ホドワールの兄弟 

keima

文字の大きさ
上 下
7 / 16

エドワードのさんぱつ 

しおりを挟む
それは、ある晴れた日の出来事。エドワードの洗濯物を手伝っていたライリーの一言がきっかけだった。

 「エドワード兄さん、髪伸びたよね。」 

「・・・そうですか?」

 「うん。ねえ、カイン兄さんもそう思うよね。」 

「確かにそうだよなぁ。」

 前髪は真ん中で分けているが、目にかかるぐらいの長さまであるし、後ろ髪をヘアゴムでまとめており、明らかに長いのがわかる。


「……兄さん、最後に美容院行ったのいつだ?」

「………そういえば1年以上行っていない気が……」

「よし、切ろう。」

「えっ!?」

 「ライリー、たしか洗面台の下にケープとカット用のハサミがあるからとってきて。」 

「は~い!!」

「えっ、ちょっ…」

 カイルに言われ、ライリーは元気よくそれらを取りに家の中へと入っていった。   

「ちょっと待って下さい。誰が切るつもりなんですか?」

エドワードの問いにカインは 呆れ顔でこう言った。 

「そんなの、オレ以外に誰がいるんだよ。」





「カイン兄さ~ん、鏡の位置ここでいいの~?」

「オ~、バッチリ!!」

庭の真ん中に椅子を置き、そこにエドワードを座らせてケープをかける。そんなエドワードの目の前に普段は家の玄関前にある全身鏡が置かれた。 

「・・・やっぱり髪伸びたな。」

 「そうですか?」

「そうだよ。まったく、自分のことには無頓着だよなぁ。」

 ヘアゴムを外しブラシで梳かしてみると、エドワードの髪は肩につくくらいの長さまであった。 

「オレ別に美容師みたいにうまくないけど、失敗しても文句言わないでくれよ。」

 「そこは美容師カインにおまかせしますよ。」 

「……じゃあ、切るぞ。」

コームで長さを整え、指で挟んだエドワードの髪にハサミが入れられた。 

その後もコームで梳かし長さを調節していきながらエドワードの蜂蜜はちみつ色の髪を少しずつ切っていく。 

「フフフ・・・」 

「?何だよ。」 

「いえ、私達が子供だった頃はよく母さんが髪を切っていたなぁと思いましてね。」 

「・・・そうだったなぁ。」 

そう言い終えると、エドワードにかかっていたケープを取り外した。 

「ホイッ、おしまい。」

 「ありがとうございました。」  

「エドワード兄さんスッキリしたねぇ~。」

 肩まであった髪は項のあたりまで短くなり、前髪も眉の上あたりに整えられている。 
「あれ~、エドワード兄さん髪切ったの~?」

友達の家に遊びに行っていたルカが帰ってきてすぐ、長兄エドワードの髪が短くなっているのに気づいた。


 「カイン兄さんが切ってくれたんだよ。」

 「へえ~、さすがお医者さん。ハサミの扱いに慣れてるね。」

片づけつつ、 弟と妹のやりとりを見ながら、今度2人の髪も切ってやろうと思うカインだった。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

処理中です...