サレカノでしたが、異世界召喚されて愛され妻になります〜子連れ王子はチートな魔術士と契約結婚をお望みです〜

きぬがやあきら

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寝室

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 不便ではあるが、下水は整備されているので困りはしない。

 だが、こうも綺麗さっぱり汚れものが消えた理由が理解できない。

「人体から排出される物質は、全て自然に還るものだ。精霊を使役して、分解し、あるべきところへ還した」

「分解って、バイオトイレ的な? そんなことまでできるの!?」

 ヴァイスの説明を受けて、シオンは目を輝かせる。

 どうやった、かの部分は謎だが、理屈はなんとなくわかった。

「他の者はどうか知らないが、できるな」

「すごい! 魔術ってすごいね。ありがとう、ばっちりよ」

 シオンが掛け値なしで褒めちぎるとヴァイスは、素敵と言って差し支えない輝くばかりの微笑を浮かべた。

 浮いたままではやりにくいので寝台に寝かせてもらって、シオンは手早く元の当て布とオムツを装着する。

 リラは気持ち良さそうに、うとうとと微睡み始めたので、布団をかけて木製の枠を引き上げた。

「寝ちゃった。きっとしばらく起きないわ」

「そうか。なら、俺たちも寝るとしよう」

(う……)

 一旦霧散した気恥ずかしさが再び襲ってきた。

 気取られる前に寝てしまおうと、シオンはぎこちない動作で寝台に上がる。

 ベッドには天蓋がついているが、リラもいるため開きっぱなしだった。

 1人用にしては広すぎるキングサイズで、2人で寝転んでもそこそこの余裕がある。

(でも、いっそのこと隣の寝室に移れば良かったかな。あっちのほうがベッド、もっと広かったよね……)

 などと後悔しても後の祭りだ。

「明かりを消すぞ」

「あ、そうね。今日は月が明るいから……。あ、そっか。ヴァイスならそういう灯も、必要な時に出せるわよね」

 シオンはふと、昼間シャルロットの前で目撃した、青い炎を思い出した。

「青い炎は攻撃用だから普段は使わない。通常の火ももちろん出せる。興味があるのか?」

「えっ、うん。そりゃ……色々できたら便利だもん!」

 シオンは掛け布団を持ち上げたまま、勇気が出ずにシーツに潜り込めないでいた。

 照れを隠すために、つい食い気味な返答をしてしまう。

「シオンもできる。前にも言ったが、シオンには膨大な魔力がある。魔術は魔力を対価に発現させるものだ」

 ああ、それで。

 今朝は治癒の魔術を使うだけの魔力が足りなかったのだったと、納得する。

 炎を発現させられたのは、治癒と炎では消費する魔力に差があるからか。

 そこまで考えて、ヴァイスが足りない魔力を補った方法を思い出し、頭を振る。

「どうした? やり方が分からないなら教師をつけるか……。いや、書物を読んだほうが早いか。でなければ、俺が教える」

「何でもない。私にできるかなって心配になっただけ。本でわかるなら先ずは読んでみるね。ヴァイスに教えてもらうのも悪いし」

「悪くない。俺はシオンの夫だ」

 シオンは誤魔化し半分だったのに、ヴァイスは至極真面目な顔で答えた。

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