11 / 35
11.謝らせてあげませんよ?
しおりを挟む人を振り回して傷付けた代償はきちんと払って頂かなければ…。
「アリエラ様。ハードラー子爵家としては私とダンテ様の婚約解消を望んでいます。アリエラ様は嘘を重ねてレヨング伯爵家とハードラー子爵家の仲違いを狙ったのでしょうか?」
静かに去ろうとするその背中に声をかけると、ビクッと肩を震わす。
「えっ!?なぜそんな大袈裟な事になるの!?そんなつもりは無いわ!!なんかダンテが貴女のこと悪く言っていたような気がしたけど…私の勘違いだったみたいだわ!」
「では、私が貴女を罵った脅したと言った件に関しては?私、全く身に覚えがありませんが…」
途端にアリエラの目が泳ぐ。どうせ、何も考え無しに腹いせに言っただけだろう。
それがまさかこんなにも大事になるとは思っていなかったようだ。
通行人が騒ぎを聞きつけ、どんどん集まって来てしまっている。
「うっ…えっ…いや…たっ確かにシャティア様は言いましたわ!ダンテに近付いたらどうなるか分かっているか…とか…そう!そうよ!私、凄く怖かったんだから…婚約解消は私のせいでは無いわ!」
「いつですか?」
「ほら、あの貴女と食事をした時とか…?」
なぜ疑問形…??
「あの時中庭には沢山の方がいらっしゃいましたから。貴女が私に色々とおっしゃってた場面を沢山の方が見ていました。私は貴女に一方的に失礼な事を言われていただけです。この事は、既に証言は取れています」
集まって来た人たちの中に、ウンウンと頷いている人もいる。
その様子を見てアリエラは、さすがにこの場で更に嘘を重ねる事を断念したようだ。
「えっ…あ…それも勘違いだったかな~なんて…」
「勘違いでしたではすみませんよ。貴女も貴族ならお分かりだと思います。家名を傷付けられる事がどれだけ重要な問題である事か。アリエラ様のついた嘘で私の…いえ、ハードラー子爵家の名誉が傷付けられました」
「だからさっきから大袈裟よ!!謝れば良いの!?ごめんなさ…」
「いえ、謝罪は結構です。ホンットーニ伯爵の方に正式に抗議させて頂きますから」
アリエラが謝罪を口にしようとする前にその言葉を遮る。
ここで謝って"はいお終いという"というわけにはいかない。
どうせこの人は"謝ったから良いでしょ!"となる事は目に見えている。
だから。
謝らせて…あげない。
「えっ!!お父様に!?ちょっと待って、それだけはやめて!そんな大事になったら私だって婚約が…」
「学園での出来事とは言え、噂が回るのはとても早いものです。もしかすると、アリエラ様の婚約も…どうなるか分かりませんね?それではごきげんよう」
「そ、そんな…」
青褪めてその場に立ちすくむ2人をその場に置いて、その場を後にした。
※次回、お花畑アリエラ視点
548
お気に入りに追加
7,211
あなたにおすすめの小説
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
【完結】浮気現場を目撃してしまい、婚約者の態度が冷たかった理由を理解しました
紫崎 藍華
恋愛
ネヴィルから幸せにすると誓われタバサは婚約を了承した。
だがそれは過去の話。
今は当時の情熱的な態度が嘘のように冷めた関係になっていた。
ある日、タバサはネヴィルの自宅を訪ね、浮気現場を目撃してしまう。
タバサは冷たい態度を取られている理由を理解した。
婚約者は幼馴染みを選ぶようです。
香取鞠里
恋愛
婚約者のハクトには過去に怪我を負わせたことで体が不自由になってしまった幼馴染がいる。
結婚式が近づいたある日、ハクトはエリーに土下座して婚約破棄を申し出た。
ショックではあったが、ハクトの事情を聞いて婚約破棄を受け入れるエリー。
空元気で過ごす中、エリーはハクトの弟のジャックと出会う。
ジャックは遊び人として有名だったが、ハクトのことで親身に話を聞いて慰めてくれる。
ジャックと良い雰囲気になってきたところで、幼馴染みに騙されていたとハクトにエリーは復縁を迫られるが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる