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第一章

自己紹介

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「あのー、私も自己紹介をさせてもらってもいいでしょうか?祖父からだいたいの話はされていると思いますが。」 

そーっと二人に話しかけてみる。 

「「どうぞ!!」」 

 二人は即座に私の方に回れ右した。 

「私は、生間おうま ヒカルと言います。この寮の管理人の孫です。この度、祖父が急なハワイ旅行を思いついて、お暇を頂いてしまい、皆様にはご迷惑をおかけします。1年間祖父の代わりに、管理人の仕事を務めさせていただきますのでよろしくお願いいたします。」 

んー、こっぱずかしい。二人の視線が熱いな。 
このまま仕事の話をしてしまおう。 

「ところで、管理人の仕事内容の確認ですが。」 

私はメガネをくいっと上げて、コホンと咳ばらいをする。 

「掃除に関しては、共有スペースを中心にお掃除させてもらいます。各お部屋に関しては皆さんご自分でやっていらっしゃると聞いています。食事に関しては、食堂のネームプレートが表の時は必要、裏の時は不要という合図だと聞いています。朝ネームプレートをチェックして人数分を準備します。洗濯に関しては、脱衣所に出してあるものは全て洗濯機にかけてよいというルールだと聞いています。その他、相談事があれば随時個別にしていただく、ということでよろしいでしょうか?」 

「はい、大丈夫です。お手数をおかけしますがよろしくお願いいたします。」 
「俺も大丈夫だ!よろしく頼むな!」 

このあと、二人と夕食を食べながら1時間ほどおしゃべりをした。現在この寮にはあと2人寮生がいる。一人は、高校生で株式売買で利益を上げる会社の社長をしているらしい。毎年5000万円以上の利益を計上する規模の会社らしい。ディアブル学園は学生社長が何名かいるらしいが、この子は中でも特別優秀とのこと。しかも高校生社長とは、優秀すぎるね。もう一人も高校生で俳優兼モデルらしい。私はあまりテレビを見ないので芸能に疎いのだが、結構TVや雑誌のモデルをしているので、もしかしたら顔を知っているかもしれないとのこと。そんな有名人が近くにいるなんて、サインでも貰おうかしら。 

二人は、学校終わりに秘書とマネージャーが仕事へ連れて行ってしまったので、まだ帰ってこないとのこと。21時くらいには帰ってくるらしい。明日以降会えるのを楽しみにしつつ、私は自室で休むことにした。 

自室のシングルサイズのベッドには新品の羽毛布団、ふかふかでが気持ちいい。 

私は、両手をグーにして頭の上に伸ばし背伸びする。
その後、布団の中に身体をうずめた。
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