私の彼女は元上司

にゃる子

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失ったものと宝物

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引越しの準備が終わりかけていた夕方の時間。
私のスマートフォンが鳴る。

動画配信の事務所からだった。

私が刺されたことがネットニュースに上がったのが原因で、一方的に契約を切るための電話だった。
無機質な会話が、まるで知らない国のラジオのようだ。

まぁ、美雨さんからのモデルの仕事もフードデリバリーの仕事もあるので、未練も何もない。

「お世話になりました。」

とだけ伝えておいた。

翌日、美雨さんの事務所に行った。

美雨さんは、私の傷を確認すると蝶々のタトゥーシールをプレゼントしてくれた。

「傷が落ち着くまで貼っておいたらいいよ。
まぁ、画像なんて大概どこかしらいじってるから気にしないでね。

私は那智さんを気に入ってるからクビなんかにしない。
那智さんが辞めたいって言えば止めないけど」

やっぱり美雨さんは、素敵な人だと思った。
彼女も人との価値観の違いに悩んだり苦しんでいたからこそ、人の苦しみがわかるのだと思う。

「モデルなんて吐いて捨てるほどいるんだから、ちょっと何かあれば契約切っちゃうデザイナーさんなんていくらでもいるけど、私はそんなやり方じゃ作品の魅力も伝わらないと思う。

何かあれば、即解雇なんでしょ?
と、思いながら私の服を着てほしくないから。」

美雨さんは、施設で育った。
両親はわからない。
ずっと絵ばかり描いている子で、友達と大人数で遊ぶのも苦手。
外遊びなんか大の苦手。

子供は外で遊ぶもの。とか
女性は…とか…いろいろな決め付けが苦しかったけど、それを上手くまわりにも伝えられなかった。

たまたま応募したイラストコンテストで優勝したのがきっかけで世界が広がった。

やっぱり、この人と仕事をしていてよかったと思った。

今日は、撮影の日程打ち合わせと私の傷の確認だったのだけど、なんだか人生相談みたいな日になってしまった。

動画配信の会社のことを話すと…

「そんな会社なら辞めてよかったんだよ。
新しい会社でも動画配信なら、これからいくらでもやるんだから」

美雨さんの若干の怒りが伝わって来る。

私を元気付けようと、美雨さんは私がモデルを務めている下着カタログを見せてくれた。
まるで、写真集みたいで妖精の世界にいるかのような世界観が広がっている。

「まだ見てなかったよね?
これはあげる!」

やっといつもの美雨さんに戻った。

有料で販売しているカタログなのに。

さらに、次のカタログの構図も見せていただいた。
綺麗な蝶々がたくさん舞っている世界観。

だから私のタトゥーシールも蝶々なんだ。

「次は衣装多いからね!
体力付けといてね。」

美雨さんに見送られて、今日から希望さんの家でお世話になる。

タワマンを見上げると、あまりの高さに固まってしまう。
希望さんの部屋は4階なんだけど、写真で見た時は、内装も豪華だった。

希望さんが、入り口まで迎えに来てくれる。
私の荷物は、もう届いているとのことで
希望さんが適当に開けておいてくれたらしい。
ドアを開けた瞬間…。

玄関の広さが全然違う…。

私が驚いていると
「撮影用のパネルが届いていないんだけど…」
「その、動画配信なんだけど…事務所から電話があって」

契約のことを希望さんに話した。

「そんなことがあったの…。
那智さんは被害者なのに、理不尽だったわね。
でも、私からすれば那智さんは働き過ぎだと思っていたから、ある意味ではよかったんじゃない?」

確かに、風邪を引いた時は希望さんのお世話にもなった。

希望さんが、早速私の部屋も見せてくれた。
ベッドや家具は業者さんが配置してくれたみたいだけど、すごく可愛い雰囲気の部屋になっていた。

「かわいい!!!
ありがとうございます。」

前の家にあったものも使ってくれているようだ。
希望さんのセンスの良さを感じ取れた。

私が部屋なんか作ったら、可愛さも何もない無機質な部屋になりそうだな…と我ながらに思う。

さらに、バスルームやら希望さんの部屋も見せていただいた。

ここはマンションの筈なのに、一軒家の時より豪華さがさらにアップグレードしている。
リビングには壁いっぱいに広がる窓。

さらに、洗濯物は専用の部屋で干すらしい。

希望さんに淹れてもらった紅茶を飲みながらテレビを見ていると、希望さんが私の肩を揉んでいる。

「明日香の家のお仕事も大変だったみたいね。」
「かなり遊んでましたよ。
釣りしたり、星を見たり…。
泥は大変でしたが」

希望さんは私を床のマットにうつ伏せに寝かせると、足からマッサージを始めた。

「ちゃんとメンテナンスしておかないと、美雨さんの撮影もあるからね。」
希望さんのマッサージは相変わらずすごく上手くて、そのまま眠りそうになってしまう。

一通りのマッサージが終わると、私は寝落ちしそうになっていた。

「ここも、寂しがってるんじゃないの?」

下着の上からクリトリスを爪先で軽く擦られる。

「うっ…あんっ…。」

無防備だった足に、ぎゅっと力が入る。

そのままキスされながら、服を脱がされていく。
お腹の傷を指で撫でられる。

「思っていたより治りが早いのね。」
ホッとした様子で私のお腹を撫でながら、乳首を舐めながら、反対の乳首を指で摘まれる。

「あっ…」

久しぶりの刺激に思わず声が出る。

「こんなに立ってる。
もっとしてあげる。」

さらに強い力で吸われてしまう。

「い…あああんっ…。」
だんだんと濡れて来ているのが自分でもわかる。

希望さんの手が、私のあそこに伸びる。

「お尻の下まで濡らしちゃってる」

希望さんに、履いていたショーツを全部脱がされると、足を開かれて奥まで観察される。

「クリが大きくなってる…」
と、指先で撫でながら私の顔を覗く。

「きっ…きもち…いいっ…」

指で開かれて吸われたり、舌先で遊ばれたり
愛液でさらに水溜りができていく。

「どうしてほしい?」
「希望…さん…のを入れて…」

テレビ台の引き出しから、希望さんが双頭バイブを出す。

「これ?」
希望さんがなんだか嬉しそうだ。

私が頷く。
希望さんの服も捲って乳首を愛撫したり指でこねてみたり

「くぅん…。」
希望さんの声に、さらに欲しくなる。

希望さんのおまんこに、バイブをセットすると
すんなり中に入った。

「入れるよ。」

ズボッ…。

ぐちゅ、ぐちゅ、としたいやらしい音が部屋に響く。

「那智さん…気持ちいい?」
「もっと…欲しい…」

腰が反射的に激しくなる。

「奥に当たってる…すごい。」

お互いの動きがさらに激しくなる。

「い…イキそう…」
「私も…」

お互いに激しくイッてしまった。

無防備に裸で寝転がりながら、希望さんが腕枕してくれる。
希望さんに、こうされていると何故か全てが安心できるかのような優しい気持ちになれる。

「久しぶりだからお腹痛くなってない?」
「大丈夫です…」

そのまま唇にキスされた。

「なんだか世の中って勝手だなぁ…って思うことは多いけど、最終的には自分のことを本当に思ってくれる人は必ずいて
そんな人達は、たとえどうなろうと側に居てくれた。

那智さんには、大変な数日だったとすごく思っている。
結局、今回は失った先に何かを得たんじゃないの?」

「動画配信の会社の方には、ネットニュースの件と、もし犯人が退院してから逆恨みに何かして来たら会社の不利益にもなりうるとか言ってました。

そんな考えの場所には、もう私は居なくていいかな?なんて思います。」

まわりは、本当にいい人ばかりだと我ながらに思う。

まぁ、みんなキャラは濃厚だけど…。

明日からは下着モデルの撮影。
支えてくれている人達に私ができることは、精一杯全力を尽くすくらいなのかもしれない。

翌日の準備をしながらぼんやり考えていた。
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