甘い婚約~王子様は婚約者を甘やかしたい~

モモ

文字の大きさ
上 下
88 / 117
初めてのデビュタントと隣国の王女様

23

しおりを挟む
なぜ?こうなった?

今日は2週間ぶりにルーと会いお茶をしながら色々な話をしようとしていたのに?

この2週間くだらない視察の同行や、貴族とのお茶会などに付き合わされていて執務の時間やルーとの時間も取れずにいたのに、折角ルーからのお茶の誘いがあり予定も執務も開けたのに廊下で王女に会うなんて…

しかもルーに見られてまた今度と言われてしまうとは思っても見なかった。

僕はため息しか出ない。

今日のお菓子もルーの好きな物を取り揃えたのに王女に

「なんて美味しいお菓子なんでしょ」

と、言われても全く嬉しくない。

「それでね。アイリッシュ様こんな事が…」

王女は昔と全く変わってなく自分の意見を押し通すし、こちらの予定の考慮がない。

僕は半ば王女の話を聞いていなかった。

「アイリッシュ様、アイリッシュ様」

王女に呼ばれて僕はハッ!として

「ラージグア王女なんですか?」

「もうアイリッシュ様私の話を聞いていました?」

「申し訳ありません。少し執務の考え事をしてまして…」

「まぁ!アイリッシュ様はこんな時までお仕事の事とは大変ですね。」

誰のセイですか?

「アイリッシュ様それでさっきの話で私もお茶会を開きたいのでよろしいでしょうか?」

僕は王女の話を全く聞いていなかった為にお茶会を開きたいと言われて貴族の令嬢とやるんだと思い軽い気持ちで

「私も開くと良いと思いますよ。
交流にもなると思いますし」

と、言ってしまった。

トムが後ろから

「殿下?!えっ?よろしいのですか?」

凄く慌てるトムを見て僕は不思議に思い

「お茶会を開く事が?」

全くトムの真意が見抜けかった。

しかしこの後王女の一言で僕は絶句することとなった。

「アイリッシュ様ありがとうございます。
婚約者のルーチェ様とのお茶会を許可して頂き、とても嬉しいですわ」

えっ?ルーとお茶会?僕はおもわずトムを見てしまうと、トムからそうですよ。と、言う答えが帰ってきた。

「王女それは困ります。」

「あら?なぜです先ほどアイリッシュ様は良いと言いましたし、実はすでにルーチェ様にもお茶のお誘いをしていたのですよ。」

相変わらず自分勝手に進めているね。

自分の失言にも呆れるけどすでにルーにお茶会を誘うのもどうかと思う。

彼女は今とても忙しいのに、

「ルーチェ様からぜひと言われてので今からとても楽しみです。」

ルー君も断ればいいのに本当に律儀な子だよね。

そんな風にルーの事を思うと今王女とお茶をしているのが馬鹿馬鹿しくなって来たので僕は席を立つことにした。

「アイリッシュ様どうしたのですか?」

「王女申しわけない。
取り急ぎやらないといけない事が出来たのでこれで失礼します。」

王女に呼び止められたけど僕はそんなのを無視して戻る事にした。

後ろで王女が"許さないと"と言いながら凄い顔していたのは気づかなかった。

僕は執務室に戻りルーに謝罪の手紙と花束を贈る事にしてトムに指示を出した。

しかし案の定ルーとのお茶より王女とのお茶を優先した事がフレッドとジョージにバレものすごく怒られたし、何故か母上にも知られていてとてつもないお説教を聞く羽目にもなってしまった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。

ふまさ
恋愛
 楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。  でも。  愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】365日後の花言葉

Ringo
恋愛
許せなかった。 幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。 あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。 “ごめんなさい” 言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの? ※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。

二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。

当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。 しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。 最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。 それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。 婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。 だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。 これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。

ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」  ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。 「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」  一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。  だって。  ──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。

処理中です...