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赤き羽毛の復讐者《スリーピングスナイパー》
暁に染まる巨人《ダイド イン ザ ダウン》12
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「ほほう……やっぱ二人も気づいてたか」
関心関心……と呟くロナ。
バオと入れ替わって工場を調査していただけあって、どうやら神器の存在についても知っていたらしい。
「どうしてこんなところで雷神トールの神器を研究しているの?」
魔術が広く知れ渡った現代でも、神の加護や神器は未だ多くの人が知ることのない技術であり、専門的な研究所が存在することなどまずあり得ない。
最もなセイナの疑問、ロナはらしくない様子でうーんと難しい声を上げた。
「雷神トールの神器がここに運ばれてきた経緯、理由については詳しく調べることができなかったんだよね……分かったのは、ここは政府が極秘に認可している武器工場で、中国と秘密裏に貿易をしているってこと」
やっぱりか……
思っていた通り、このベトナムと中国の境界線で二国は秘密裏に違法交易をしていた。日本で言う外為法に引っかかる貿易……世間に知れ渡れば国際問題に発展する大問題だ。
と思う俺とセイナの心を先読みしたかのように、ロナはやれやれと半ば呆れた様子で、
「まーロナ達がそれを指摘したところで、領地侵犯で先に捕まるけどね……あとは、ボブ・……えーと、セイナ達が言うチャップリンが技術提供という形でここの所長をしていること。最後にチャップリンは、政府にも秘密でこの研究所を作成し、神器についての様々なデータを収集しているということ……本当ならあと二日掛けてここを調べてから、神器を盗んでトンズラこくつもりだったんだけど……思いのほか二人の救出が早かったからロナちゃんびっくりしちゃった……でも二人がチャップリンの気を引いてくれたおかげで、こっちはスムーズに済んだから良かったよ」
するとロナは急に「やーと着いた」と言いながら急に立ち止まった。
ロナが立ち止まったのは……俺とセイナがさっき雷神トールの神器を見つけた鉄サッシの場所だった。
「研究所は外部と完全に隔離された構造になっていて、表の人間とは基本連絡は取らない……その上下を行き来するのは所長であるチャップリンとここのNO.2のバオだけなの」
ロナが鉄サッシの横で背中を地につける駄々っ子のようなポーズ取る。両手をブリッジのように鉄サッシとは反対側の壁につけて、バネの要領で両脚を突き出す変則ドロップキック繰り出し、ダクトの鉄サッシ部分を吹き飛ばした。
「なるほど……そういう事か……」
────ガシャンガシャンッ!!と神器研究用の機材の上に落ちた鉄サッシがけたたましい音を立てる中、ダクト外の景色を見た俺は、ロナが言わんとしていたことを理解して小さく頷いていた。
研究所はもぬけの殻になっていた。
あれだけいた研究者達の姿は無く、警報音すら鳴っていない研究所から聞こえてくるのは、機材が発する駆動音だけだった。
「今頃全員、牢屋に閉じ込められた状態で騒いでるんじゃないかな?さぁさぁ!あっしがミーティアスレッドで支えるんでぇ、セイナさんお先どーぞ」
ふざけた様子のロナにセイナは何かもの言いたげな眼を向けつつも、言われた通り隕石の糸でダクトからゆっくりと、十メートル程下の研究所に降りていく。
「ささ!フォルテさんもどうぞ!」
セイナが降りたのを確認してから仰々しくそう告げるロナ。
「……ちょっと聞いていいか?」
普段の様子とは変わらない……体を装っているロナに、ダクトから足を投げ出した状態で俺はそう切り出していた。
「あれは本当に作り物だったのか……?」
「……な、何のことかな?」
少し、ほんの少しだけ焦ったようなロナが、あくまで平静を保ったままそう返してきた。
「……」
背中越しのその反応に、全てを悟ってしまった俺は眼を伏せる。なんて声をかけるべきか見つからない……
それでも口を開こうとした俺に、ロナが突然────
「止めてよね」
彼女にしては珍しく、低く力が籠った……ロアのような声だった。
「それだけは言わないで……その言葉は、ロナの決意を踏みにじる行為だよ……フォルテ……」
きっとそれは、ロナなりの強がりであり、優しさでもあったのだろう。
いつも犬猫の仲のセイナに同情させることを嫌がった、彼女なりの優しいウソ。
すると突然……小さな両手が俺の背中にしがみ付いて、その間にロナがおでこをぶつけてきた。
その身体は小さく震えていた────怖かっただろうな……あの映像に映っていたロナは恐怖で泣いていた。俺は……どうやら取り返しのつかないをさせてしまったらしい。
悔やむ俺の背で、声を上擦らせたロナが鼻を啜る。
「まさか……ロナちゃんが一番お気にのランジェリーをバオに履かせることになるなんて……」
「…………はぁ?ランジェリー?」
思いもしなかった斜め上の返答に、俺は聞き返してしまった。
「だってぇ……あの映像を取るにはロナちゃんの下着使わないとバレちゃうじゃん……」
「バレるも何も、あの映像は本物なんじゃ……」
振り返った先、背中にしがみ付いていたロナはキョトンと首を傾げた。
「確かにネットからの合成は嘘、そもそもここネット繋がらないし……仕方ないからバオと入れ替わった状態で映像を撮ったの……声はロナが両方出せるから問題ないとして、服装は完全に整えてないとバレるから苦渋の決断だったよ……そ・の・か・わ・り……」
背後でロナは戦闘服のズボンの間に指を入れ、片側を太腿の付け根まで下げた。
急に何やってんの!?
「ほら……見て?ロナちゃん今はこの服の下には何も付けてないんだぁ……」
真っ白な肌がダクトの暗がりの中で怪しく光っている。立体的な鼠径部に陰影が掛かる様子に、男である俺の眼は自然と釘付けになってしまう。
「や、止めろってッ……!!」
妖艶な笑みを浮かべながら、さらにズボンを下げようとしていたロナの手を俺が掴むと、この状況を知らないセイナが下から訝し気な顔でこっちを見上げていた。
ここでのやり取りがもしもセイナに知られたら、俺はきっとこの工場の溶湯に捨てられるだろう……そうならないためにも、ロナの大事な部分からは眼を逸らして一目散にダクトから降りていく。
「……全く、ダーリンはいつも優しいんだから……こうでもしないとずっと気にするでしょ……」
足元をふら付かせながら、どこか忙しなく降りた俺にセイナが、
「何してたの?」
と何故か夫の浮気を疑う妻のような睨みを利かせてきたので、
「べ、別に……」
眼を合わせたら絶対何か言われる……!
俺は脂汗を額に滲ませながらも、明後日の方を向いて口笛混じりに答える。
詰め寄るセイナがジーと眼からレーザーを飛ばしてくる横に「おっまたせ~!さぁいこっか!」とロナが降りてきたところでようやく視線を外してくれた。ふぅ……命拾いした……
俺達が降り立った小体育館程の研究所には、背丈を超える円柱形のガラスやプラスチック容器がずらぁーと複数並べられていた。「コロニーレーザーみたーい」というロナと「なにそれ?」と訊ねるセイナの後ろから俺がついて行くと、容器の横に置かれた一つのPCの画面が目に入った。
『神器エネルギー変換』
よく分からない数値やデータの中で目を引くその単語に、ここが本当に神器の研究所だということを再確認した。
腕よりも太いケーブルを跨ぎながら、ようやく壁際にある一番大きな円柱形容器の前に来ると、そこに一人の小太りな男が立っていた。
関心関心……と呟くロナ。
バオと入れ替わって工場を調査していただけあって、どうやら神器の存在についても知っていたらしい。
「どうしてこんなところで雷神トールの神器を研究しているの?」
魔術が広く知れ渡った現代でも、神の加護や神器は未だ多くの人が知ることのない技術であり、専門的な研究所が存在することなどまずあり得ない。
最もなセイナの疑問、ロナはらしくない様子でうーんと難しい声を上げた。
「雷神トールの神器がここに運ばれてきた経緯、理由については詳しく調べることができなかったんだよね……分かったのは、ここは政府が極秘に認可している武器工場で、中国と秘密裏に貿易をしているってこと」
やっぱりか……
思っていた通り、このベトナムと中国の境界線で二国は秘密裏に違法交易をしていた。日本で言う外為法に引っかかる貿易……世間に知れ渡れば国際問題に発展する大問題だ。
と思う俺とセイナの心を先読みしたかのように、ロナはやれやれと半ば呆れた様子で、
「まーロナ達がそれを指摘したところで、領地侵犯で先に捕まるけどね……あとは、ボブ・……えーと、セイナ達が言うチャップリンが技術提供という形でここの所長をしていること。最後にチャップリンは、政府にも秘密でこの研究所を作成し、神器についての様々なデータを収集しているということ……本当ならあと二日掛けてここを調べてから、神器を盗んでトンズラこくつもりだったんだけど……思いのほか二人の救出が早かったからロナちゃんびっくりしちゃった……でも二人がチャップリンの気を引いてくれたおかげで、こっちはスムーズに済んだから良かったよ」
するとロナは急に「やーと着いた」と言いながら急に立ち止まった。
ロナが立ち止まったのは……俺とセイナがさっき雷神トールの神器を見つけた鉄サッシの場所だった。
「研究所は外部と完全に隔離された構造になっていて、表の人間とは基本連絡は取らない……その上下を行き来するのは所長であるチャップリンとここのNO.2のバオだけなの」
ロナが鉄サッシの横で背中を地につける駄々っ子のようなポーズ取る。両手をブリッジのように鉄サッシとは反対側の壁につけて、バネの要領で両脚を突き出す変則ドロップキック繰り出し、ダクトの鉄サッシ部分を吹き飛ばした。
「なるほど……そういう事か……」
────ガシャンガシャンッ!!と神器研究用の機材の上に落ちた鉄サッシがけたたましい音を立てる中、ダクト外の景色を見た俺は、ロナが言わんとしていたことを理解して小さく頷いていた。
研究所はもぬけの殻になっていた。
あれだけいた研究者達の姿は無く、警報音すら鳴っていない研究所から聞こえてくるのは、機材が発する駆動音だけだった。
「今頃全員、牢屋に閉じ込められた状態で騒いでるんじゃないかな?さぁさぁ!あっしがミーティアスレッドで支えるんでぇ、セイナさんお先どーぞ」
ふざけた様子のロナにセイナは何かもの言いたげな眼を向けつつも、言われた通り隕石の糸でダクトからゆっくりと、十メートル程下の研究所に降りていく。
「ささ!フォルテさんもどうぞ!」
セイナが降りたのを確認してから仰々しくそう告げるロナ。
「……ちょっと聞いていいか?」
普段の様子とは変わらない……体を装っているロナに、ダクトから足を投げ出した状態で俺はそう切り出していた。
「あれは本当に作り物だったのか……?」
「……な、何のことかな?」
少し、ほんの少しだけ焦ったようなロナが、あくまで平静を保ったままそう返してきた。
「……」
背中越しのその反応に、全てを悟ってしまった俺は眼を伏せる。なんて声をかけるべきか見つからない……
それでも口を開こうとした俺に、ロナが突然────
「止めてよね」
彼女にしては珍しく、低く力が籠った……ロアのような声だった。
「それだけは言わないで……その言葉は、ロナの決意を踏みにじる行為だよ……フォルテ……」
きっとそれは、ロナなりの強がりであり、優しさでもあったのだろう。
いつも犬猫の仲のセイナに同情させることを嫌がった、彼女なりの優しいウソ。
すると突然……小さな両手が俺の背中にしがみ付いて、その間にロナがおでこをぶつけてきた。
その身体は小さく震えていた────怖かっただろうな……あの映像に映っていたロナは恐怖で泣いていた。俺は……どうやら取り返しのつかないをさせてしまったらしい。
悔やむ俺の背で、声を上擦らせたロナが鼻を啜る。
「まさか……ロナちゃんが一番お気にのランジェリーをバオに履かせることになるなんて……」
「…………はぁ?ランジェリー?」
思いもしなかった斜め上の返答に、俺は聞き返してしまった。
「だってぇ……あの映像を取るにはロナちゃんの下着使わないとバレちゃうじゃん……」
「バレるも何も、あの映像は本物なんじゃ……」
振り返った先、背中にしがみ付いていたロナはキョトンと首を傾げた。
「確かにネットからの合成は嘘、そもそもここネット繋がらないし……仕方ないからバオと入れ替わった状態で映像を撮ったの……声はロナが両方出せるから問題ないとして、服装は完全に整えてないとバレるから苦渋の決断だったよ……そ・の・か・わ・り……」
背後でロナは戦闘服のズボンの間に指を入れ、片側を太腿の付け根まで下げた。
急に何やってんの!?
「ほら……見て?ロナちゃん今はこの服の下には何も付けてないんだぁ……」
真っ白な肌がダクトの暗がりの中で怪しく光っている。立体的な鼠径部に陰影が掛かる様子に、男である俺の眼は自然と釘付けになってしまう。
「や、止めろってッ……!!」
妖艶な笑みを浮かべながら、さらにズボンを下げようとしていたロナの手を俺が掴むと、この状況を知らないセイナが下から訝し気な顔でこっちを見上げていた。
ここでのやり取りがもしもセイナに知られたら、俺はきっとこの工場の溶湯に捨てられるだろう……そうならないためにも、ロナの大事な部分からは眼を逸らして一目散にダクトから降りていく。
「……全く、ダーリンはいつも優しいんだから……こうでもしないとずっと気にするでしょ……」
足元をふら付かせながら、どこか忙しなく降りた俺にセイナが、
「何してたの?」
と何故か夫の浮気を疑う妻のような睨みを利かせてきたので、
「べ、別に……」
眼を合わせたら絶対何か言われる……!
俺は脂汗を額に滲ませながらも、明後日の方を向いて口笛混じりに答える。
詰め寄るセイナがジーと眼からレーザーを飛ばしてくる横に「おっまたせ~!さぁいこっか!」とロナが降りてきたところでようやく視線を外してくれた。ふぅ……命拾いした……
俺達が降り立った小体育館程の研究所には、背丈を超える円柱形のガラスやプラスチック容器がずらぁーと複数並べられていた。「コロニーレーザーみたーい」というロナと「なにそれ?」と訊ねるセイナの後ろから俺がついて行くと、容器の横に置かれた一つのPCの画面が目に入った。
『神器エネルギー変換』
よく分からない数値やデータの中で目を引くその単語に、ここが本当に神器の研究所だということを再確認した。
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