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初めてのデビュタントと隣国の王女様
番外編 アイリッシュの至福の時間
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アイリッシュは今とてもご機嫌の時間を過ごしている。
兼ねてから大好きなルーチェとの婚約式を1ヶ月前に無事に終えて国内外に正式にルーチェを婚約者にする事が出来た。
ルーチェ嬢に一目惚れしてから10年やっとここまでこれてアイリッシュは感無量の気持ちと色々とあったと染々思う所もあった。
それでもルーチェ嬢が健気に自分の気持ちに応えてくれる姿に益々愛おしく思う気持ちばかり膨れる日々だった。
そんなアイリッシュだが今は至福の時間の最中である。
忙しい2人だけど1週間に1回お茶の時間を作りお互いの近状などたわいのない会話とお茶をたのしむのだが、晴れて正式な婚約者になったルーに対してアイリッシュの愛情表現は止まることはなかった。
本日のお茶の時間でも可愛らしいルーチェを自分の膝の上に座らせている最中である。
「ほら、ルー、あーんして」
しかっり人払いをして可愛らしいルーチェを自分の上に座らせてご満悦のアイリッシュはただ今ルーチェの口にお菓子を食べさせようとしている。
「ア、アイリ様お菓子は自分で食べれます」
「そうなの?けど私がルーに食べさせたいからね」
そう言われてしまってはルーチェは口を開くしかないという状況になってしまった。
「ルー、あーん」
モジモジと恥ずかしそうに口を開くルーチェの中にアイリッシュはお菓子を入れる。
ここ最近アイリッシュのお気に入りはルーチェと二人っきりになるとこうして自らルーチェを自分の膝の上に座らせてお菓子をルーチェの口にいれて食べさせてあげることである。
またその時のルーチェの驚きと恥ずかしさで一杯のルーチェの顔がなんともいえない可愛さである。
「ルーお茶飲む?」
ルーチェにお茶を飲ませよとするが流石にその行為にはルーチェから
「アイリ様、自分で飲めますよ」
断られてしまい少し残念がっていると、こちらをチラッと見ているルーチェの視線に気づく、何か言いたげなルーチェに
「ルーどうしたの?何か私の顔に付いてる?」
アイリッシュがルーチェにどうしたのかと尋ねると、ルーチェはなぜか顔を赤くして恥ずかしそうに
「その。いつも私ばかりアイリ様に食べさせて頂いているので…」
恥ずかしそうにこちらを見る、何か言いたげなルーチェがまた堪らなく可愛いと思うアイリッシュ、しかも上目遣いで話してくるルーチェは私を試しているのかと思うぐらいである。
そこでアイリッシュの心にイタズラ心が芽生え来てしまいルーチェにおねだりをしようと考えてしまった。
「じゃあ、ルーがそう思ってくれているなら私にもルーから食べさてくれるかな?」
ニコニコしながらルーチェにおねだりをするアイリッシュを見てさらに顔を、真っ赤にする彼女に対してアイリッシュは
「ルーダメかな?」
と、念を押して見るとこれは逃げられないと察したらしくオドオドしながらお菓子の方に手を伸ばし始めた。
そしてひとつのクッキーを手に取りアイリッシュの口の方に持って行くがアイリッシュは口を開けてくれない。
なぜ口を開けてくれなのかと困惑するルーチェを他所にアイリッシュから
「ルーそれだとわからないよ?
ちゃんと「あーん」て、言わないと」
そんな事をアイリッシュから言われて口をパクパクさせるルーチェに対してニコニコ笑顔で待っているアイリッシュ、お菓子を口の前にある状態にいるわけでにもいかずルーチェは
「あーん」
と、言いアイリッシュの口にお菓子を運ぶが口を開けてくれない。
今度はなにがダメだったのかと思うルーチェに対してアイリッシュから
「ルー、「あーん」だけだとわからないよ?
さっき私がやったみたくやらないと」
「そんな、先ほど「あーん」と、言わないとダメだと言ったから言ったのに」
「そだったかな?けど折角ルーから食べさせてくれると言ってくれだんだから最後までやろうね。ルー」
確かに自分で言い出したことで後悔してもすでにもう遅いと思うがルーチェはもう1度アイリッシュに向かって、
「アイリ様、あーん」
クッキーをアイリッシュの口に運ぶとアイリッシュは口を開けクッキーを一口噛ると
「おいしいね」
優しい笑顔をルーチェに見せるのでした。
その顔はなんとも言えない優しい顔でルーチェの心をドキドキさせる。
しかしそんな可愛らしいルーチェの顔をもっと見たいと思うアイリッシュはこれでもかと
「ルー大変よく出来ました。チュ!」
ルーチェの頬っぺたにキスをすれば顔を真っ赤にしてしまい、正しくはゆでダコ状態である。
「クスクス」
と、笑うアイリッシュ。そこに
「殿下、そろそろお時間です」
折角のルーを愛でてる時間を邪魔しに来たトムからのお呼びだしである。
もう少し楽しみたいと思っていたけれど既に顔を真っ赤にして下を向いてプルプルと恥ずかしさで震えているルーチェを見ると今日はこれでお開きかなぁと思ってしまった。
アイリッシュは優しくルーチェの髪を撫でると
「ルー、どうやら時間になってしまったみたいなんだ。ごめんよ。
今日はこれで失礼するよ。
ルーは落ち着いてから帰るんだよ。」
そう、アイリッシュが言えば下を向いているルーチェは首を点てにウンウンと振る。
本当はもっと沢山一緒に居たいなと名残惜しそうにルーチェを見ていると
「殿下時間です。中にはいりますよ。」
「ハァー、やれやれ、せっかちだなぁー」
「じゃあね、ルー」
アイリッシュはルーチェにそう言うと頭の上にキスを落とす。
そうするとルーチェはガバッと顔を上げて何か言いたげにアイリッシュの方を向くがその事を気にも止めずアイリッシュは部屋を出で行ったのでした。
「殿下、ご機嫌なのはよろしいのですが、あまりルーチェ嬢に無理な事はなさらないで下さいよ。
それにしても時間は厳守ですから」
部屋を出るなりトムからの小言のオンパレードを聞いているふりをしながら、
"今日のルーも、とても可愛かったなー、今日はルーからお菓子を食べさせてもらったりしたし、次は何をねだろうかなぁー"
アイリッシュの頭の中ではそんな事を考えながら思い出し笑いをしていると
「殿下!聞いているのですか?」
「トム、そんなに大きな声を出さなくても聞こえているよ。」
そんなトムとのやり取りをしながら次回ルー会ったらどんな風に愛でようかと考えながらアイリッシュの至福の時間は過ぎていったのでした。
兼ねてから大好きなルーチェとの婚約式を1ヶ月前に無事に終えて国内外に正式にルーチェを婚約者にする事が出来た。
ルーチェ嬢に一目惚れしてから10年やっとここまでこれてアイリッシュは感無量の気持ちと色々とあったと染々思う所もあった。
それでもルーチェ嬢が健気に自分の気持ちに応えてくれる姿に益々愛おしく思う気持ちばかり膨れる日々だった。
そんなアイリッシュだが今は至福の時間の最中である。
忙しい2人だけど1週間に1回お茶の時間を作りお互いの近状などたわいのない会話とお茶をたのしむのだが、晴れて正式な婚約者になったルーに対してアイリッシュの愛情表現は止まることはなかった。
本日のお茶の時間でも可愛らしいルーチェを自分の膝の上に座らせている最中である。
「ほら、ルー、あーんして」
しかっり人払いをして可愛らしいルーチェを自分の上に座らせてご満悦のアイリッシュはただ今ルーチェの口にお菓子を食べさせようとしている。
「ア、アイリ様お菓子は自分で食べれます」
「そうなの?けど私がルーに食べさせたいからね」
そう言われてしまってはルーチェは口を開くしかないという状況になってしまった。
「ルー、あーん」
モジモジと恥ずかしそうに口を開くルーチェの中にアイリッシュはお菓子を入れる。
ここ最近アイリッシュのお気に入りはルーチェと二人っきりになるとこうして自らルーチェを自分の膝の上に座らせてお菓子をルーチェの口にいれて食べさせてあげることである。
またその時のルーチェの驚きと恥ずかしさで一杯のルーチェの顔がなんともいえない可愛さである。
「ルーお茶飲む?」
ルーチェにお茶を飲ませよとするが流石にその行為にはルーチェから
「アイリ様、自分で飲めますよ」
断られてしまい少し残念がっていると、こちらをチラッと見ているルーチェの視線に気づく、何か言いたげなルーチェに
「ルーどうしたの?何か私の顔に付いてる?」
アイリッシュがルーチェにどうしたのかと尋ねると、ルーチェはなぜか顔を赤くして恥ずかしそうに
「その。いつも私ばかりアイリ様に食べさせて頂いているので…」
恥ずかしそうにこちらを見る、何か言いたげなルーチェがまた堪らなく可愛いと思うアイリッシュ、しかも上目遣いで話してくるルーチェは私を試しているのかと思うぐらいである。
そこでアイリッシュの心にイタズラ心が芽生え来てしまいルーチェにおねだりをしようと考えてしまった。
「じゃあ、ルーがそう思ってくれているなら私にもルーから食べさてくれるかな?」
ニコニコしながらルーチェにおねだりをするアイリッシュを見てさらに顔を、真っ赤にする彼女に対してアイリッシュは
「ルーダメかな?」
と、念を押して見るとこれは逃げられないと察したらしくオドオドしながらお菓子の方に手を伸ばし始めた。
そしてひとつのクッキーを手に取りアイリッシュの口の方に持って行くがアイリッシュは口を開けてくれない。
なぜ口を開けてくれなのかと困惑するルーチェを他所にアイリッシュから
「ルーそれだとわからないよ?
ちゃんと「あーん」て、言わないと」
そんな事をアイリッシュから言われて口をパクパクさせるルーチェに対してニコニコ笑顔で待っているアイリッシュ、お菓子を口の前にある状態にいるわけでにもいかずルーチェは
「あーん」
と、言いアイリッシュの口にお菓子を運ぶが口を開けてくれない。
今度はなにがダメだったのかと思うルーチェに対してアイリッシュから
「ルー、「あーん」だけだとわからないよ?
さっき私がやったみたくやらないと」
「そんな、先ほど「あーん」と、言わないとダメだと言ったから言ったのに」
「そだったかな?けど折角ルーから食べさせてくれると言ってくれだんだから最後までやろうね。ルー」
確かに自分で言い出したことで後悔してもすでにもう遅いと思うがルーチェはもう1度アイリッシュに向かって、
「アイリ様、あーん」
クッキーをアイリッシュの口に運ぶとアイリッシュは口を開けクッキーを一口噛ると
「おいしいね」
優しい笑顔をルーチェに見せるのでした。
その顔はなんとも言えない優しい顔でルーチェの心をドキドキさせる。
しかしそんな可愛らしいルーチェの顔をもっと見たいと思うアイリッシュはこれでもかと
「ルー大変よく出来ました。チュ!」
ルーチェの頬っぺたにキスをすれば顔を真っ赤にしてしまい、正しくはゆでダコ状態である。
「クスクス」
と、笑うアイリッシュ。そこに
「殿下、そろそろお時間です」
折角のルーを愛でてる時間を邪魔しに来たトムからのお呼びだしである。
もう少し楽しみたいと思っていたけれど既に顔を真っ赤にして下を向いてプルプルと恥ずかしさで震えているルーチェを見ると今日はこれでお開きかなぁと思ってしまった。
アイリッシュは優しくルーチェの髪を撫でると
「ルー、どうやら時間になってしまったみたいなんだ。ごめんよ。
今日はこれで失礼するよ。
ルーは落ち着いてから帰るんだよ。」
そう、アイリッシュが言えば下を向いているルーチェは首を点てにウンウンと振る。
本当はもっと沢山一緒に居たいなと名残惜しそうにルーチェを見ていると
「殿下時間です。中にはいりますよ。」
「ハァー、やれやれ、せっかちだなぁー」
「じゃあね、ルー」
アイリッシュはルーチェにそう言うと頭の上にキスを落とす。
そうするとルーチェはガバッと顔を上げて何か言いたげにアイリッシュの方を向くがその事を気にも止めずアイリッシュは部屋を出で行ったのでした。
「殿下、ご機嫌なのはよろしいのですが、あまりルーチェ嬢に無理な事はなさらないで下さいよ。
それにしても時間は厳守ですから」
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"今日のルーも、とても可愛かったなー、今日はルーからお菓子を食べさせてもらったりしたし、次は何をねだろうかなぁー"
アイリッシュの頭の中ではそんな事を考えながら思い出し笑いをしていると
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