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第一章

地球のまおう

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空は快晴。うららかに鳥たちの鳴き声が響き渡る。

今日から私が住むことになる家は、緑に囲まれた立派な洋館だ。文化遺産になってもおかしくないような佇まい。その建物の玄関を入ってすぐのところには螺旋階段がある。 

大きなスーツケースを傍らに携えて、ブラウンのハンチングハットをかぶった紳士的な老人が螺旋階段の下に立っている。服装もスーツでばっちり決めているのかと思うと、アロハシャツに短パン、スニーカーである。 

「ヒカルー、ヒカルー、いるかー?」 

「いるよー、おじいちゃん!出発の準備はできたの?」 

「おー、もうばっちりだよ。これから1年留守にするけど元気でな。ヒカルは優秀だから学校も仕事もばっちりだと思うがな!」 

「おじいちゃんの名に恥じないように、しっかり働くよ。おじいちゃんに作ってもらった仕事内容の申し送りノートも完璧だし、大丈夫だと思うよ。」 

私の名前は、おうま・ヒカル。18歳。今年、花の女子大生になったばかり。みてくれは、いたって地味である。黒くて肩まで伸びた髪、ぼさぼさではないが前髪も瞼の上まで伸びている。そして、ド近眼だから分厚い丸眼鏡だ。 

でも、中身は自信があります。成績優秀!家事はなんでもござれ!と、自信を持って言える。その理由は、両親は世界を股にかける医者かつ研究者でその頭脳を受け継いだおかげか、生きてきた中で勉強で躓くことは一度もなかった。そして、おじいちゃんは長年この学園の寮の管理人を任されてきた家事ヤロウ。両親が1年を通してほぼ日本に不在なので、私はこの料理・洗濯・掃除なんでもござれ!の祖父の下で育った。 

「ほんとにすまんのぅ。わしももう年じゃから、できるうちにやりたいことやりたいと思い立ってしまって。まぁ、そのためにヒカルを早く自立させたんだがな。わはは。」 

「任せてよ!そつなく寮の管理人の仕事をこなしてみせるよ。」 

私は思いっきりの笑顔をおじいちゃんにむけて、ガッツポーズをとる。 

「ヒカルは頼もしいな。それにしても管轄が男子寮ってことが申し訳ないが。。。(あいつらに限ってヒカルに無理やり手を出すことは絶対にないがな)」 

おじいちゃんは鼻の下の髭を触りながら、少し悩ましい顔をしている。 

「そんなの気にすることないよ。私に女としての魅力は皆無だからね!笑」 

と、私は自分のぺしゃんこの胸を見下ろして自虐する。 

 「いや、そんなことは断じてない!ヒカルは超絶美女だぞ!わしなんて、ヒカルが生まれた瞬間からメロメロだからな!」 

「あははは、ありがとね、おじーちゃん。ほら、そろそろ行かないと飛行機に乗り遅れちゃうよ!」 

 「おお、そうだな。そろそろ出発しないとな。。。(じゃあ、頑張ってくださいじゃ、サタン様。)」 

と、おじいちゃんが帽子をとって深々と礼をしてきた。その直後顔を上げてにっこり笑った。そして玄関の前に止めてあったタクシーに乗り込んで、窓越しに手を振る。 

 ほどなくしてタクシーは出発した。 

(ん?おじいちゃん、最後に何か言ってたような?) 
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