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第一章

魔王と女神

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 意識が戻ってきた。 
俺はゆっくりと目を開ける。 
足元には白い雲の海。空は青いバケツをこぼしたように鮮やかな青色。 

後ろを振り向くようにゆっくりと首を動かす。 
90度振り返るとそこには、白く丸い物体が浮いている。女神の住処だ。 

「よし。うまくいったな。」 

俺の名は魔王・サタン。 
勇者に敗れて死んでしまったが死ぬ直前に転生魔法を使い今現在に至っている。これからやるのは神との交渉。前世では、2,3回会ったことあるが、神というのはなかなか対面するのが難しい存在なのである。 

俺は、空を蹴り白い建物に一歩踏み出そうとしたら、天から光り輝く何かが降りてきた。 

「あら、サタンちゃん、死んじゃったのねぇ。残念ねぇ。」 

 そう嫌味な笑みを浮かべながら俺の目の前に立つのは、ウェーブのかかった艶のあるゴールドのロングヘアを持つ露出度80%といったところの女神である。神だからか努力のたまものかは、わからんがボン!キュ!ボン!でスタイル抜群だ。にしても、服とも呼べないこいつの白い衣はまとっている意味があるのだろうか。 

 「露出狂が。お前から、声をかけてくれるとは都合が良いな。出向く手間が省けるぞ。」 

「サタンちゃん、この衣装は神界で今一番流行っているデザインなのよ。そして私は一応神なのよ。その悪態なんとかならないかしらねぇ。まぁそんな王様な態度もサタンちゃんの魅力なんだけれど♡」 

女神は両手を合わせながら、にこりと微笑む。 

「それにしても、私は魔王軍を応援していたんだけどねぇ。勇者ちゃんに負けちゃうなんて、とても悲しかったわん。」 

天使たちに細かな刺繍がついた美しいハンカチで、嘘くさい涙を拭わせながら女神は話を続けた。 
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