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5.そのような関係
しおりを挟む一日の授業が終わり、帰る準備をする。
お昼にあのような事があった為、あまりダンテに会いたく無い。
(まぁ…でも一度ダンテ様に報告と確認をしなければならないわね。アリエラ様が言っている事はきっと真実では無いだろうけれど…)
「シャティア!」
そんな事を考えていると、今日も教室まで迎えに来たダンテに名前を呼ばれる。
しかし。その声は怒気を含んだ声色だ。
「ちょっとこっちに来るんだ」
そう言われ、半ば強引に手を引かれ教室の外へ連れて行かれる。
(…?何…?怒りたいのはこちらですが…)
連れ出された教室の外にいたのは…。
涙を拭う素振りをしているアリエラ様だった。
(…うん、とても嫌な予感がする)
私の今までの人生の経験上、悪い予感程見事的中するものだ。
涙を拭う素振りをしているアリエラ様を庇うように立つダンテ。
「シャティア!君には失望したよ!今日の昼、僕が席を立った後、アリエラを虐めたようだね。君はもっと聡明な女性だと思っていた」
「はぁ…?」
はっ!!いけない!淑女らしからぬ間の抜けた声を発してしまった。
しかし、このようなトンデモナイ事を言われたらきっとこの国1番の神官様ですらこのような声を発してしまうに違いない。
それでも…。今後気をつけなければ。
「ダンテ…やめてあげて…!シャティア様もダンテが私に夢中で嫉妬してしまっただけなの…!ごめんなさい、シャティア様…!でも、皆の前でダンテに近付くななんて罵るのは淑女としてあるまじき行為だと思うわ…!」
「…はぁ??」
シャティア様の更にトンデモな発言に先程の戒めは秒で破られた。
「ん?僕がアリエラに夢中…?いやそれは置いておいて…。シャティア。君は醜い嫉妬心から僕の古くからの友を見下したり近付くなと脅したりしたようだな。陰でそのような事をするなんて恥ずかしくは無いのか?」
アリエラ様…いえ、アリエラがダンテの後ろで勝ち誇った顔をしてこちらを見ている。
大方、アリエラは私が彼女の嫌味に大した反応を示さなかった事に苛立ちを覚え、ダンテに嘘八百並べて泣きついたのだろう。
「アリエラ様が貴方に何を言ったのか知りませんが、私はそのような事を言っておりません。それに…」
ダンテとアリエラを真っ直ぐ見据える。
言われたままではこちらも気が済まない。
「恥ずべきなのはあなた方ではありませんか?アリエラ様は婚約者様がいる身にも関わらず、必要以上に男性と親しくし、ダンテ様はそれを咎める事もせずさらには婚約者である私に事実も確認せずあらぬ疑いをかけるなんて…言語道断では?私の方こそ失望しましたわ」
私が淡々と述べると、ダンテの顔がどんどん赤くなっていく。
「なっ…!僕とアリエラはそのような関係では…」
「あら、私には以前からそのような関係にしか見えませんし、アリエラ様からはお二人はそのような関係と聞いていますが」
「ぼ、僕とアリエラは幼馴染で、ただの友人だ!」
ダンテが叫ぶと、周りからヒソヒソ声が飛び交う。
「え…?あんなにもシャティア様を差し置いてイチャイチャしていたのにただの友人だって…?絶対できてると思っていた~」
「私、いつもシャティア様が不憫だと思っていましたの…」
「そもそもこんな人の目につく所で婚約者を断罪しようなんて信じられないわ…」
周りからのヒソヒソと話される内容に、さらにダンテの顔が赤くなっていく。
「なっなっ!今日はこれで失礼する!!」
「あっ!ちょっと待ってダンテェ~!」
分が悪いと気がついたのかダンテは周りに集まった人だかりをかき分け去って行く。
アリエラはその後を追いかけていくのだった。
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