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そこに愛はない
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「俺さあ、この体位好きなんだよね。女の子がさ、苦しそうに眉寄せて、でも奥突く度にアンアン鳴いて。征服してる感じするじゃん?」
「っは、あ、さいって、い」
「よく知ってんじゃん」
侮蔑をこめて言ったのに、安田は心底嬉しそうに笑う。汗で張り付いた明るい色の前髪を鬱陶しそうにサイドに流すと、どす黒い何かを秘めた不穏な瞳と目が合った。
「だからさ、お前も征服されろよ」
いつもの下品で軽薄でチャラチャラした安田じゃない安田が一瞬だけ垣間見えて、不本意にもドキリとした。
私の脚を肩にかけたままお尻を持ち上げるように両手で抱え込まれ、これ以上ない位腰を密着される。
「ああっ!や、あ!」
そして、そのまま容赦ない抽送を繰り返す。
痛い位の快感に耐えられず目を瞑ると、それを咎めるようにまた目尻を舐められる。
「ちゃんと、俺を、見ろ」
命令するな。誰が見るか。
そう確かに思ったのに、荒い息の合間にそう言った安田が何故か辛そうで苦しそうで、私を真っすぐに射抜く瞳はどこか泣きそうで。安田の言う通りなんて絶対にしたくないのに、私はしっかりと目を開けて、安田の瞳に映る自分を見つめた。
苦しい位に乱暴で高圧的な抽送なのに、私の中は気持ちいいのを代弁するかのように後から後から愛液を溢し、そして淫らな音を奏でている。引いても突いても気持ちよくて、踊る様に揺れる胸の尖りが安田の胸板を掠める度に、電気が流れたみたいに全身が痺れて。
強すぎる快感が絶え間なく私を襲う。私を壊す。
「ああっ!あー!」
この男に屈服したくない負けたくないと、どこか意地になって必死に堪えていたが、何度も何度も擦られて膨張した花蕾をぐっと押された瞬間、私はあっけなくそれを放棄した。
「やっ、あああっっ!!!」
「…っく」
意識が飛ぶくらいの絶頂の波が私を呑み込む。
小さい呻き声が聞こえたと同時に、乱暴に腰を打ち付けられ抽送が停止した。
頭がぐらんぐらんと大きく揺れて涙で霞む視界の中、ぎゅっと眉を顰める安田が見えた。
安田のニヤついた笑みを剥がしてやったと、してやったり感が湧き、自然と笑みがこぼれる。
ざまーみろ。
声に出さずそう呟いた。
絶頂の余韻が収まらず、未だに私の膣内は安田の熱をぎゅうぎゅうと締め付けている。出て行けないのか、出て行かないのかはわからないけど、安田はしばらく私の中にいて、私も無理やり追い出すことはしなかった。
二人ではーはーと荒くなった息を吐き、それが水風船のように揺れる私の胸にかかって二人の間に溜まっていく。多分このままでいたら二人とも酸欠で死ぬと思う。
ーーでも、まあ、それもいいか。
そんな風に思ってしまう私はやっぱりまだ、どうかしている真っ只中らしい。
「っは、あ、さいって、い」
「よく知ってんじゃん」
侮蔑をこめて言ったのに、安田は心底嬉しそうに笑う。汗で張り付いた明るい色の前髪を鬱陶しそうにサイドに流すと、どす黒い何かを秘めた不穏な瞳と目が合った。
「だからさ、お前も征服されろよ」
いつもの下品で軽薄でチャラチャラした安田じゃない安田が一瞬だけ垣間見えて、不本意にもドキリとした。
私の脚を肩にかけたままお尻を持ち上げるように両手で抱え込まれ、これ以上ない位腰を密着される。
「ああっ!や、あ!」
そして、そのまま容赦ない抽送を繰り返す。
痛い位の快感に耐えられず目を瞑ると、それを咎めるようにまた目尻を舐められる。
「ちゃんと、俺を、見ろ」
命令するな。誰が見るか。
そう確かに思ったのに、荒い息の合間にそう言った安田が何故か辛そうで苦しそうで、私を真っすぐに射抜く瞳はどこか泣きそうで。安田の言う通りなんて絶対にしたくないのに、私はしっかりと目を開けて、安田の瞳に映る自分を見つめた。
苦しい位に乱暴で高圧的な抽送なのに、私の中は気持ちいいのを代弁するかのように後から後から愛液を溢し、そして淫らな音を奏でている。引いても突いても気持ちよくて、踊る様に揺れる胸の尖りが安田の胸板を掠める度に、電気が流れたみたいに全身が痺れて。
強すぎる快感が絶え間なく私を襲う。私を壊す。
「ああっ!あー!」
この男に屈服したくない負けたくないと、どこか意地になって必死に堪えていたが、何度も何度も擦られて膨張した花蕾をぐっと押された瞬間、私はあっけなくそれを放棄した。
「やっ、あああっっ!!!」
「…っく」
意識が飛ぶくらいの絶頂の波が私を呑み込む。
小さい呻き声が聞こえたと同時に、乱暴に腰を打ち付けられ抽送が停止した。
頭がぐらんぐらんと大きく揺れて涙で霞む視界の中、ぎゅっと眉を顰める安田が見えた。
安田のニヤついた笑みを剥がしてやったと、してやったり感が湧き、自然と笑みがこぼれる。
ざまーみろ。
声に出さずそう呟いた。
絶頂の余韻が収まらず、未だに私の膣内は安田の熱をぎゅうぎゅうと締め付けている。出て行けないのか、出て行かないのかはわからないけど、安田はしばらく私の中にいて、私も無理やり追い出すことはしなかった。
二人ではーはーと荒くなった息を吐き、それが水風船のように揺れる私の胸にかかって二人の間に溜まっていく。多分このままでいたら二人とも酸欠で死ぬと思う。
ーーでも、まあ、それもいいか。
そんな風に思ってしまう私はやっぱりまだ、どうかしている真っ只中らしい。
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