18 / 27
2、勝負のクリスマス!
第18話 騒がしい訪問者
しおりを挟む
こんな時間に誰だろう――といっても時間はまだ二十時前だし、訪ねてくる人(人じゃないかもしれないけど)だって限られてる。なおもしつこくコンコンコンコンと叩かれ、「はいはい、いま開けるってば」と言いながら窓の鍵をぱちんと外して、訪ねてきた相手の顔も確認せずにがらりと開ける。だって、どうせあの三人のうちの誰かなんだろうし。
開いた窓から、風のようにひゅんと飛び込んできたのはやはりトナカイだ。それが、空中で人の姿に変わってスタっと華麗に着地――、
とはならなかった。
ドタドタドタ、とひな壇のお笑い芸人が一斉にずっこけた時みたいな音がして、三人が転がり落ちて来たのである。
「えっ!? ちょ、何で全員来たの?!」
思わずそんな言葉が突いて出ると、一番最初に起き上がったフミが「違うんです、レディ!」と声を上げた。
「私は一人で来るつもりだったんです! なのにいつの間にかこの二人がいたんです!」
「ずるいんだよフミってば、こっそり抜け出してさ! だから絶対阻止してやろうと思って!」
「俺はワッカがこそこそ出て行くのを見て後をつけてきたんだ。コイツは前に添い寝がどうとか言ってたからな! 油断も隙もありゃしねぇと思って」
「油断も隙も無いのはレラも同じです! 二人共厩舎に戻りなさい! 私はレディと大事な話が」
「イヤだね! 僕だって花ちゃんとお話あるもん!」
「お前らまとめて帰れ。チビに話があんのは俺だ!」
「ああもう、うるさいうるさいうるさぁい! もう、お座り!」
顔を突き合わせてぎゃあぎゃあと口論するトナカイ達の真ん中に割り込んで、三人を順番に睨《にら》む。お座りを命じられたトナカイ達は、大人しくそれに従って、ラグの上に正座を――レラだけは偉そうに胡坐をかいていたけど――した。
「何なの三人共。私に話って、何。もう順番に聞くから! はい、フミからどうぞ」
ベッドの上に座り直して、左端のフミを指差した。
「では私から。明日の配達先の件です。アードルフ様から、明日の配達先がレディのクラスメイトだと伺いまして、しかも、その」
と話し始めると、「えっ」とワッカとレラが一斉に腰を浮かせる。
「ちょっと待って、フミも?!」
「お前もかよ! っていうか、ワッカもなのか?!」
「えーっ、何、レラもその話?!」
「おだまりなさい、二人共! いま私から話して――って二人も同じ話をするつもりだったのですか?」
どうやら。
どうやらそういうことらしい。
順番もへったくれもなく、あちこちから勝手にぎゃあぎゃあと聞こえてきた話をまとめると、だ。
配達先の情報はもちろんトナカイ達にも告げられる。そりゃそうだ。だって、そこへ連れてってくれるのは他ならぬ彼らなのだから。それで、どうせ明日わかることだからと、アドじいはその配達先が私のクラスメイトの三尋木君であることと、その彼のせいでちょっとクラスで浮いてしまったことなども話したのだとか。
それで。
「そんな子が対象者とわかってもなお、サンタとしての職務を全うしようとする、レディのその気高き心に感動しまして、これはもうたくさん褒めなければと、馳せ参じました!」
「僕はそのケダカキ心がどうこうとかはわからないけど、花ちゃん偉いなー、すごいなーって思ってさ、それでスペシャルなでなでしに来たんだ!」
いやいや、気高き心って、そんなすごいことはないと思うけど。あと、ワッカの『スペシャルなでなで』って何? あんまりわしゃわしゃなでられるとせっかくきれいに乾かした髪がぐちゃぐちゃになるから困るんだけど。
そう思いつつも、一応「ありがとう」と返す。私からお礼の言葉をもらった二人は何やら嬉しそうだ。ワッカに至っては、早速その『スペシャルなでなで』をしようとしているのか、両手を広げている。やめて。
が、その中で一人、レラだけは驚いたような顔をしている。「お前らそんな理由だったのかよ」と眉をしかめて二人を見ると、フミとワッカは「じゃあレラは何しに来たんですか」「まさか添い寝?! レラ、お前ってやつは!」と身を乗り出した。
「ワッカは添い寝から離れろ。するわけないだろ、そんなこと。……いや、俺は、その、なんていうか、チビが無理してんじゃねぇかって思って、だな」
「無理してる? 私が?」
「おやっさんの前ではそう言ったけど、本当はそんなやつのところに配達なんかしたくないんじゃねぇのかな、って。俺らがおやっさんのやる気を出せとか言ったから、断れなかっただけなんじゃないのかって思ってさ」
だとしたら、悪いことしちまったなって思って、と俯き加減で話すレラの声が震えている。フミとワッカもそこでやっとその可能性に気づいたらしい。ハッとした顔をして、あわあわと膝歩きで私のところへ詰め寄って来た。
「そうなんですか、レディ?! 無理してたんですか?!」
「うわーん、ごめんよ花ちゃん! 気づかなくてごめんんん!」
「ちょ、ちょちょちょ! 落ち着いて二人共!」
「いまからでも遅くないです、アードルフ様に行って、明日はやっぱり留守番にしてもらいましょう!」
「そうだよ花ちゃん! 僕らがわがまま言っちゃったせいでごめん! まだ見習いなのにそんな無理しないでいいよぉ!」
私のパジャマのズボンに縋りついて、瞳をうるうるさせる二人の頭をポンポンとなで、「ちょっとマジで落ち着いて二人共」と声をかける。レラだけ少し離れたラグの上で、しゅんと眉を下げているので、「レラもちょっとこっち来て」と手招くと、しぶしぶ、みたいな顔で彼も来た。
「たしかにね、三尋木君のことははっきり言って苦手だし、あんなにサンタのこと馬鹿にしてた人に何でプレゼントあげなくちゃいけないのよ、って思ったりもしたけど」
そう言うと、「やっぱり!」とワッカが叫んだ。ぐす、と鼻を啜るから、サイドボードに置いてあるティッシュを何枚か取って渡してあげた。ずびび、とそれはそれは豪快に鼻をかみ、それをフミに「はい」と渡している。それくらい自分で捨てなよ。
「でも、サンタって、やっぱりそういうものでしょ? 自分が好きとか嫌いとかで仕事しちゃ駄目じゃん。フミだって言ってたじゃない。公平さが大事だって」
「言いましたけどぉ」
「私たぶん、みんなが思ってるより、この仕事好きになってきたんだよね」
「ほんとか?」
「まぁ、まだ一件の配達しかしてないし、それもシミュレーションのやつなんだけど。でも、この仕事、ずっと続けたい。私も、アドじいみたいなサンタになりたいから。だから、まぁ、ぶっちゃけ、ちょっとは無理してるんだけど」
だって、それは嘘じゃない。本当は、せっかくの冬休みなのに、三尋木君にはあんまり会いたくない。するとワッカが「やっぱり無理してるんじゃん!」と飛び上がった。それを、どうどう、と落ち着かせる。
「ワッカ、ちゃんと最後まで聞いてってば。あのね、無理はしてるんだけど、やりたいの。だって、みんなが助けてくれる、でしょ?」
恐る恐るそう言うと、今度はワッカだけじゃなく、フミとレラも勢いよく、ずずい、と身を乗り出してくる。
「当たり前だろ!」
「もちろんですよ!」
「花ちゃんのためなら!」
「おわぁ」
そこまで食い気味に来られると思ってなかったから、正直なことを言えばちょっとドン引きなんだけど、嬉しいは嬉しい。
その夜は、眠くなるギリギリの時間まで四人でトランプをしたりして過ごした。ちなみにババ抜きが一番弱いのは、すぐ顔に出るレラだ。それで、床にむりやり布団を三枚敷いてトナカイ達もそこで寝たものだから、朝起こしに来たアドじいがびっくりしてたっけ。
開いた窓から、風のようにひゅんと飛び込んできたのはやはりトナカイだ。それが、空中で人の姿に変わってスタっと華麗に着地――、
とはならなかった。
ドタドタドタ、とひな壇のお笑い芸人が一斉にずっこけた時みたいな音がして、三人が転がり落ちて来たのである。
「えっ!? ちょ、何で全員来たの?!」
思わずそんな言葉が突いて出ると、一番最初に起き上がったフミが「違うんです、レディ!」と声を上げた。
「私は一人で来るつもりだったんです! なのにいつの間にかこの二人がいたんです!」
「ずるいんだよフミってば、こっそり抜け出してさ! だから絶対阻止してやろうと思って!」
「俺はワッカがこそこそ出て行くのを見て後をつけてきたんだ。コイツは前に添い寝がどうとか言ってたからな! 油断も隙もありゃしねぇと思って」
「油断も隙も無いのはレラも同じです! 二人共厩舎に戻りなさい! 私はレディと大事な話が」
「イヤだね! 僕だって花ちゃんとお話あるもん!」
「お前らまとめて帰れ。チビに話があんのは俺だ!」
「ああもう、うるさいうるさいうるさぁい! もう、お座り!」
顔を突き合わせてぎゃあぎゃあと口論するトナカイ達の真ん中に割り込んで、三人を順番に睨《にら》む。お座りを命じられたトナカイ達は、大人しくそれに従って、ラグの上に正座を――レラだけは偉そうに胡坐をかいていたけど――した。
「何なの三人共。私に話って、何。もう順番に聞くから! はい、フミからどうぞ」
ベッドの上に座り直して、左端のフミを指差した。
「では私から。明日の配達先の件です。アードルフ様から、明日の配達先がレディのクラスメイトだと伺いまして、しかも、その」
と話し始めると、「えっ」とワッカとレラが一斉に腰を浮かせる。
「ちょっと待って、フミも?!」
「お前もかよ! っていうか、ワッカもなのか?!」
「えーっ、何、レラもその話?!」
「おだまりなさい、二人共! いま私から話して――って二人も同じ話をするつもりだったのですか?」
どうやら。
どうやらそういうことらしい。
順番もへったくれもなく、あちこちから勝手にぎゃあぎゃあと聞こえてきた話をまとめると、だ。
配達先の情報はもちろんトナカイ達にも告げられる。そりゃそうだ。だって、そこへ連れてってくれるのは他ならぬ彼らなのだから。それで、どうせ明日わかることだからと、アドじいはその配達先が私のクラスメイトの三尋木君であることと、その彼のせいでちょっとクラスで浮いてしまったことなども話したのだとか。
それで。
「そんな子が対象者とわかってもなお、サンタとしての職務を全うしようとする、レディのその気高き心に感動しまして、これはもうたくさん褒めなければと、馳せ参じました!」
「僕はそのケダカキ心がどうこうとかはわからないけど、花ちゃん偉いなー、すごいなーって思ってさ、それでスペシャルなでなでしに来たんだ!」
いやいや、気高き心って、そんなすごいことはないと思うけど。あと、ワッカの『スペシャルなでなで』って何? あんまりわしゃわしゃなでられるとせっかくきれいに乾かした髪がぐちゃぐちゃになるから困るんだけど。
そう思いつつも、一応「ありがとう」と返す。私からお礼の言葉をもらった二人は何やら嬉しそうだ。ワッカに至っては、早速その『スペシャルなでなで』をしようとしているのか、両手を広げている。やめて。
が、その中で一人、レラだけは驚いたような顔をしている。「お前らそんな理由だったのかよ」と眉をしかめて二人を見ると、フミとワッカは「じゃあレラは何しに来たんですか」「まさか添い寝?! レラ、お前ってやつは!」と身を乗り出した。
「ワッカは添い寝から離れろ。するわけないだろ、そんなこと。……いや、俺は、その、なんていうか、チビが無理してんじゃねぇかって思って、だな」
「無理してる? 私が?」
「おやっさんの前ではそう言ったけど、本当はそんなやつのところに配達なんかしたくないんじゃねぇのかな、って。俺らがおやっさんのやる気を出せとか言ったから、断れなかっただけなんじゃないのかって思ってさ」
だとしたら、悪いことしちまったなって思って、と俯き加減で話すレラの声が震えている。フミとワッカもそこでやっとその可能性に気づいたらしい。ハッとした顔をして、あわあわと膝歩きで私のところへ詰め寄って来た。
「そうなんですか、レディ?! 無理してたんですか?!」
「うわーん、ごめんよ花ちゃん! 気づかなくてごめんんん!」
「ちょ、ちょちょちょ! 落ち着いて二人共!」
「いまからでも遅くないです、アードルフ様に行って、明日はやっぱり留守番にしてもらいましょう!」
「そうだよ花ちゃん! 僕らがわがまま言っちゃったせいでごめん! まだ見習いなのにそんな無理しないでいいよぉ!」
私のパジャマのズボンに縋りついて、瞳をうるうるさせる二人の頭をポンポンとなで、「ちょっとマジで落ち着いて二人共」と声をかける。レラだけ少し離れたラグの上で、しゅんと眉を下げているので、「レラもちょっとこっち来て」と手招くと、しぶしぶ、みたいな顔で彼も来た。
「たしかにね、三尋木君のことははっきり言って苦手だし、あんなにサンタのこと馬鹿にしてた人に何でプレゼントあげなくちゃいけないのよ、って思ったりもしたけど」
そう言うと、「やっぱり!」とワッカが叫んだ。ぐす、と鼻を啜るから、サイドボードに置いてあるティッシュを何枚か取って渡してあげた。ずびび、とそれはそれは豪快に鼻をかみ、それをフミに「はい」と渡している。それくらい自分で捨てなよ。
「でも、サンタって、やっぱりそういうものでしょ? 自分が好きとか嫌いとかで仕事しちゃ駄目じゃん。フミだって言ってたじゃない。公平さが大事だって」
「言いましたけどぉ」
「私たぶん、みんなが思ってるより、この仕事好きになってきたんだよね」
「ほんとか?」
「まぁ、まだ一件の配達しかしてないし、それもシミュレーションのやつなんだけど。でも、この仕事、ずっと続けたい。私も、アドじいみたいなサンタになりたいから。だから、まぁ、ぶっちゃけ、ちょっとは無理してるんだけど」
だって、それは嘘じゃない。本当は、せっかくの冬休みなのに、三尋木君にはあんまり会いたくない。するとワッカが「やっぱり無理してるんじゃん!」と飛び上がった。それを、どうどう、と落ち着かせる。
「ワッカ、ちゃんと最後まで聞いてってば。あのね、無理はしてるんだけど、やりたいの。だって、みんなが助けてくれる、でしょ?」
恐る恐るそう言うと、今度はワッカだけじゃなく、フミとレラも勢いよく、ずずい、と身を乗り出してくる。
「当たり前だろ!」
「もちろんですよ!」
「花ちゃんのためなら!」
「おわぁ」
そこまで食い気味に来られると思ってなかったから、正直なことを言えばちょっとドン引きなんだけど、嬉しいは嬉しい。
その夜は、眠くなるギリギリの時間まで四人でトランプをしたりして過ごした。ちなみにババ抜きが一番弱いのは、すぐ顔に出るレラだ。それで、床にむりやり布団を三枚敷いてトナカイ達もそこで寝たものだから、朝起こしに来たアドじいがびっくりしてたっけ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。
さよならトイトイ~魔法のおもちゃ屋さん~
sohko3
児童書・童話
魔法都市フィラディノートには世界一の大賢者、ミモリ・クリングルが住んでいる。彼女は慈善活動として年に二回、世界中の子供達におもちゃを配っている。ミモリの弟子のひとりである女性、ティッサは子供達に贈る「魔法で自由に動くおもちゃ」を作る魔法使いであり、自身もおもちゃを販売する店を経営する。しかし、クリスマスに無償で配られるおもちゃは子供達に喜ばれても、お店のおもちゃはなかなか思うように売れてくれない。
「トイトイ」はティッサの作ったおもちゃの中で最高傑作であり、人生を共にする親友でもある。時に悩むティッサを見守って、支え続けている。
創作に悩む作者へ、作品の方から愛と感謝を伝えます。「あなたが作ってくれたぼくは、この世界で最高の作品なんだ」
【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~
みなづきよつば
児童書・童話
とあるエスパーいわく、「魔法使い? そんなのおとぎ話だろ」。
とある魔法使いいわく、「エスパー? そんな人間いないでしょ」。
そんなエスパーと魔法使いの少年ふたりが……、出会っちゃった!!
※※※
完結しました!
よかったら、
あとがきは近況ボードをご覧ください。
***
第2回きずな児童書大賞へのエントリー作品です。
投票よろしくお願いします!
***
<あらすじ>
中一の少年リキヤは、超能力者(エスパー)だ。
リキヤはさびしさから、同じエスパー仲間を探していたが、
ひょんなことから、同じく中一の少年マナトとテレパシーがつながる。
しかし、妙なことに、マナトは自身のことを「魔法使い」と言っていて……?
***
ご意見・ご感想お待ちしてます!
つぼみ姫
ねこうさぎしゃ
児童書・童話
世界の西の西の果て、ある城の庭園に、つぼみのままの美しい花がありました。どうしても花を開かせたい国王は、腕の良い元庭師のドニに世話を命じます。年老いて、森で静かに飼い猫のシュシュと暮らしていたドニは最初は気が進みませんでしたが、その不思議に光る美しいつぼみを一目見て、世話をすることに決めました。おまけに、ドニにはそのつぼみの言葉が聞こえるのです。その日から、ドニとつぼみの間には、不思議な絆が芽生えていくのでした……。
※第15回「絵本・児童書大賞」奨励賞受賞作。
リュッ君と僕と
時波ハルカ
児童書・童話
“僕”が目を覚ますと、
そこは見覚えのない、寂れた神社だった。
ボロボロの大きな鳥居のふもとに寝かされていた“僕”は、
自分の名前も、ママとパパの名前も、住んでいたところも、
すっかり忘れてしまっていた。
迷子になった“僕”が泣きながら参道を歩いていると、
崩れかけた拝殿のほうから突然、“僕”に呼びかける声がした。
その声のほうを振り向くと…。
見知らぬ何処かに迷い込んだ、まだ小さな男の子が、
不思議な相方と一緒に協力して、
小さな冒険をするお話です。
てのひらは君のため
星名柚花(恋愛小説大賞参加中)
児童書・童話
あまりの暑さで熱中症になりかけていた深森真白に、美少年が声をかけてきた。
彼は同じ中学に通う一つ年下の男子、成瀬漣里。
無口、無表情、無愛想。
三拍子そろった彼は入学早々、上級生を殴った不良として有名だった。
てっきり怖い人かと思いきや、不良を殴ったのはイジメを止めるためだったらしい。
話してみると、本当の彼は照れ屋で可愛かった。
交流を深めていくうちに、真白はどんどん漣里に惹かれていく。
でも、周囲に不良と誤解されている彼との恋は前途多難な様子で…?
月神山の不気味な洋館
ひろみ透夏
児童書・童話
初めての夜は不気味な洋館で?!
満月の夜、級友サトミの家の裏庭上空でおこる怪現象を見せられたケンヂは、正体を確かめようと登った木の上で奇妙な物体と遭遇。足を踏み外し落下してしまう……。
話は昼間にさかのぼる。
両親が泊まりがけの旅行へ出かけた日、ケンヂは友人から『旅行中の両親が深夜に帰ってきて、あの世に連れて行く』という怪談を聞かされる。
その日の放課後、ふだん男子と会話などしない、おとなしい性格の級友サトミから、とつぜん話があると呼び出されたケンヂ。その話とは『今夜、私のうちに泊りにきて』という、とんでもない要求だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる