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1.青天の霹靂
しおりを挟む「僕は運命の人と出会ったんだ。だからエリス。僕と別れて欲しい」
まさに晴天の霹靂。
突然半年程付き合った恋人アルベルトから衝撃の告白をされてしまった。
「え…?運命の人ってどういう事!?待って?貴方は確か、私の恋人じゃなかった!?」
頭をフル回転しても、彼の言葉に理解が追いつかない。
正直にいうと、アルベルトの事を"運命の人!"と言う程情熱的なお付き合いではなかったかもしれないけれど、特に喧嘩もなく2人で穏やかに過ごしていたと思っていた。
「勿論、僕は君の恋人だった。ただ、運命の人では無かったみたいだ。でも大丈夫!悲観する事は無いさ!君と出逢えていなければ僕は運命の人と出逢う事が出来なかった。だから、僕と君との出逢いも必要な事だったんだよ」
…ん?更に訳が分からなくなってきたぞ…。
ただ、私がアルベルトの運命の人では無いと言う事は確かなようだ。そして私のお陰でその人に会うことができたと…。
「もしかして…浮気してたって事?」
「浮気だなんてそんな低俗なものじゃない!浮気だなんて失礼極まり無いじゃないか!」
そこは分かっているんだ。恋人に向かって運命の人ができた云々の方が失礼極まりないと思うけれど。
「運命の彼女に!!!」
いや、私にじゃないんかいっ!!
心の中で色々とつっこんでいると、ありがたい事に非常に冷静になってきた。
「彼女とは浮気とかそんな低俗なモノでは無い。彼女も僕の事を愛してくれて…そう。真実の愛なんだ」
「ナニソレ。ちなみに…その運命の方は誰なの??」
彼女も僕の事を愛してくれてってそれ一般的に言うと浮気ってやつなんだけど。
よくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに目を輝かせるアルベルト。自分の気持ちがサーッと引いていくのがわかる。
「フルールさんだ」
「はあっ!!??フルールさんっ!?」
その名前を聞いて、思わず大きな声が出てしまう。
だってその人は…。
「そうだ。あんなに美人でお金持ちで凛としていて…もう何をとってもエリス、君は敵わない。だから、僕の事は諦めてくれ」
知っている、彼女はとても美人だし、芯があって、それでいて敏腕の経営者。
私なんて比べ物にならない。
元より張り合うつもりなんてサラサラ無いし、こんな頭のおかしいアルベルトに縋り付く程落ちぶれていない。
いやそれより、そんな事より!
なぜフルールさんがアルベルトの運命の人だなんて事になっているの??
フルールさんは、私の事を救ってくれた恩人なのに…!!
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