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退魔の輝き
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しかし、些事に構っていられない。
リリアを引きずるようにして走り出す。
ドラゴンは第2の追撃を繰り出そうと、再び尾を高々と持ち上げた。
(これは、嫌いな匂いを攻撃していると取るべき? イレーネに希望を託して……いいのだろうか)
走りながらオリヴィエは、答えの見えない疑問に困惑する。
しかし、次の瞬間には希望が潰えたと悟った。
尾が叩きつけられた衝撃で、リリアとオリヴィエの身体が浮いた。
吹き飛ばされたのに、追撃が加えられる。
横に尾が薙がれ、跳んだつもりが避け切れない。
「リリ……ぁぐっ!」
尾は掠った――程度だったのに、腿に痺れるような打撃を受けた。
あれだけの騎士たちに囲まれていても、決定的な動きを見せなかったと思われるドラゴンだ。
3度連続での攻撃には、何らかしらの意図がある。
リリアの零した液体は、効果を発揮しているに違いない。
残念なことに、忌避するが故の、攻撃対象になった。
更に惜しむらくは――リリア自身が、弾けた液体を浴びただろう点だ。
「リリア、無事?」
ちょっとやそっと距離を取っても、追撃される危険が高い。
「うん、転んだだけ……」
顔を上げたところにある、リリアの姿とそのすぐ後ろに、ドラゴンが抉っただろう爪痕が入った。
もう、考えている間がない。この足でリリアと共に、次の攻撃を回避する術がない。
「いい? 私を盾になさい。絶対に離しちゃだめよ」
「え……? オリ」
オリヴィエは火事場の馬鹿力でリリアを引きずって、無理矢理爪痕の窪みに押し込む。
一方的に命じると、その上から覆いかぶさった。
ギャオォオン!
頭上で雷鳴のような咆哮が上がる。
(――ああ、ルーカス。どうか……)
オリヴィエはリリアをギュッと抱きしめながら、目を閉じた。
他に取るべき行動が思いつかなかった。
オリヴィエが身を挺したところで、リリアが助かるか定かでない。
ただ、唐突に理解した。
私の人生はここで終わるんだ、と。
***
「オリヴィエェェェ!!!」
魔物の咆哮をも上回る絶叫が、鼓膜を震わせた。
それが自分の物だと気づくのに、いったい何秒要しただろう。
ドラゴンの尾は一撃で巨木を粉砕する。
一度でもまともに喰らったら、命はないだろう。
その、死をもたらす一撃が、オリヴィエを直撃した。
ズドン、と重量物が大地にぶつかる鈍い音がする。
怪鳥に攫われたオリヴィエが何故、ここにいるのか、わからない。
だが、リリアを庇ったのがオリヴィエなのは一目瞭然だ。
ルーカスがオリヴィエを見間違えるはずがない。
リリアを引きずるようにして走り出す。
ドラゴンは第2の追撃を繰り出そうと、再び尾を高々と持ち上げた。
(これは、嫌いな匂いを攻撃していると取るべき? イレーネに希望を託して……いいのだろうか)
走りながらオリヴィエは、答えの見えない疑問に困惑する。
しかし、次の瞬間には希望が潰えたと悟った。
尾が叩きつけられた衝撃で、リリアとオリヴィエの身体が浮いた。
吹き飛ばされたのに、追撃が加えられる。
横に尾が薙がれ、跳んだつもりが避け切れない。
「リリ……ぁぐっ!」
尾は掠った――程度だったのに、腿に痺れるような打撃を受けた。
あれだけの騎士たちに囲まれていても、決定的な動きを見せなかったと思われるドラゴンだ。
3度連続での攻撃には、何らかしらの意図がある。
リリアの零した液体は、効果を発揮しているに違いない。
残念なことに、忌避するが故の、攻撃対象になった。
更に惜しむらくは――リリア自身が、弾けた液体を浴びただろう点だ。
「リリア、無事?」
ちょっとやそっと距離を取っても、追撃される危険が高い。
「うん、転んだだけ……」
顔を上げたところにある、リリアの姿とそのすぐ後ろに、ドラゴンが抉っただろう爪痕が入った。
もう、考えている間がない。この足でリリアと共に、次の攻撃を回避する術がない。
「いい? 私を盾になさい。絶対に離しちゃだめよ」
「え……? オリ」
オリヴィエは火事場の馬鹿力でリリアを引きずって、無理矢理爪痕の窪みに押し込む。
一方的に命じると、その上から覆いかぶさった。
ギャオォオン!
頭上で雷鳴のような咆哮が上がる。
(――ああ、ルーカス。どうか……)
オリヴィエはリリアをギュッと抱きしめながら、目を閉じた。
他に取るべき行動が思いつかなかった。
オリヴィエが身を挺したところで、リリアが助かるか定かでない。
ただ、唐突に理解した。
私の人生はここで終わるんだ、と。
***
「オリヴィエェェェ!!!」
魔物の咆哮をも上回る絶叫が、鼓膜を震わせた。
それが自分の物だと気づくのに、いったい何秒要しただろう。
ドラゴンの尾は一撃で巨木を粉砕する。
一度でもまともに喰らったら、命はないだろう。
その、死をもたらす一撃が、オリヴィエを直撃した。
ズドン、と重量物が大地にぶつかる鈍い音がする。
怪鳥に攫われたオリヴィエが何故、ここにいるのか、わからない。
だが、リリアを庇ったのがオリヴィエなのは一目瞭然だ。
ルーカスがオリヴィエを見間違えるはずがない。
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