17 / 17
ビッチは妥協する
しおりを挟む
「へ、へえ、ここが青島ん家か。駅近だし築浅っぽいし、いいとこ住んでんじゃん。家賃も高そうだけどな」
ーーで、何でコイツ家にまで着いてきてんの?
普通、喋りかけてんのに無視され続けてたら諦めない?ていうか、怒るか凹むかしない?何であたかも私と会話してるみたいに喋れんの何で?え?まさか無視されてんのに気付いてない?
小田島の空気の読めなさとハートの強さと執念深さと掌の返しようを、私は完全に甘く見ていた。
当然の様に部屋に上がり込み、不躾に物色し始める小田島。しかし、どこか落ち着きがない小田島。
「え、えと。あ、そだ!腹減ったからまず飯でも」
「いい。私空いてないから」
無碍なく言い放つと、小田島は目を泳がせてから、ポンッと手を叩いた。
「そ、そう?あ、ゲーム!ゲームしようぜ!ああ、でも俺めっちゃ強えからなぁー。対戦しても全然相手にならないと思うけど。そうだ、なんか交換してやるっつったっけ。しょうがねえから好きなの選んでいーぞ。特別だぞ」
「いらない」
「まあまあ、そう見栄張んなって。ほら、コイツとか?コイツとか?」
「だからいらないって。つーか、全部持ってるし。つーか、あんたのよりもレベル高いし。つーか、言わせてもらいますけど、あんたのクソ弱いパーティと対戦しても楽しくないから」
「……へ?あ、あそ」
「じゃ、用事は終わり?」
「あ、ああ…そ、だなー。あと何かあったっけ…」
「何もないなら早く帰ってよ」
「お、おう。あ、そういえば青島に何か言いたいことあった気がしたんだよなー。えーと、うーん。何だったっけなー」
お前は告白したいのになかなか言い出せない男子中学生か。
さっきから延々と続いている小田島のまどろっこしい態度にいい加減愛想が尽き、盛大にため息を吐く。
言いたいことあるならさっさと言ってよ。ああ。イライラするな、コイツ本当に。
ーーううん、違う。
本当に本当に認めたくないんだけど、ちんこだけはなかなか良い物持ってたんだよね。小田島のくせに。
日本人平均よりも若干大きめで、カリ高で、ガチガチに硬くって(それは童貞だったからかもしんないけど)。
それに、腹筋割れてたし。ガンガン腰振ってもへばらないだけの体力もあったし。持続時間も童貞のくせに結構長かったし。
そこだけは、まあ、悪くなかったんだよね。マイナスすぎる性格と見た目を差し引いても若干お釣りがくるくらいには、まあ、良かったんだよね。
……ああ。ムラムラするな、本当に。
「セックスしたいんでしょ?」
「セッ!?」
「する?しない?5秒以内に答えて。5、」
「したいっす!」
即答。目ギラギラ、鼻の穴全開、髪の毛逆だってるし、肩肘張ってるし。お前はあれか。押すと変な声を出す黄色い鳥のおもちゃか。
ぷっ、と思わず笑いが溢れた。
やば、ツボった。一度笑うと後から後からこみ上げてきて止まらない。
あ~あ。まあ、いっか。
気持ち良ければ何でも、相手が小田島でも。まあ、いっか。
「いーよ。ただし、私の言う通りにしなかったら速攻止めるから。約束守れる?小田島くん一号」
小田島が首を大きく縦に振る。ブンブンと揺れるマッシュルームカットが面白くて、私はまたたケラケラと笑った。
当分の間、自粛も続きそうだし。
私がコイツをしっかりと躾けて手綱を握ってればいいだけだし。
やたら口が回って煩いけど、黙らせればいいだけだし。
本当に本当に不本意なんだけど。仕方ないんだけど。
小田島でしばらくは手を打つか。
こうして私と小田島の、仕方ない関係は始まったのだった。
※ ※
二人が正式にお付き合いするまで、あと◯◯日!!
かもしれない!?
おしまい!
ーーで、何でコイツ家にまで着いてきてんの?
普通、喋りかけてんのに無視され続けてたら諦めない?ていうか、怒るか凹むかしない?何であたかも私と会話してるみたいに喋れんの何で?え?まさか無視されてんのに気付いてない?
小田島の空気の読めなさとハートの強さと執念深さと掌の返しようを、私は完全に甘く見ていた。
当然の様に部屋に上がり込み、不躾に物色し始める小田島。しかし、どこか落ち着きがない小田島。
「え、えと。あ、そだ!腹減ったからまず飯でも」
「いい。私空いてないから」
無碍なく言い放つと、小田島は目を泳がせてから、ポンッと手を叩いた。
「そ、そう?あ、ゲーム!ゲームしようぜ!ああ、でも俺めっちゃ強えからなぁー。対戦しても全然相手にならないと思うけど。そうだ、なんか交換してやるっつったっけ。しょうがねえから好きなの選んでいーぞ。特別だぞ」
「いらない」
「まあまあ、そう見栄張んなって。ほら、コイツとか?コイツとか?」
「だからいらないって。つーか、全部持ってるし。つーか、あんたのよりもレベル高いし。つーか、言わせてもらいますけど、あんたのクソ弱いパーティと対戦しても楽しくないから」
「……へ?あ、あそ」
「じゃ、用事は終わり?」
「あ、ああ…そ、だなー。あと何かあったっけ…」
「何もないなら早く帰ってよ」
「お、おう。あ、そういえば青島に何か言いたいことあった気がしたんだよなー。えーと、うーん。何だったっけなー」
お前は告白したいのになかなか言い出せない男子中学生か。
さっきから延々と続いている小田島のまどろっこしい態度にいい加減愛想が尽き、盛大にため息を吐く。
言いたいことあるならさっさと言ってよ。ああ。イライラするな、コイツ本当に。
ーーううん、違う。
本当に本当に認めたくないんだけど、ちんこだけはなかなか良い物持ってたんだよね。小田島のくせに。
日本人平均よりも若干大きめで、カリ高で、ガチガチに硬くって(それは童貞だったからかもしんないけど)。
それに、腹筋割れてたし。ガンガン腰振ってもへばらないだけの体力もあったし。持続時間も童貞のくせに結構長かったし。
そこだけは、まあ、悪くなかったんだよね。マイナスすぎる性格と見た目を差し引いても若干お釣りがくるくらいには、まあ、良かったんだよね。
……ああ。ムラムラするな、本当に。
「セックスしたいんでしょ?」
「セッ!?」
「する?しない?5秒以内に答えて。5、」
「したいっす!」
即答。目ギラギラ、鼻の穴全開、髪の毛逆だってるし、肩肘張ってるし。お前はあれか。押すと変な声を出す黄色い鳥のおもちゃか。
ぷっ、と思わず笑いが溢れた。
やば、ツボった。一度笑うと後から後からこみ上げてきて止まらない。
あ~あ。まあ、いっか。
気持ち良ければ何でも、相手が小田島でも。まあ、いっか。
「いーよ。ただし、私の言う通りにしなかったら速攻止めるから。約束守れる?小田島くん一号」
小田島が首を大きく縦に振る。ブンブンと揺れるマッシュルームカットが面白くて、私はまたたケラケラと笑った。
当分の間、自粛も続きそうだし。
私がコイツをしっかりと躾けて手綱を握ってればいいだけだし。
やたら口が回って煩いけど、黙らせればいいだけだし。
本当に本当に不本意なんだけど。仕方ないんだけど。
小田島でしばらくは手を打つか。
こうして私と小田島の、仕方ない関係は始まったのだった。
※ ※
二人が正式にお付き合いするまで、あと◯◯日!!
かもしれない!?
おしまい!
0
お気に入りに追加
56
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(22件)
あなたにおすすめの小説


イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
うはぁー楽しい作品をありがとうございました☆
完結してしまい少し寂しく感じます(´⊙ω⊙`)
小田島に出会い、どんどん小田島が可愛く見えてきて自分はクズが好きなんだと改めて痛感させられました(*・ω・)ノ
また新しい作品も楽しみに待ってます〜☆☆
こちらこそ最後までお読みいただきありがとうございました^ ^
楽しくなかったから何も残らないペラペラの話なので良かったです!ホッとしてます!
私の中で、クズ男はイケメンヤリチンチャラ男っていうイメージなので、小田島はクソ男とジャンル分けしていますwww愛着を持っていただき、嬉しいやら申し訳ないやら…いや、嬉しいです!
最後までお付き合いいただきありがとうございます\(//∇//)\
調教(人格矯正含む)で、いい男にはならなくてもマシな男になってくれれば…青島先生の腕の見せ所っすねww
クズではなくクソ男ジャンル、少しは開拓できたかな?^ ^
小田島折れねぇーーー!
あっ、ヤラシイ意味ではなくwww
面白かったです!やっぱりくるみさんの話は読みやすくて楽しくて好き!ち〇〇から始まる恋?もいいよね?!?!
しつけ次第ではいい男に……なって欲しいな……(遠い目)
躾け甲斐がありそうよね!小田島。
まず、その変なプライドをポッキポキに折って粉砕してwww
青島ちゃんに「髪型変。似合ってない。キモイ」って言われて次の日にバッサリ切ってくるという後日談(書く予定はない)があります。www
お読みいただきありがとうございました!