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35.最終話 身を引きません!

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早いもので生誕祭から半年が経った。


ダンテはというと学園は辞めさせられ、そのまま騎士団の養成所に送られたようだ。

養成所では貴族も平民も関係無く、騎士団になる為に厳しい訓練があり、空いている時間には厳しい労働が待っている。

今まで伯爵夫人に甘やかされ育ち、身体も鍛えていなかったダンテがその中で生きて行くのは大変だと思うが、最後に会った時のダンテの様子なら乗り切れるのではないかと思う。


そしてダンテが、謹慎中にも関わらずドレスや手紙を送ってくる事ができたのは、伯爵夫人が手引きしていたようだ。

こちらから送った忠告の手紙も、伯爵夫人がもみ消したようで、レヨング伯爵は何も知らなかった。

この事に激怒したレヨング伯爵は、夫人に離縁を申し出て、夫人は伯爵家を追い出されたらしい。
元から、前妻との子であるダンテの兄2人を虐げたり、ダンテだけを贔屓したりして、次何か問題を起こせば離縁だと言われていたらしい。



そしてアリエラも家族から勘当されて家を追い出されたようだ。

アリエラの両親は、流石に勘当までは考えていなかったようだが、アリエラの兄と兄嫁が、アリエラを追い出さなければ自分達が家を捨てて出て行くと揉めたらしい。

跡取りが出て行ってしまっては困ると、アリエラはさっさと縁を切られてしまったようだ。

生誕祭の日にアリエラが着ていたピチピチのグリーンのドレスは、兄嫁の亡き母の形見のドレスだったようで、アリエラは黙ってそのドレスを借り、ボロボロにしてしまったらしい。

今まで色々と迷惑を被り、時にはアリエラの尻拭いまでしてきたらしい兄嫁も我慢の限界だったのだろう。

学園では人の婚約者に色目を使い、生誕祭では皇太子様に叱責され醜態を晒したアリエラに縁談が来るわけも無い。


全て自分が招いた結果だが、今まで貴族令嬢として育ってきた彼女が平民として一人で生きて行くのはかなり至難の業だろう。



「さ、シャティア様。準備が整いました!皆さまお待ちですよ」


先日学園を卒業した私は、本日、ユーリス様と結婚する。

「うぐぅっうぐぐぅぷぐっ」
「まぁ、シャティア。とっても綺麗よ」

私のウェディングドレスを見てお父様は嗚咽しながら泣いている。
そんなお父様を気にする事なくお母様は私に微笑む。

「もう…お父様ったら大袈裟すぎますわ」
「うぐぅっだって…シャティがっ」
「あーはいはい、旦那様、行きますよー」

お母様がまた、お父様を引きずって行く。この光景前も見たような…。



泣きじゃくるお父様の腕に手を回し、ゆっくりと歩みを進める。

大きな扉の前で深呼吸。
この先には私達のために皆様が集まってくださっている。

そして開け放たれたその先にいたのは…
ユーリス様。


私と目が合ったユーリス様は一瞬驚いたかのように目を見開き、そして微笑む。

一歩一歩お父様とバージンロードを進み、ユーリス様の元へ。

彼の手を取ると私にだけ聞こえる声で、

「シャティア、綺麗だよ」

そう微笑んでくれる最愛の人。




どれだけ仲の良い幼馴染がいたって、どんな人が現れたって、ユーリス様、貴方からは絶対に身を引きませんからね!










fin.











ここまでお読み頂きありがとうございました。
誤字脱字大魔王のため、たくさん読み辛い点あったかと思いますが、完結まで毎日更新できたのは読んでくださった方々のおかげです。

本当にありがとうございました!


次作は、
「恋人の運命の人(笑)は私の友人」
です!


過去作「夫の不倫相手から「彼を解放して!」と押しかけられました」
の登場人物が出て来る予定です。
勿論、前作を読んでいなくても大丈夫な内容です。

良ければ次作もお付き合いください!



ありがとうございました!









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