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初めてのデビュタントと隣国の王女様

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「ルーチェ嬢今宵貴女のファーストダンス踊って頂けますか?」

私の目の前に膝間付いてダンスのお誘いをして下さるアイリッシュ様がいらっしゃいます。

会場はおどろきに包まれました。

アイリッシュ様は今までご自分からダンスをお誘いする事はない方と有名です。

そして一年に一回あるデビュタントのダンスに対して踊る事も誘う事も全くしないとお兄さま方から聞いていました。

私がえーとと悩んでいると

「ルー私の婚約者なのに私とは踊ってくれないのかい?」

アイリッシュ様が私に訊ねます。

「そんな事はありませんよ」

その言い方はずるいですね。

「だったら私の手を取ってくれるね」

私はお父様と踊ろうと思っていたのに回りを探してもお父様はいらっしゃらないみたいです。

私はアイリッシュ様から差し出された手を取り

「よろしくお願いいたします」

と、言い礼をすると回りのざわつきはより一層大きくなりました。

そんな事などお構い無しみたいな顔をするアイリッシュ様は私の手を取りニコとしながらダンスホームの中央までエスコートしています。

真ん中ですか?

私ははじっこで踊りたかったです。

私たちは注目を浴びながら曲が流れ初めます。

アイリッシュ様がリードをしながら踊って行きます。

やっぱりいつ踊ってアイリッシュ様とは踊りやすいです。

「ルー驚いたかい?」

踊りながらアイリッシュ様が声をかけてきます。

「私は今日ルーのファーストダンスを踊る気でいたから目的が達成出来て良かったよ。
これで断られたらとても悲しかったね」

「アイリッシュ様とても驚きましてよ。
私はお父様と踊る予定だったのに、それに今まで踊られる事がなかったのになぜ?今回はお誘いしたのですか?」

私がアイリッシュ様に質問するとアイリッシュ様は不思議そうな顔して

「なぜ?そんなの簡単だよ。
私の婚約者はルーなんだからルーと踊る意外意味ないしね。
それにちゃん今日のダンスの事は公爵にも頼んでいたからルーのダンスの相手は始めたらから私だと決まっていたんだよ」

アイリッシュ様からさも当たり前のような答え合わせをもらい私は驚きました。

「それにルーのファーストダンスは家族相手でも私は嫌だったけどね」

そんなの事を言ってアイリッシュ様は私の腰をぐぐっと惹き付けてターンを決めました。

私はその言葉とその行動で顔は真っ赤になり心臓はバクバクと音を鳴らし頭は真っ白になりそうです。

「さぁルー本当はもっと君と踊っていたいけどもうすぐで曲が終ってしまうね。
今日は私はこのあと誰とも踊らないけどルーも踊らないでくれるかなぁ?」

私はそんな事を言われてしまいウンウンと首を縦にふりました。

もうアイリッシュ様からの言葉が恥ずかしいです。

「良かったよ。
この後ルーがまだ踊ると言われたら私はとても悲しかったしこのままずーとルーと踊り続ける事になると思っていたからさ」

うん?アイリッシュ様なんかサラッと怖い事を言っていますが気のせいですよね?

そうして私はフィニッシュを決めると会場から割れんばかりの拍手が飛び交いました。

アイリッシュ様は私から離れて行きますが回りには次は私とおどって下さいとばかりに令嬢がやって来ています。

アイリッシュ様嫌そうな顔が出ていますよ。

私はそのまま家族の所に行きました。

なんでしょ?とても嬉しかったのですがとても疲れました。

こうして私のデビュタントを無事に迎える事が出来ました。
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