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14.お花畑アリエラ視点(下)
しおりを挟むこの日家に帰ったらお父様も仕事を切り上げて急いで帰ってきた様子で、その顔は怒気を含んでいた。
「アリエラ。本日ハードラー子爵家から信じられない手紙が届いたのだが…ここに書いてある事は本当か!?お前はコニール様という婚約者がいるにも関わらず、ダンテにも手を出していたのか!!更にはダンテに嘘を吹き込み皆の前でハードラー子爵令嬢に恥をかかせるなんて…」
うわ…本当に子爵家から訴えられちゃった感じ…。
しかもお父様すごく怒ってる~。
「手を出すだなんて!ちょっと仲良くしただけだし、色々と大袈裟なのよ!」
「黙りなさい!お前は今日から暫く謹慎だ。しっかり反省しなさい!ハードラー子爵家は我が家に慰謝料として500万ベル払うようにと言っている。お前も持っている宝石やドレスを売って何とか金を作るんだ。あぁこの事がもしコニール様に知られたら……」
そう言って頭を抱えるお父様。
待って…?慰謝料…?
そんな、500万ベルなんてすぐ払えるわけ無いし、宝石もドレスも売りたく無い…!!
でも払わないともっと大事になってしまう…。
どうすれば…。
あ!そうだわ、お母様やお兄様にお願いすれば良いじゃない!
そう思いお母様の所へ向かうと、お母様は私を見るなり涙を流し始めた。
「アリエラ、ごめんなさい、私にできる事は何も無いの…。私、お父様に怒られてしまって…。貴女がこんなになってしまったのは私のせいだって…」
こんなになってしまってって…ちょっと失礼じゃない…!?
もう、この様子じゃお母様は頼りにできないわね、次はお兄様…!5人のお兄様は結婚して出て行ってしまったけど、長兄のケビンお兄様なら助けてくれるはず!!
「アリエラ。僕は恥ずかしいよ。ただでさえお前の妹は狂ってるとか色々言われて来て散々恥ずかしい思いをしてきたのに…それだけではなくこの家を潰す気かい?」
「えっ⁉︎お兄様なんて事を言うの!?私の事今まで可愛がってくれていたのに!!」
「それは小さな頃は我儘な所も可愛いと思っていたさ。でも10を超えても言葉遣いも行動も品のない君の事をどう可愛がれば良いんだ。これ以上、迷惑をかけないでくれ」
ケビンお兄様が心底呆れた顔で言う。
嘘でしょう…??
私は家族皆に愛されて、可愛がられて、お姫様で、騎士もいて、侯爵令息の婚約者がいて……
誰もが羨む伯爵令嬢よね…??
そうよね…?
誰か、そう言ってよ…。
急に今までそうだと思い込んで信じていた事が崩れていく。
私は立っていられなくなってその場にしゃがみ込む。
そんな私を誰も助けてはくれなかった。
私は結局最低限の物を残して少しでもお金になりそうな物を全て売却することになった。足りない分はお父様が出してくれたけれど、いつか返すようにと言われた。
そして、謹慎して1ヶ月程経った時に、婚約者コニール様のお父様、侯爵様から婚約破棄の通知が届いた。
貴族の中では私とダンテが恋仲で、私はシャティアからダンテを奪った悪女という噂で持ちきりらしい。
コニール様と侯爵様も、随分とお怒りらしい。
お父様も憔悴しているようだ。
でも、この一ヶ月、悪いことばかりではなく希望の光もあった。
なんと、隣国へ行っていたユーリスが来月あたりに帰って来るらしい…!!
私の事が心配になって帰ってくるのかしら…?
ユーリスは婚約者もいないはずだし…。
やっぱり、私の運命の人はユーリスだったんだわ…!!!
早く、早く会いたいユーリス…。
悲劇のお姫様の私を早く救って……!!
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