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第一章

初仕事

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「よーし!寮生が帰ってくる前に、お部屋の掃除をしちゃいましょう!!」 

私は張り切って、雑巾を手に取る。 

今は春休みなんだけど、ディアブル学園は登校日らしい。私は、大学からの編入生だから入学式からでOKとのこと。学校が始まったら、寮の管理人の仕事と学業を両立しないといけないから、休みの間に仕事の感覚をつかんでおかないとね。 

にしても、この寮、もとい洋館と言ってもいい。本当に洗練されてる。去年、行った近代文学博物館を小さくした感じだ。建物はベージュとブラウンの煉瓦を基調としていてモダン感があふれている。二階にはベランダもあって夜の夕涼みにはとても良さそうだ。お庭も四季折々の草木が植えられて年中自然を楽しめそう。 

おじいちゃんの手入れのたまものね。 

そうして、私は鼻歌を歌いながら一階から掃除を始めた。掃除をするのは共用のスペースのみでいいんですって。しかも、床はほぼルンバが掃除してくれる。一階に2台。二階に1台。三階に1台いる。 

おじいちゃん曰く、日々の生活の中で如何に楽をするか、文明の利器を使って時間の節約をして、自分にとって本当に大切なことをする時間を捻出することが大切なんだよ、とのこと。そう、おじいちゃんは無駄が嫌いだった。おかげで私は必要最低限の仕事しかしなくていいみたい。 

そしてそして寮生の部屋は各自で掃除をするルールになっている。これは、まぁ、他人に自分の部屋は漁ってほしくないよね。男の子たちだから、女子に見られたくないものも有るだろうし。 

その他の管理人の仕事は、庭の手入れ・食事の準備・洗濯くらいみたい。これらの仕事も私ができるだけ時間をかけずにできるようにおじいちゃんが事前に配慮してくれている。 

そんなこんなで、掃除をしていたら寮生が帰ってくる時間になった。 

流石に、初対面の人たちと話をするのは少し緊張する。私は、左の手のひらに右の人差し指で「人」と書いて、パクっと飲み込む。 

そんな感じで一人玄関の共有スペースのソファーで座っていると、バンッと玄関の扉が開いた。 
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