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あの後、また運ばれてきた食事を蓮見と一緒に頂いた。やけに豪華な料理を見て二人の正体に再び疑問に思ったが、知らぬが仏の言葉を信じて何も突っ込まないことにする。
食事を終えると蓮見が戯れてきたのでベッドの上でごろごろしていると、ストーカー男が不機嫌そうに部屋に入ってきた。
蓮見は部屋に来たストーカーさんに出ていけと言われて、ベッドの上で不満そうにしている。ぶーぶー文句を言いながらも、「じゃーな」と俺の頭を撫でたあと、言うとおりに直ぐに部屋を出ていった。
呆然とその光景を見ながら、差し出された飲み物を喉に流し込む。飲んだのは俺がよく買っているみかんのジュースだ。
みかん味は後味がさっぱりしていて好きなんだ。
飲み終わって、部屋のソファーに座って携帯を触っている男に近付こうと床に足を付ける。自分でもびっくりするくらい真っ直ぐに歩くことができなくてよたよたしていると、それに気づいた相手は携帯を置いた後俺を支えてくれた。
先程の尖ったものとはちがう穏やかな雰囲気で俺に笑いかけると、優しく抱き上げられて再びベッドに戻される。
「あー…ふらふらじゃないか、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない」
原因は言わずもがな。散々行為をしたことが身体に響いているのだろう。
「クソ、あいつ……全然手加減してないな」
忌々しそうに呟く男を見て、そういえばこの人、俺のことが好きなんだっけと思い出した。見た目は穏やかで紳士的な人なのに意外と嫉妬深くて短気に感じる。出会ってそこまで時間は経っていないが、それくらいのことは分かった。
ベッドでぐったりしていると前髪を掻き上げられた。手のひらで額を撫でられて気持ちよくて、なんだか眠気が沸き起こってきた。
「ねぇ。蓮見さんと、どーゆー関係なの?」
うとうとしながら気になってたことを口にする。すると男の手の動きがピタリと止まった。
「……『はすみさん』て、どういうこと?」
あ、やっちゃったかもしれない
一瞬で真顔になった男の表情に、冷たい汗が流れた。
「あいつ、キミに名前教えたの?」
「う、うん。あれっ、偽名では……?」
偽名じゃ無かったっけ、と呟くとそんなのどうでもいいと低い声で返された。じとりと目を細められる。
「昨日のうちにすっごく仲良くなったんだね?俺が居ないところで?」
「え、あ、まあ……その」
何を言っても機嫌を損ねそうで、何も言えなくなる。口を開閉させてどう返そうか悩んでいると、男が片手で俺の両頬を掴んでくる。そのまま顔を上に向かせられて、ばちりと目があった。嫉妬が滲んだ瞳が俺を射抜く。
「俺がこんなにキミのこと好きなの知ってるくせに、そんな意地悪するんだ?ひどいなー」
残念だ、と言うように肩を竦めると俺の首に手を添えて耳元に顔を寄せた。
「ね……そんな悪い子には、おしおきだから」
かり、と喉仏を引っ掻かれる。急所を触られた恐怖に身を強張らせた。
今はちょっと、体が辛いんだけど。なんて声は聞いてもらえないんだろうな。
食事を終えると蓮見が戯れてきたのでベッドの上でごろごろしていると、ストーカー男が不機嫌そうに部屋に入ってきた。
蓮見は部屋に来たストーカーさんに出ていけと言われて、ベッドの上で不満そうにしている。ぶーぶー文句を言いながらも、「じゃーな」と俺の頭を撫でたあと、言うとおりに直ぐに部屋を出ていった。
呆然とその光景を見ながら、差し出された飲み物を喉に流し込む。飲んだのは俺がよく買っているみかんのジュースだ。
みかん味は後味がさっぱりしていて好きなんだ。
飲み終わって、部屋のソファーに座って携帯を触っている男に近付こうと床に足を付ける。自分でもびっくりするくらい真っ直ぐに歩くことができなくてよたよたしていると、それに気づいた相手は携帯を置いた後俺を支えてくれた。
先程の尖ったものとはちがう穏やかな雰囲気で俺に笑いかけると、優しく抱き上げられて再びベッドに戻される。
「あー…ふらふらじゃないか、大丈夫?」
「……大丈夫じゃない」
原因は言わずもがな。散々行為をしたことが身体に響いているのだろう。
「クソ、あいつ……全然手加減してないな」
忌々しそうに呟く男を見て、そういえばこの人、俺のことが好きなんだっけと思い出した。見た目は穏やかで紳士的な人なのに意外と嫉妬深くて短気に感じる。出会ってそこまで時間は経っていないが、それくらいのことは分かった。
ベッドでぐったりしていると前髪を掻き上げられた。手のひらで額を撫でられて気持ちよくて、なんだか眠気が沸き起こってきた。
「ねぇ。蓮見さんと、どーゆー関係なの?」
うとうとしながら気になってたことを口にする。すると男の手の動きがピタリと止まった。
「……『はすみさん』て、どういうこと?」
あ、やっちゃったかもしれない
一瞬で真顔になった男の表情に、冷たい汗が流れた。
「あいつ、キミに名前教えたの?」
「う、うん。あれっ、偽名では……?」
偽名じゃ無かったっけ、と呟くとそんなのどうでもいいと低い声で返された。じとりと目を細められる。
「昨日のうちにすっごく仲良くなったんだね?俺が居ないところで?」
「え、あ、まあ……その」
何を言っても機嫌を損ねそうで、何も言えなくなる。口を開閉させてどう返そうか悩んでいると、男が片手で俺の両頬を掴んでくる。そのまま顔を上に向かせられて、ばちりと目があった。嫉妬が滲んだ瞳が俺を射抜く。
「俺がこんなにキミのこと好きなの知ってるくせに、そんな意地悪するんだ?ひどいなー」
残念だ、と言うように肩を竦めると俺の首に手を添えて耳元に顔を寄せた。
「ね……そんな悪い子には、おしおきだから」
かり、と喉仏を引っ掻かれる。急所を触られた恐怖に身を強張らせた。
今はちょっと、体が辛いんだけど。なんて声は聞いてもらえないんだろうな。
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