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揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》
揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》24
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アノニマス、英語で匿名の意味合いを持つこの組織は、規模、拠点といった全ての情報が謎に包まれたハッカー組織である。
その活動内容は大きいものでは政府組織やテロ組織などの大規模グループに対するハッカー攻撃、小さいものではイジメで自殺した子供のためにその加害者を探したり、何かしらの迷惑行為を繰り返す人物をネットで晒したりとその活動目的はよく分かっていない。
「大統領公認って一体どういうことよ……?それに本来アノニマスってリーダーが決まってない匿名集団みたいなものじゃないの……?」
アタシは自分のブルーサファイアの瞳をパチパチさせてフォルテとロナに尋ねた。
「まあ表上は大統領が公認していないから世間一般的には非公認ってことになっているんだけどね……元々はロナが子供の時、独学でPCの作りとインターネットの使い方を覚えた時に何となく作った組織なんだよ。その時にロナはちょっと色々あってフォルテたちのS.Tに引き抜かれたんだよね……」
頬を指先で掻きながら視線を外して自嘲気味に笑ったロナ。色々あったというところはどうやら詳しく話したくないらしい……
「引き抜いた時は俺達も知らなかったんだ……まさかこんな小さな少女がアノニマスの原型を作ったとはな……だから俺達はその組織を上手く有効活用できないかという考えに至ったことが大統領公認組織の先駆けになったんだ」
そんなロナの横でフォルテが補足説明を加えてきたが……
とてもアタシには信じられない話しだ。
そもそも独学でPCの構造やインターネットをマスターできるのだろうか……?
「むむ……その顔はさてはセイナ信じてないでしょ……?」
「信じろって言われても……CIAの副長官でアノニマスのリーダーって言われて、はい、そうですかって誰が信じられるのよ……?」
口を膨らませてフグのように怒るロナにアタシはそう言って肩を竦める。
「じゃあ、ロナの実力を信じてもらえるようにちょっと面白いことをしてあげる」
「面白いこと……?」
「うん、ちょっとスマートフォン貸して」
そう言って右手をこちらに差し出してきたロナにアタシは一瞬躊躇したが、フォルテが「大丈夫だ」と言ってきたのでスマートフォンを取り出して素直に渡した。
するとロナは自分のスマートフォンを取り出して目の前のテーブルの上にその二つ置いた。
両方の端末の画面をオンにするが、アタシのスマートフォンはロックが入っていてパスワードを入力しないと開くことはできない。ロナはそんなことお構いなしに自分の端末の方を何やら操作していた。
今時のスマートフォンは携帯電話ではなく、最早小さなPCと言っても過言ではない。
「よし、開いたよー」
「相変わらず早いな……」
そのためにロックをするのは必然であり、うっかり落として中身を見られるなんてしたら大変だ。アタシが端末内に保存してある誰にも見られてはいけない画像……じゃなくて大切な情報が他人に知られるようなことがあっては……え……?
「うひょ~!!これは凄いな~!これ見てよフォルテ~」
そう言ってロナは席に座ったまま足をバタつかせてケラケラと楽しそうに笑った。
その手にはアタシのスマートフォンが握られていた。
この短時間でロナはあろうことかアタシのスマートフォンのロックを解除したらしい……
ということは────
「……ッ!!」
それを見た瞬間アタシは脳の反応速度よりも早く動き出していた。
まずは、情報拡散を阻止。
「どれどれ────ぎゃぁぁぁぁッ!?」
アタシは左手の人差し指と中指でフォルテの右眼に鋭い目潰しを繰り出した。
2、3㎝程指が食い込んだ右眼を抑えてフォルテが転げまわっている隙に今度は悪の根源……データ破壊を行おうとする。
「とぉっ!!」
アタシが気絶させようと振り払った廻し蹴りをロナは軽々躱してから、肉薄してきたアタシの額に片手を置いて遠ざけようとする。
その間にも片手でアタシの端末を操作し、画面を眺めながらロナが呟く。
「おほ~!まさかセイナちゃんにこんな……こんな過激な趣味がお有りなんて……」
「返しなさいアタシのスマートフォンッ!それにどこが過激よッ!?勝手なこと言わないでッ!」
過激といった言葉に一瞬反応したフォルテに強烈なフットスタンプを叩き込んでからロナからスマートフォンを奪おうとするが、巧みな位置取りで端末をキープするロナから奪うことができない。
「ロナにかかればこんな簡単なロックを解除するなんてお茶の子さいさいですよ~解除するだけじゃなくて通話記録や録音に周囲の音まで聞けちゃうんだから~」
「お願い……返して……」
「じゃあロナの実力は認めてくれたら返してあげるよ」
涙目で懇願するアタシにいじめっ子のような笑みを浮かべたロナ。
アタシは悔しさと羞恥の気持ちを押し殺してから小さく────
「分かった……認めるから……だからお願い……返して……」
「よろしい~はいどうぞ!」
アタシはロナからスマートフォンをむしり取って自分の胸の前で大事に抱えた。
「今見たことを誰かに話したら殺す……必ず殺すから……!」
「おお~怖い怖い……そんな視線向けられたらロナちゃんゾクゾクしちゃうな~」
大して怖がってない様子で自分の両肩を抱いてニヤニヤしているロナをアタシはこれでもかと思うくらいにキッと顔を睨みつけた……
やっぱりこいつ嫌い……!!
「いたたた……あーまあ今見た通りロナは人並み外れたハック能力を持ち合わせているんだ……その才を買われて、大統領からCIAという国の諜報機関の仕事を与えられ、それをアノニマスという不特定多数の集まりからなる集団を上手く有効活用しながら情報収取をすることによってロナは今の仕事をこなしているんだ……」
フォルテが「大事な俺の片目を突くなよ……」とぼやきながら立ち上がっていた。
それに対しアタシはフンッと不機嫌を露わにフォルテから顔を背けた。
全く、アタシの情報を知ろうとした報いよ……それに何が大丈夫よ……全然大丈夫じゃなかったじゃない……!
「話がだいぶ逸れちまったが、そのアノニマスのいざこざってのはなんなんだ?」
フォルテがロナにそう尋ねた。
「フォルテたちが来る数週間前にホワイトハウスの前に片手で持てるくらいの妙なケースが一つ落ちていたんだよ。最初は前にも置いてあった爆弾か何かと思ったんだけど、鉄製のひどく頑丈なそのケースを厳重に扱いながら中身を確認してみると、中に入っていたのは時限式爆弾でも魔術式爆弾でもなく鉄と革で作られた手袋のようなものだった。それをロナがここで簡単に解析してみるとそれが神器であるヤールングレイプルであることが何となくわかったんだよ」
「そのケースを置いていった人物は見つかっていないのか……?」
ロナの言葉にフォルテが顎に手を置いた考える仕草を取って尋ねた。
てか軽くスルーしてるけど、前にも爆弾が置いてあったことにフォルテが触れない辺り、ホワイトハウスでは割と日常茶飯事のことらしい……
流石武器大国アメリカ、時限爆弾ならまだしも、上手くやれば10階建てのビルを軽く吹き飛ばせる威力を誇る魔術を込める爆弾、魔術式爆弾を仕掛けるとは……アタシ達イギリスとは大違いね……
「ダメ、指紋とかいろいろ調べたけど何も出てこなかった。ケースが置かれた場所も監視カメラには映ってたんだけど、これを見て……」
そう言ってロナはさっき使ってた自分の端末を取り出してアタシ達に画面を見せた。
そこには、ホワイトハウス前を映した監視カメラの映像が流れていた。
その一分ほどの動画を見たアタシ達は驚愕した。
「突然箱が……!」
「出てきたわね……」
誰もいない朝のホワイトハウスの前に、何の前触れもなくポンッと手品でも使ったかのように白い箱が地面に現れたのである。
「恐ろしく速い配達……ロナじゃなくても見逃しちゃうでしょ?コマ送りしても全然分からない……」
両手を上げて肩を竦めたロナがやれやれといった様子でさらに続けた。
「仕方ないから、ここではなく別の施設で詳しい調査をしようという話になったんだけど……その運搬中を狙われて……神器をどこかに運び去ってしまったの」
「ウソッ!?じゃあその神器は────!」
「セイナ落ち着けッ……!その神器はロナ達が持っているって話だったろ。最後まで話しを聞こう」
「ご、ごめん……」
フォルテに諭されてアタシは押し黙った。
さっきからアタシは自分を抑えられずにいた。
それが分かっていても、どうしても気が逸ってしまう。
手の届きそうな位置に念願の神器の一つがあるんだから仕方ない。
まるで腹ペコの犬が餌の前でお預けを食らっているような気分だわ……
ロナがそんなアタシをちらりと見てから再び話し始めた。
「流石のロナでも逃げた連中をこの広大なアメリカの地の中から探すというのは結構骨が折れる作業だったんだけど、偶然そのブツを盗んだ連中はとある組織に属していたの……」
「アノニマスの構成員か……」
フォルテの言葉にロナが頷いた。
「うん、セイナには伝えてなかったら説明するけど。アノニマスは基本誰でもなることのできる匿名組織というのが本来のコンセプトだけど、一応その中でも組織運営のための優秀なハッカーをロナが選抜しているの。今回はその構成員のうちの数名がその政府の極秘情報をキャッチして個人的に金で雇った集団を利用して凶行に及んだというわけ、そして偶然そのことに気づいたアタシのおかげで連中が根城にしているフロリダの一軒家を見つけてなんとか回収することができたんだけどね……」
「じゃあその盗んだ連中と神器はどうしたの……?」
ロナの言葉に今度はアタシが質問した。
「盗んだ連中は全員殺さずに捕らえて情報を吐かせたよ。でも分かったことは金で目がくらんだ連中が勝手にやったということと、それを依頼したのがあのヨルムンガンドとかいう組織だったということだけ……結局今回の件にヨルムンガンドが関与していたこと以外で、組織につながる情報は何も入らなかったんだよね……で、その肝心のブツの方は、このホワイトハウスから直ぐ近くにあるスミソニアン博物館の地下に保管してあるよ」
その活動内容は大きいものでは政府組織やテロ組織などの大規模グループに対するハッカー攻撃、小さいものではイジメで自殺した子供のためにその加害者を探したり、何かしらの迷惑行為を繰り返す人物をネットで晒したりとその活動目的はよく分かっていない。
「大統領公認って一体どういうことよ……?それに本来アノニマスってリーダーが決まってない匿名集団みたいなものじゃないの……?」
アタシは自分のブルーサファイアの瞳をパチパチさせてフォルテとロナに尋ねた。
「まあ表上は大統領が公認していないから世間一般的には非公認ってことになっているんだけどね……元々はロナが子供の時、独学でPCの作りとインターネットの使い方を覚えた時に何となく作った組織なんだよ。その時にロナはちょっと色々あってフォルテたちのS.Tに引き抜かれたんだよね……」
頬を指先で掻きながら視線を外して自嘲気味に笑ったロナ。色々あったというところはどうやら詳しく話したくないらしい……
「引き抜いた時は俺達も知らなかったんだ……まさかこんな小さな少女がアノニマスの原型を作ったとはな……だから俺達はその組織を上手く有効活用できないかという考えに至ったことが大統領公認組織の先駆けになったんだ」
そんなロナの横でフォルテが補足説明を加えてきたが……
とてもアタシには信じられない話しだ。
そもそも独学でPCの構造やインターネットをマスターできるのだろうか……?
「むむ……その顔はさてはセイナ信じてないでしょ……?」
「信じろって言われても……CIAの副長官でアノニマスのリーダーって言われて、はい、そうですかって誰が信じられるのよ……?」
口を膨らませてフグのように怒るロナにアタシはそう言って肩を竦める。
「じゃあ、ロナの実力を信じてもらえるようにちょっと面白いことをしてあげる」
「面白いこと……?」
「うん、ちょっとスマートフォン貸して」
そう言って右手をこちらに差し出してきたロナにアタシは一瞬躊躇したが、フォルテが「大丈夫だ」と言ってきたのでスマートフォンを取り出して素直に渡した。
するとロナは自分のスマートフォンを取り出して目の前のテーブルの上にその二つ置いた。
両方の端末の画面をオンにするが、アタシのスマートフォンはロックが入っていてパスワードを入力しないと開くことはできない。ロナはそんなことお構いなしに自分の端末の方を何やら操作していた。
今時のスマートフォンは携帯電話ではなく、最早小さなPCと言っても過言ではない。
「よし、開いたよー」
「相変わらず早いな……」
そのためにロックをするのは必然であり、うっかり落として中身を見られるなんてしたら大変だ。アタシが端末内に保存してある誰にも見られてはいけない画像……じゃなくて大切な情報が他人に知られるようなことがあっては……え……?
「うひょ~!!これは凄いな~!これ見てよフォルテ~」
そう言ってロナは席に座ったまま足をバタつかせてケラケラと楽しそうに笑った。
その手にはアタシのスマートフォンが握られていた。
この短時間でロナはあろうことかアタシのスマートフォンのロックを解除したらしい……
ということは────
「……ッ!!」
それを見た瞬間アタシは脳の反応速度よりも早く動き出していた。
まずは、情報拡散を阻止。
「どれどれ────ぎゃぁぁぁぁッ!?」
アタシは左手の人差し指と中指でフォルテの右眼に鋭い目潰しを繰り出した。
2、3㎝程指が食い込んだ右眼を抑えてフォルテが転げまわっている隙に今度は悪の根源……データ破壊を行おうとする。
「とぉっ!!」
アタシが気絶させようと振り払った廻し蹴りをロナは軽々躱してから、肉薄してきたアタシの額に片手を置いて遠ざけようとする。
その間にも片手でアタシの端末を操作し、画面を眺めながらロナが呟く。
「おほ~!まさかセイナちゃんにこんな……こんな過激な趣味がお有りなんて……」
「返しなさいアタシのスマートフォンッ!それにどこが過激よッ!?勝手なこと言わないでッ!」
過激といった言葉に一瞬反応したフォルテに強烈なフットスタンプを叩き込んでからロナからスマートフォンを奪おうとするが、巧みな位置取りで端末をキープするロナから奪うことができない。
「ロナにかかればこんな簡単なロックを解除するなんてお茶の子さいさいですよ~解除するだけじゃなくて通話記録や録音に周囲の音まで聞けちゃうんだから~」
「お願い……返して……」
「じゃあロナの実力は認めてくれたら返してあげるよ」
涙目で懇願するアタシにいじめっ子のような笑みを浮かべたロナ。
アタシは悔しさと羞恥の気持ちを押し殺してから小さく────
「分かった……認めるから……だからお願い……返して……」
「よろしい~はいどうぞ!」
アタシはロナからスマートフォンをむしり取って自分の胸の前で大事に抱えた。
「今見たことを誰かに話したら殺す……必ず殺すから……!」
「おお~怖い怖い……そんな視線向けられたらロナちゃんゾクゾクしちゃうな~」
大して怖がってない様子で自分の両肩を抱いてニヤニヤしているロナをアタシはこれでもかと思うくらいにキッと顔を睨みつけた……
やっぱりこいつ嫌い……!!
「いたたた……あーまあ今見た通りロナは人並み外れたハック能力を持ち合わせているんだ……その才を買われて、大統領からCIAという国の諜報機関の仕事を与えられ、それをアノニマスという不特定多数の集まりからなる集団を上手く有効活用しながら情報収取をすることによってロナは今の仕事をこなしているんだ……」
フォルテが「大事な俺の片目を突くなよ……」とぼやきながら立ち上がっていた。
それに対しアタシはフンッと不機嫌を露わにフォルテから顔を背けた。
全く、アタシの情報を知ろうとした報いよ……それに何が大丈夫よ……全然大丈夫じゃなかったじゃない……!
「話がだいぶ逸れちまったが、そのアノニマスのいざこざってのはなんなんだ?」
フォルテがロナにそう尋ねた。
「フォルテたちが来る数週間前にホワイトハウスの前に片手で持てるくらいの妙なケースが一つ落ちていたんだよ。最初は前にも置いてあった爆弾か何かと思ったんだけど、鉄製のひどく頑丈なそのケースを厳重に扱いながら中身を確認してみると、中に入っていたのは時限式爆弾でも魔術式爆弾でもなく鉄と革で作られた手袋のようなものだった。それをロナがここで簡単に解析してみるとそれが神器であるヤールングレイプルであることが何となくわかったんだよ」
「そのケースを置いていった人物は見つかっていないのか……?」
ロナの言葉にフォルテが顎に手を置いた考える仕草を取って尋ねた。
てか軽くスルーしてるけど、前にも爆弾が置いてあったことにフォルテが触れない辺り、ホワイトハウスでは割と日常茶飯事のことらしい……
流石武器大国アメリカ、時限爆弾ならまだしも、上手くやれば10階建てのビルを軽く吹き飛ばせる威力を誇る魔術を込める爆弾、魔術式爆弾を仕掛けるとは……アタシ達イギリスとは大違いね……
「ダメ、指紋とかいろいろ調べたけど何も出てこなかった。ケースが置かれた場所も監視カメラには映ってたんだけど、これを見て……」
そう言ってロナはさっき使ってた自分の端末を取り出してアタシ達に画面を見せた。
そこには、ホワイトハウス前を映した監視カメラの映像が流れていた。
その一分ほどの動画を見たアタシ達は驚愕した。
「突然箱が……!」
「出てきたわね……」
誰もいない朝のホワイトハウスの前に、何の前触れもなくポンッと手品でも使ったかのように白い箱が地面に現れたのである。
「恐ろしく速い配達……ロナじゃなくても見逃しちゃうでしょ?コマ送りしても全然分からない……」
両手を上げて肩を竦めたロナがやれやれといった様子でさらに続けた。
「仕方ないから、ここではなく別の施設で詳しい調査をしようという話になったんだけど……その運搬中を狙われて……神器をどこかに運び去ってしまったの」
「ウソッ!?じゃあその神器は────!」
「セイナ落ち着けッ……!その神器はロナ達が持っているって話だったろ。最後まで話しを聞こう」
「ご、ごめん……」
フォルテに諭されてアタシは押し黙った。
さっきからアタシは自分を抑えられずにいた。
それが分かっていても、どうしても気が逸ってしまう。
手の届きそうな位置に念願の神器の一つがあるんだから仕方ない。
まるで腹ペコの犬が餌の前でお預けを食らっているような気分だわ……
ロナがそんなアタシをちらりと見てから再び話し始めた。
「流石のロナでも逃げた連中をこの広大なアメリカの地の中から探すというのは結構骨が折れる作業だったんだけど、偶然そのブツを盗んだ連中はとある組織に属していたの……」
「アノニマスの構成員か……」
フォルテの言葉にロナが頷いた。
「うん、セイナには伝えてなかったら説明するけど。アノニマスは基本誰でもなることのできる匿名組織というのが本来のコンセプトだけど、一応その中でも組織運営のための優秀なハッカーをロナが選抜しているの。今回はその構成員のうちの数名がその政府の極秘情報をキャッチして個人的に金で雇った集団を利用して凶行に及んだというわけ、そして偶然そのことに気づいたアタシのおかげで連中が根城にしているフロリダの一軒家を見つけてなんとか回収することができたんだけどね……」
「じゃあその盗んだ連中と神器はどうしたの……?」
ロナの言葉に今度はアタシが質問した。
「盗んだ連中は全員殺さずに捕らえて情報を吐かせたよ。でも分かったことは金で目がくらんだ連中が勝手にやったということと、それを依頼したのがあのヨルムンガンドとかいう組織だったということだけ……結局今回の件にヨルムンガンドが関与していたこと以外で、組織につながる情報は何も入らなかったんだよね……で、その肝心のブツの方は、このホワイトハウスから直ぐ近くにあるスミソニアン博物館の地下に保管してあるよ」
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