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四兄弟、秋の森を歩く
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秋が深まり、こびとの里の北側にある森の木々たちは鮮やかな黄色や濃い朱色に染まり始めていた。
「・・・・ん?」
ライリーが振り返ると、燃えるような紅葉の赤と柔らかな銀杏の葉の黄色が絨毯のように一面に広がり、その横にコンモリと落ち葉が積もっている。
――今、誰かに呼ばれた気がしたんだけど、空耳かなあ・・・。
ライリーはキョロキョロと辺りを見回すが誰もいない。
「ライリー、ラ~イ~リー~ここだよ~~。」
「へっ?」
再び振り返ると、落葉の山から勢いよく何かが飛び出してきた。驚きのあまり尻餅をついたライリーはムッと口を尖らせ、その人物を軽く睨んだ。
「もぅ、ルカ兄さんおどかさないでよ」
「えっへへ、ごめんね~。」
大丈夫?と言って手を伸ばしライリーを引き起こすルカの姿をカインは呆れながらも見つめていた。
「2人とも楽しそうですね。」
「そうだなぁって・・・うおっ!?」
振り返ると、エドワードは家から持参した籠に栗や銀杏、茸、山菜などがドッサリと詰め込まれていた。
「・・・兄さん結構な量を採ったなぁ。」
「いやぁ…色々と拾っていたら、いつの間にかこんなに採れちゃいました。」
家に帰ったらこれで色んな料理が作れそうですねと、上機嫌なエドワードにカインはハァッ…と溜息を吐くと、ふと何かの気配を感じたカインは後ろを振り返る。
「・・・・・・・」
目の前に見覚えのある落葉の山がガサガサと不自然な動きをしていた。
また、ルカが隠れているんだろうと思い落葉の山に声を掛けた。
「・・・おいルカ、いいかげ・・・「カイン兄さん何してんの」 アレっ?」
声のする方を振り返ると、エドワードと一緒に不思議そうな顔で自分を見るルカをカインは落葉の山を交互に見比べる。
「あれっ、ルカ?じゃあこれって・・・「お~い、に~い~さ~ん」
ライリーの声が森に響き渡り、振り返って見るとライリーとルカの友人で、エドワードの教え子でもあるキアーラがいた。
「おやっ、キアーラさん、どうしましたか?今日はヴァーイは?」
「それが、ヴァーイがどこにもいなくて探しているんです。」
どうやら、森を散策中にはぐれてしまったらしい。
「エドワード兄さん達見ていない?」
「う~ん、見てませんねぇ。」
「そうだなぁ・・・アイツどこ・・・?」
ハッとあることに気づいたカインはチラリと先ほどの落葉の山に目を向ける。よく耳を澄まして見ると、落葉の山の中からヴァーイらしい鼻歌は聞こえてきた。
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
ーーよし、見なかった事にしよう。
「・・・・帰りますか。」
「そうだな。」
「エドワード兄さん、今日のおやつなに~?」
「キアーラちゃんも来るウチに。」
「いいんですか?」
「うん。いいよねエドワード兄さん。」
落ち葉の山を前に、兄弟とキアーラは踵を返し森をあとにした。
「・・・・・・・・」
兄弟たちが帰った後、ヒューッと冷たい風の音が森の中にむなしく響き渡った。
その帰り道にて
「………でもヴァーイさん、落ち葉の山に隠れて何するつもりだったんだろうね。」
「気にしないほうがいいよライリー。」
「そうですよ。」
「あのキアーラ至上主義の変態従者が何考えているかなんてわかんないから、お前もあんまり気にするなよ。」
酷い言われようだなぁと思いつつ、ライリーは「わかった」と答えた。
数分後、「お嬢様酷いじゃないですか、私を置いていくなんて!!」と体のあちこちに落ち葉をつけた半泣きのヴァーイが四兄弟の家に突撃することとなる。
「・・・・ん?」
ライリーが振り返ると、燃えるような紅葉の赤と柔らかな銀杏の葉の黄色が絨毯のように一面に広がり、その横にコンモリと落ち葉が積もっている。
――今、誰かに呼ばれた気がしたんだけど、空耳かなあ・・・。
ライリーはキョロキョロと辺りを見回すが誰もいない。
「ライリー、ラ~イ~リー~ここだよ~~。」
「へっ?」
再び振り返ると、落葉の山から勢いよく何かが飛び出してきた。驚きのあまり尻餅をついたライリーはムッと口を尖らせ、その人物を軽く睨んだ。
「もぅ、ルカ兄さんおどかさないでよ」
「えっへへ、ごめんね~。」
大丈夫?と言って手を伸ばしライリーを引き起こすルカの姿をカインは呆れながらも見つめていた。
「2人とも楽しそうですね。」
「そうだなぁって・・・うおっ!?」
振り返ると、エドワードは家から持参した籠に栗や銀杏、茸、山菜などがドッサリと詰め込まれていた。
「・・・兄さん結構な量を採ったなぁ。」
「いやぁ…色々と拾っていたら、いつの間にかこんなに採れちゃいました。」
家に帰ったらこれで色んな料理が作れそうですねと、上機嫌なエドワードにカインはハァッ…と溜息を吐くと、ふと何かの気配を感じたカインは後ろを振り返る。
「・・・・・・・」
目の前に見覚えのある落葉の山がガサガサと不自然な動きをしていた。
また、ルカが隠れているんだろうと思い落葉の山に声を掛けた。
「・・・おいルカ、いいかげ・・・「カイン兄さん何してんの」 アレっ?」
声のする方を振り返ると、エドワードと一緒に不思議そうな顔で自分を見るルカをカインは落葉の山を交互に見比べる。
「あれっ、ルカ?じゃあこれって・・・「お~い、に~い~さ~ん」
ライリーの声が森に響き渡り、振り返って見るとライリーとルカの友人で、エドワードの教え子でもあるキアーラがいた。
「おやっ、キアーラさん、どうしましたか?今日はヴァーイは?」
「それが、ヴァーイがどこにもいなくて探しているんです。」
どうやら、森を散策中にはぐれてしまったらしい。
「エドワード兄さん達見ていない?」
「う~ん、見てませんねぇ。」
「そうだなぁ・・・アイツどこ・・・?」
ハッとあることに気づいたカインはチラリと先ほどの落葉の山に目を向ける。よく耳を澄まして見ると、落葉の山の中からヴァーイらしい鼻歌は聞こえてきた。
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
ーーよし、見なかった事にしよう。
「・・・・帰りますか。」
「そうだな。」
「エドワード兄さん、今日のおやつなに~?」
「キアーラちゃんも来るウチに。」
「いいんですか?」
「うん。いいよねエドワード兄さん。」
落ち葉の山を前に、兄弟とキアーラは踵を返し森をあとにした。
「・・・・・・・・」
兄弟たちが帰った後、ヒューッと冷たい風の音が森の中にむなしく響き渡った。
その帰り道にて
「………でもヴァーイさん、落ち葉の山に隠れて何するつもりだったんだろうね。」
「気にしないほうがいいよライリー。」
「そうですよ。」
「あのキアーラ至上主義の変態従者が何考えているかなんてわかんないから、お前もあんまり気にするなよ。」
酷い言われようだなぁと思いつつ、ライリーは「わかった」と答えた。
数分後、「お嬢様酷いじゃないですか、私を置いていくなんて!!」と体のあちこちに落ち葉をつけた半泣きのヴァーイが四兄弟の家に突撃することとなる。
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