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10.やっと気付きましたか?
しおりを挟むレヨング伯爵家に婚約解消願いの手紙を送った次の日。
「シャティアッ…!!」
学園に着くや否や切羽詰まった様子のダンテに呼び止められる。
この様子だと、きっとずっと待ち伏せしていたのだろう。
「あら、ダンテ様。おはようございます」
「シャティア、先日は本当に申し訳なかった…!アリエラの言葉を鵜呑みにしてしまい、君を傷付けてしまった…!」
教室の前で覚えの無い罪で糾弾.侮辱されたのが3日前。
学園では、この噂で持ちきりだというのに、ダンテは火に油を注ごうとしているのか。
これ以上騒ぎは起こしたくないだけれど…。
「ダンテ様…。その件はこのように人目のつく場所でお話する事ではありませんわ。それに、授業に遅れてしまいますのでこれで失礼しても?」
私がそう話すとダンテはハッと周りを見渡す。
目の合った生徒達がスッと目線を外し何事もなかったようにそれぞれ歩き出そうとした。
「あ…シャティア!待ってくれ!」
ダンテは私に向かって手を伸ばしたがその手は届かない。代わりに…
「あら!おはようダンテ!こんな所で会うなんてやっぱり運命の相手は私ね~!」
後ろから現れたアリエラがダンテに駆け寄り腕を絡ませる。
「アリエラ!?ちょ、やめっ」
ダンテは必死にアリエラの腕を振り解こうとする。
「えー!?なんで急に冷たくなるの!?あ!もしかして先週の事気にしているの?なんだか…縛られてるダンテが可哀想…私だったらこんな思いさせないのに…」
「やめっやめてくれ!!」
そう叫ぶダンテの顔はどんどん青褪めていく。
「そうですか、アリエラ様。それならアリエラ様がダンテ様を幸せにして差し上げればどうですか??」
「へっ?えっ?急に何?私は幼馴染だからそういうのじゃないし…私も婚約者いるし…」
アリエラはなぜか急に狼狽出した。
今までは必要以上に仲良くするべきでは無いと言っていた私が、突然、2人の仲を応援するような事を言ったからだろうか。
「ダンテ様は私が可愛げも面白味も無い女で、婚約破棄したいと言っていたようですし…。ダンテ様の事を何もかも理解されているアリエラ様と幸せになるべきですわ」
そうニコリと微笑んで言う。
以前アリエラに言われた言葉を口にしただけだが、次は彼女の顔がどんどん青褪めていく。
私の言葉にダンテが驚き、腕を振り解き叫ぶ。
「ど、どういう事だ!?僕はシャティアの事を可愛げも面白味も無いだなんて言った事は無いし、思った事も無い!!ましてや婚約破棄だなんて…!」
信じてくれ…!と、縋るような顔でダンテがこちらを見てくるが…
「あら、私は確かにダンテ様がそうおっしゃってるとアリエラ様に聞きましたけれど…」
「なっ…!シャティアは婚約者である僕よりもアリエラの事を信じるのか!?」
「その言葉…、そっくりそのままお返ししますわ。ダンテ様も私の事を信じず、アリエラ様の言う事を信じて皆の前で私を罵ったでは無いですか」
ダンテはそう言うと、初めて自分の間違いに気付いたのか、小さく"あっ…"と声をあげて何も言えなくなった。
「えーっと…そろそろ授業に遅れてしまうから…」
そう言ってその場を静かに去ろうとしていたアリエラ。
次は貴女の番です。
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