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泣き女と対価の代償
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今回はこびと四兄弟ではなく、久々のあの方のお話です。
「何てことしてくれたのよ!!」
「ん・・・・?」
黒の森の主である泣き女のもとにやってきたのは、緩いウェーブをかけたピンク色の髪に栗色の瞳の庇護欲のそそる人間の男だったら確実に彫れるであろう可愛らしい少女が目を吊り上げドスドスとガニ股で泣き女に近づき叫んだ。
「何の用?光の妖精」
「しらばっくれんじゃないわよ!!アンタ何であんなことしたのよ!!」
「・・・・・?」
ピンク頭の少女―-光の妖精の言っている意味が解らず泣き女は不思議そうに首を傾げる。
「・・・この間、人間の女の子がこの森にやって来たでしょう?赤い髪の女の子。」
そう言われてああっ、と納得した。
1週間前に人間世界から迷い込んだ少女のことを思い出した。あてもなくただ森をさまよう少女はまだ幼く、その小さな体はガリガリにやせ細り、目もあまりにも虚ろだったために、泣き女はすぐに少女を人間界に帰してやった。
「何か問題でも?」
「大ありよ!!アンタ何であの子の髪の「色」を奪ったのよ!!」
泣き女は元の世界に戻す変わりに少女の「赤い」髪を奪ったのだ。
「?元の世界に戻すには対価が必要だったから。それに髪の色が変わったからってあの子は死にやしないでしょう。何か問題でもある?」
「大アリよ!!アンタがあの子の髪の色を奪ったせいであの子の運命がぜ~~んぶくるっちゃったのよ!!」
「運命・・・?」
光の妖精が言う事には、あの少女は光の妖精が加護を授けた王子に見初められ結ばれ、やがて王妃になる運命にあるらしい。
「・・・・・・馬鹿馬鹿しい。」
「はぁぁぁ!?ふざけんじゃないわよ!!だいたいこの間だって・・・・・」
ガミガミガミと文句を言う光の妖精のお説教を泣き女は右から左へと聞き流した。
(光の妖精はああ言っているけど、あの子は決して幸せにならない。)
湖を通して見えた少女の未来はあまりにもむごく残酷なものだった。だからこそ泣き女は対価として少女の「赤い」髪を奪った。
「もういい!!わたし帰る!!」
ドスドスと髪を振り乱し、ガニ股で光の妖精は去っていった。「じや~ね~」と泣き女はその後ろ姿に向かって手を振った。
「光の妖精がガニ股なんて恥ずかしくないのかしら・・・・さてと・・・」
光の妖精が立ち去ってすぐに泣き女が湖に手をかざすと、ポウッと水面に映像が映し出された。
その映像には少し成長したあの少女が映し出されている。
髪の色を失った少女だが、その瞳は生気に溢れており、同年代の少女と一緒に楽しそうにおしゃべりをしている。
次に映し出された映像をみて泣き女はフッと口角を緩ませた。
そこには助産師にとりあげられ大きな声で泣く赤ん坊の姿が写しだされていた。
産まれたばかりの我が子を涙目で抱きしめる母親の姿を若い助産師は目を潤ませ母子の様子を見守っている。
「……………運命なんてものはコッチが決めるものじゃなくて、本人が選択し決めるもの。そうでしょう。」
水面の映像を泣き女はそう髪の色を失った少女ーーーーー若い助産師 ーーに向けて問いかけた。
かつて何も映さなかった瞳はまっすぐ未来をみつめていた。
「何てことしてくれたのよ!!」
「ん・・・・?」
黒の森の主である泣き女のもとにやってきたのは、緩いウェーブをかけたピンク色の髪に栗色の瞳の庇護欲のそそる人間の男だったら確実に彫れるであろう可愛らしい少女が目を吊り上げドスドスとガニ股で泣き女に近づき叫んだ。
「何の用?光の妖精」
「しらばっくれんじゃないわよ!!アンタ何であんなことしたのよ!!」
「・・・・・?」
ピンク頭の少女―-光の妖精の言っている意味が解らず泣き女は不思議そうに首を傾げる。
「・・・この間、人間の女の子がこの森にやって来たでしょう?赤い髪の女の子。」
そう言われてああっ、と納得した。
1週間前に人間世界から迷い込んだ少女のことを思い出した。あてもなくただ森をさまよう少女はまだ幼く、その小さな体はガリガリにやせ細り、目もあまりにも虚ろだったために、泣き女はすぐに少女を人間界に帰してやった。
「何か問題でも?」
「大ありよ!!アンタ何であの子の髪の「色」を奪ったのよ!!」
泣き女は元の世界に戻す変わりに少女の「赤い」髪を奪ったのだ。
「?元の世界に戻すには対価が必要だったから。それに髪の色が変わったからってあの子は死にやしないでしょう。何か問題でもある?」
「大アリよ!!アンタがあの子の髪の色を奪ったせいであの子の運命がぜ~~んぶくるっちゃったのよ!!」
「運命・・・?」
光の妖精が言う事には、あの少女は光の妖精が加護を授けた王子に見初められ結ばれ、やがて王妃になる運命にあるらしい。
「・・・・・・馬鹿馬鹿しい。」
「はぁぁぁ!?ふざけんじゃないわよ!!だいたいこの間だって・・・・・」
ガミガミガミと文句を言う光の妖精のお説教を泣き女は右から左へと聞き流した。
(光の妖精はああ言っているけど、あの子は決して幸せにならない。)
湖を通して見えた少女の未来はあまりにもむごく残酷なものだった。だからこそ泣き女は対価として少女の「赤い」髪を奪った。
「もういい!!わたし帰る!!」
ドスドスと髪を振り乱し、ガニ股で光の妖精は去っていった。「じや~ね~」と泣き女はその後ろ姿に向かって手を振った。
「光の妖精がガニ股なんて恥ずかしくないのかしら・・・・さてと・・・」
光の妖精が立ち去ってすぐに泣き女が湖に手をかざすと、ポウッと水面に映像が映し出された。
その映像には少し成長したあの少女が映し出されている。
髪の色を失った少女だが、その瞳は生気に溢れており、同年代の少女と一緒に楽しそうにおしゃべりをしている。
次に映し出された映像をみて泣き女はフッと口角を緩ませた。
そこには助産師にとりあげられ大きな声で泣く赤ん坊の姿が写しだされていた。
産まれたばかりの我が子を涙目で抱きしめる母親の姿を若い助産師は目を潤ませ母子の様子を見守っている。
「……………運命なんてものはコッチが決めるものじゃなくて、本人が選択し決めるもの。そうでしょう。」
水面の映像を泣き女はそう髪の色を失った少女ーーーーー若い助産師 ーーに向けて問いかけた。
かつて何も映さなかった瞳はまっすぐ未来をみつめていた。
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