ホドワールの兄弟 

keima

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シーナおばさんからの贈り物

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「・・・・何だコレ?」

その日、四兄弟の家に小堤が届いた。しかし・・・ 

「開けるなキケンって・・・ルカ、ライリー。これなんだ?」

不思議に思ったカインはリビングで夏休みの宿題をやっているルカとライリーにたずねてみた。

「今日のお昼に届いたんだ。シーナおばさん宛てだよ。」 

「ああっ、ばあさんか・・・」

「カイン兄さん、ばあさんじゃないでしょう。」

ちゃんとおばさんと言わないと怒られるよ。と

「ばあさんはばあさんだろう。」

ルカ達がおばさんと呼んでいるシーナはこびと族のなかでも、寿命が長く魔法を得意とするホビット種の女性で、御年300歳になる彼ら四兄弟の祖母である。
魔法の才があるために、黒の森の泣き女とは古くからの友人であり、人間界に通じるゲートを使って様々な国や世界を旅して回っている

 「カインの言う通り、開けるなって書いてあるので分かりませんね。」

「まったく、人間界をフラフラ旅してきては俺らに土産だ~っていって変なモン送ってきやがっ「なぁぁんですってぇぇ~!!」・・・・イッテ~!!!!」

ゴッと言う鈍い音がして振り返ると、おしゃべりレターという、自らの姿に擬態させ、それに自分の声を吹き込み、相手に送る手紙だ。
そのおしゃべりレターは彼ら兄弟のよく似た人物へと姿を変えると、カインの後頭部に頭突きをしてきたのだ。
エドワードやライリーと同じ蜂蜜色の髪を肩まで切り揃え、パッチリとしたエメラルドグリーンの瞳に旅人らしい軽装。パッと見で16.7歳くらいの少女に見える彼女こそ、四兄弟の祖母にあたるシィーナだ。

「誰がフラフラしてるですってカイン!!アンタはひと言多いのよ!!
ちなみにこのおしゃべりレターには カインが何か余計なこと言ったら頭突きするよう付加オプションがかかっているから。
エドワード、リューク、ライリー。元気にしてる?風邪なんか引いていない? 
今日届いた小包は開けないで、夕方になったら、庭にこのままおいて下さい。ワタシからのサプライズプレゼントよ。それじゃあね。」

言いたいことだけ言っておしゃべりレターはポンッと音とともに跡形もなく消えていった。

「「「・・・・・・・」」」

「……だからって、オレを殴ることはないんじゃないか。」









「ねえ、エドワード兄さ~ん、置く場所ここでいいよね?」

夕方になり、ルカはシィーナおばさんの言うとおりに、庭のど真ん中に小包を置いた。

「バッチリです。ルカもう戻ってきていいですよ。」

「は~い!!」

そういうと、タッタッタと駆け足で兄達のいるベランダに戻ってきた。

「何が始まるんだろうね?ルカ兄さん。」

「何だろうなぁ。」

これから起こる何かにルカとライリーはワクワクと期待を膨らませる。
しかし、いつまで経っても小包には特に何も変化は起きず、時間だけが過ぎて行き、日が沈み空には無数の星が散らばっていた。 


「エドワード兄さん、何も起こらないよ。」

 「…そうですねぇ。」

「まったくばあさんのヤツ期待させといて・・・」

カインが文句を言おうとした瞬間だった。 

ヒュッンという音を立てて小包の中から閃光が飛び出してきて、グングンと暗くなっていく空に上がっていく。

そして・・・・


ドォォ~ン 

ドォォ~ン


夜の空に大輪の花が咲いた。

「「うわわぁ!!」」

ドーン、ドーンという音を上げながら火の花が何発もあがっていく。

「………花火。」

「だな………ばあさんの言っていたサプライズってこういうことだったか。」

「うわ~ッスゲ~!!」

「キレ~イ!!」

はじめてみる花火にルカとライリーは歓喜の声を上げ、魅入っている。
花火は様々な色や形をとりながら、すっかり日が暮れた夜空を鮮やかに咲き誇る。

「すごい綺麗だね、ね。エドワード兄さん。 カイン兄さん。」

花火に大興奮するライリーはそのテンションのまま、振り返り2人に問いかける。楽しそうなその表情に、エドワードとカインは顔を合わせクスリと笑った。 


「そうですね。」

「・・・そうだな。」

そう答えると、顔を上げて空に一瞬で咲いていく花火を見つめていた。 



この日、こびとの里に突然あらわれた花火に住民たちは驚きつつも、その美しさに皆、魅入られていた。

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