている。

○車内
   助手席では、移りゆく窓の景色を、ボーっと眺めている小倉。
運転席には、小柄で、童顔に眼鏡をかけた坂上(25)がいる。
小倉「芳は、俺のマネージャーになって、後悔とかしてないの?」
坂上「いきなり何云い出すんだ?お前のマネージャーになって、もう二年だぜ?」
小倉「いやさ、良い大学出て、一流企業に就職決まってたのに、モデルクラブのマネージャーなんて…」
   坂上の表情を小倉は、ルームミラーから伺う。
鏡からは、車の前後を気にしながら、口を尖らせて、渋い表情をしている坂上がいる。
坂上「そんなの気にするなよ。優はいつでも自分の中に何でも、貯めすぎるから、放っておけないだけだよ」
小倉「そんなことないけど…」
坂上「無くないだろう?お前の母ちゃんが、出て行っちまった時だって…」
小倉「ああ、あの時ね…」
   溜息を付きながら、小倉は車窓を見る。

○車道
   周りをビル群に囲まれた、二本車線に、黒の2ドアのポルシェが走っている。

○回想・コーポ緑川の全景
   壁側面に”コーポ緑川”と書かれた二階建ての木造アパート。

○同・小倉家の中
   四畳の部屋に、電気が点いてない、家具は、ちゃぶ台と、空の引出がはみ出しているタンスしかない。
ちゃぶ台の前に、小倉(10)は、ぽつんと座っている。
人影が映り、ばたーんと勢いよくドアが開き、坂上(10)が入ってくる。
小倉「…」
坂上「あの…、母ちゃんから、お前の母ちゃんが出てっちまったって聞いて…、その…」
   坂上は、表情のない小倉に駆け寄り、抱きしめる。
坂上の温もりを感じ、泣き出す。
泣きじゃくる小倉の頭を、坂上が撫でる。
坂上「泣くな、一緒に家に来いよ。なっ…」
   うなずく小倉。

○坂上家の全景
   二階建ての一軒家。表札には”坂上”と書かれている。

○同・ダイニング
   おやつを用意する坂上の母。ランドセルを背負っている坂上。
坂上「え!優、出て行ったの!」
坂上の母「いつまでも、家にいるわけにいかないでしょう?叔父さんが、迎えに来たのよ」
   唖然とする坂上。

○道路
   小倉の叔父に手を引かれて、歩いている小倉。

○元の車道
   周りをビル群に囲まれた、二本車線に、黒の2ドアのポルシェが走っている。

○車の中
   車窓を眺めている小倉。
坂上「でもさ、お前がこんなに売れると、本当は思ってなかったんだぜ」
小倉「え?」
坂上「まあ、俺はファッション雑誌とか見なかったからってのもあるんだけどさ…」
小倉「そう?」
坂上「お前が、お前の叔父さんとこ行った後、ずっとモデルやって、いたって知らなかったたし」
小倉「…」
坂上「お前の叔父さんが、デザイナーてのも知らなかったしな」
小倉「叔父ね…」
坂上「でも、大学の友達に頼まれて、スタジオのバイトして良かったよ」
小倉「芳?」
坂上「やっぱり、運命だね」
小倉「運命…、ね」

○回想・写真スタジオの中
   大きなライトが二台置かれ、何人も手伝いのバイトがいる。
中央にはカメラとその正面には白い幕が何枚か張られている。

○同・裏
   狭く細い道に、カメラマンが小倉(22)の腕を掴んでいる。
小倉「やめてください」
カメラマン「いいじゃないか!減るものじゃなし。撮影中ずっと俺を誘っていたじゃないか」
小倉「そんな…」
   無理矢理カメラマンは、小倉を抱きしめる。
小倉はそれから逃れようと、暴れる。
暗い通路にあかりがさす。
逆行を浴び、坂上(22)が現れる。
坂上「何をしてるんだ!」
小倉「芳…」
   安心した表情を小倉は見せる。

○元の車道
   周りをビル群に囲まれた、二本車線に、黒の2ドアのポルシェが走っている。

○車内
   坂上が車を止める。

○駐車場
   小倉が車を降りる。先導する坂上の後を付いていく。
坂上「行くぞ!優!俺は、ずっとお前を守ってやるからな」
   小倉は微笑む。

(完)
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