37 / 361
紫電の王《バイオレットブリッツ》
紫電の王《バイオレットブリッツ》21
しおりを挟む
驚きを隠せないアタシを前にベルゼはさらに腹を抱えて地面を転げまわっていた。
「それをよ…!同年代だと思って接してると思ったら…!どうもおかしくてよ…!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!?じゃあフォルテは百年前から今日まであの姿のまま生きてきたってことなのッ!?」
衝撃の事実を前に思わずアタシは大声でそう聞いてしまう。
魔術がいくら発展していても不老または不死と言った類は聞いたことがない。
「そうさッ!これが「黙示録の瞳」の三つ目の呪い、その眼を所持したものは肉体はおろか、精神も所持した瞬間のもので固定されるという呪いが発動する。所持者が生きれば生きるほど孤独になっていく、他の人間との時間のズレから関係を壊していく呪いらしいな、まあさっきも言ったとおり、考え方によっては永遠の若さを手に入れることができると捉えることもできなくはないけどよ」
ベルゼは少し楽し気な様子でそう言ってから呆気にとられていたアタシを一目見てから一呼吸置き
「それに、魔眼所持者の中には千年以上生きている奴も何人かいる。それに比べたら百歳程度しか生きていないフォルテなんてまだ若いほうだしな」
と遠くを眺めながらそう付け加えた。
「じゃあ、アンタは幾つなのよ…?」
「俺か?」
アタシは衝撃の事実に理解が追い付かず茫然としていた意識の中で無意識にそう聞いた。
するとベルゼはニヒッと笑ってから答えようとした瞬間、廃工場の下で再び爆発音が響いてその声はかき消され、アタシとベルゼは同時にその方角を見た。
さっきから廃工場の外で断続的に爆発音や銃声がくぐもった音で聞こえてはいたのだが、会話を阻害するほど大きいものではなかった。それが時間が経つごとに音がだんだん大きくなっていき、遂に声をかき消すレベルの音が聞こえだしたからだ。
ベルゼも爆発音を聞いて同じことを思ったのか。
「押され始めてきたか…」
と独り言を呟いた。
そんなベルゼには反応せず、アタシは爆発音の向こうにいるであろうフォルテのことを考えていた。
もし本当にベルゼが言っていることが嘘ではなくフォルテが百歳だとしたら…今から百年前の1900年代初頭、第一次世界大戦が勃発した時代からあの姿のまま今日まで生きてきたということになる。正直、今でも信じることができない。
ただの東洋人の青年だと思っていた人物が、死んだ曾お祖父様や曾お祖母様より年上などと誰が信じることができるのかしら…
確かに世話焼きな性格はアタシと同年代の青年にしては年寄り臭いなと少しだけ思っていたけど、まさか本当におじいちゃんだったとは…
と、そう思った時、アタシはふとヤクザ狩りあとの帰り道でのフォルテの言葉を思い出していた。
「お前は仮にも王族の血を引く幼い少女なんだから、そんな覚悟を背負う必要なんて……」
アタシは軍隊に入った時から人を殺めるという覚悟は常に持っていた。覚悟することを決意をしたと思っていた。今でもそれは変わらないし、これからも変わっていくことのないものだとアタシは思う。
だけどもし仮に、仮によ…本当にあのフォルテが百歳以上生きていたとしたら…
決してアタシは軽い気持ちで覚悟を決めていたわけではない…
でも急にアイツの言っていた「覚悟」という言葉が、アタシに今まで以上に重くのしかかってきたような、そんな気がした。
目の前の爆発に怯むことなく、俺は持っていたHK417アサルトライフルを構えてセミオートで撃つ。
7.62×51㎜ NATO弾が爆発によって上がった土煙の中を突き抜けていく。
「おっとッ!」
坂の頂上、十二時の方角からこちらに向かってC4爆弾を投げて起爆させた細長い人影が銃弾を躱しながら近くに生えていた木の裏へと消える。
それを「悪魔の紅い瞳」で強化した視力で確認した俺は、そいつと同じようにサイドステップしながらすぐ横にあった木の裏へと素早く隠れた。その瞬間、俺が数瞬前までいた足元目掛けて空中からサブマシンガンの弾が地面に降り注いだ。飛び散った土がパラパラと俺に降り注ぎ、顔を着弾位置から背ける。
遠隔式戦闘ドローンに搭載された9×19㎜パラベラム、H&K MP5ドイツ製サブマシンガンに使われている銃弾が空中から地面に撃ち込まれたのを見た俺は隠れた木の裏で目を閉じ、聴覚に意識を集中させる。
能力を使用して強化した聴力を頼りに辺りを捜索する。今の俺なら半径100m以内の音を全て感知することくらいはできるはずだ。
ただし部分的な能力使用は集中力が必要になってくるため使用中は無防備になってしまうけどな。
その聴力を使って足音やさっきの爆発で燃えている場所の音などは無視して、空中で空気の流れを乱している音を聞く。
鳥のような生物的動きではない、時にバックしたり急上昇急降下する高速かつ変則的に動き回る物体。
頭上にハエのように動き回っているのが一つ、あとは十二時の方角100m離れた先にホバリングしているのが一つ。
数を確認した俺は目を開いた。この間3秒。そのまま木の裏から飛び出し、夜空の暗闇目掛けてHK417を撃つ。
目で確認せず、耳だけで敵を感知して撃った銃弾は見事空中で高速移動していた一機の遠隔式戦闘ドローンの四基のプロペラの内の二つを撃ち落とした。方向感覚を失ったドローン一機はそのまま錐揉みしながら地面へと落下していった。
今日は静かな夜で良かったよ…
おかげで消音式のプロペラ音でも丸聞こえだぜッ!
「嘘だろッ!」
ドローンが小さな爆発を起こした瞬間、俺から見て十一時の方角にある遠くの木の裏から声がしたので適当に位置を探るように銃弾を撒き散らす。
13、12、11
弾数を数えながらも無表情のまま銃を撃っていると、今度は一時の方角から何かが高速で駆け寄ってくるのを感じて俺は咄嗟に銃を向け、音の聞こえる場所目掛けて銃弾を放つ。
「うぉぉおおおお!!」
その動くイノシシのような何かは、木の陰と夜の暗闇を巧みに利用しながら銃弾を躱しつつこちらに向かって全速力で近づいてくる。傾斜のついた舗装されていない山の斜面をあそこまで軽快に走れるのは並の人間ではできない動きだ。
そう思っていると、そのイノシシのようなデブは勢いを殺さずに茂みからこちらに向かって空中に躍り出た。
4、3
放った銃弾が全て躱された俺はその飛び出してきたデブに向けてHK417アサルトライフルの銃口を向けた。
二十発入りの弾倉には残り二発。一発でもあれば空中にいる奴に銃弾を当てるなど造作もない。
デブが顔につけていた暗視スコープのレンズが月明かりで反射し、空中に緑の尾を引く。時間の流れが一瞬だけゆっくりと感じる中、俺は引き金に指をかけた。
「ッッ!」
だが、トリガーにかけた指を俺が引く前に、前方十二時の方角の頭上から何かが空気の流れを乱すような違和感を感じた。HK417を右手一本で構え、離した左手で左足のレッグホルスターに装備されたHK45を抜きながらセーフティーを解除し、その場所目掛けて高速で連射した。
三発目の銃弾が何かをかすめた瞬間、頭上7~8m位の位置で強烈な光が俺とデブに降り注いだ。
空中から投擲されたm84スタングレネードだ。
俺がセイナにも使った非殺傷用グレネードをくらいながらも、俺は右手一本で持ったHK417アサルトライフルのトリガーを引こうとしたが。
「アイヤッ!!」
空中にいたデブが左足を内から外に振るった内廻し蹴りで銃口を明後日の方角に弾きながら俺に肉薄してきた。
「チッ……」
俺は閃光で目が見えない中、弾かれた右手とは反対の左手で持ったHK45を無造作にデブに向けた。
「フンッ!」
銃口が額に当たった感覚がしたが、トリガーを引く前にデブに左手の掌底で銃口を弾かれてしまう。
空中の蹴りから流れるような掌底、そこからさらに勢いを乗せた右足の後ろ廻し蹴りを繰り出してきた。
水の様に流れるカンフーの連撃。さらにそのデブは単に太っているのではなく、おそらく力士と同じで脂肪に見えている部分の大半が筋肉なのだろう。一撃一撃がいちいち重い。強化状態でなければ銃を手放してしまったかもしれない。そう思った俺は両手に銃を持ったままデブの攻撃を受けずに上体を後ろに反らし、バク宙しながらデブから距離を取りつつ左手に持ったHK45をデブに向けて連射した。
「クッ!」
フラッシュが晴れていく中、そのデブはすぐ近くの木の裏に身を隠しながら俺から距離を取る。
「あの野郎ッ!目を閉じたまま俺の攻撃を避け切りやがった…!」
デブが木の陰を利用しながら姿を眩ませる瞬間、そう呟いた声が聞こえた。
そんなデブを追わせないようにと、また懲りずに遠隔式戦闘ドローンが100m以上離れた上空から俺の頭目掛けて装備されたライフルで.338ラプアマグナム弾を放ってきた。
「はぁ…」
首だけでそれを躱した俺はため息をついた。
全く埒が明かねえな。
夜の暗闇をものともしない、見事な三人の連携を前に俺は少しだけ苦戦していた。
家を出た時刻から体感で今は20時55分。約束の時刻まで残りの時間まであと5分しかない。
本当はもう少し力を残しておきたかったが仕方ない…
「ふぅ……」
俺はゆっくりと息を吐きながら右眼の魔眼に力を込めた。
右眼がさらに紅い光を放ち、体中に力が湧いてくるのを感じる。
腕や足の感覚がさっきよりも軽くなっていく。
七倍、常人の域を超えるその感覚に俺は思わず口角が吊り上がった。
「さて、とっとと終わらせるか…」
暗闇の中に潜む敵をまるで銃に付けたレーザーサイトのように紅い瞳で狙いを定めながら俺は呟いた。
「それをよ…!同年代だと思って接してると思ったら…!どうもおかしくてよ…!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!?じゃあフォルテは百年前から今日まであの姿のまま生きてきたってことなのッ!?」
衝撃の事実を前に思わずアタシは大声でそう聞いてしまう。
魔術がいくら発展していても不老または不死と言った類は聞いたことがない。
「そうさッ!これが「黙示録の瞳」の三つ目の呪い、その眼を所持したものは肉体はおろか、精神も所持した瞬間のもので固定されるという呪いが発動する。所持者が生きれば生きるほど孤独になっていく、他の人間との時間のズレから関係を壊していく呪いらしいな、まあさっきも言ったとおり、考え方によっては永遠の若さを手に入れることができると捉えることもできなくはないけどよ」
ベルゼは少し楽し気な様子でそう言ってから呆気にとられていたアタシを一目見てから一呼吸置き
「それに、魔眼所持者の中には千年以上生きている奴も何人かいる。それに比べたら百歳程度しか生きていないフォルテなんてまだ若いほうだしな」
と遠くを眺めながらそう付け加えた。
「じゃあ、アンタは幾つなのよ…?」
「俺か?」
アタシは衝撃の事実に理解が追い付かず茫然としていた意識の中で無意識にそう聞いた。
するとベルゼはニヒッと笑ってから答えようとした瞬間、廃工場の下で再び爆発音が響いてその声はかき消され、アタシとベルゼは同時にその方角を見た。
さっきから廃工場の外で断続的に爆発音や銃声がくぐもった音で聞こえてはいたのだが、会話を阻害するほど大きいものではなかった。それが時間が経つごとに音がだんだん大きくなっていき、遂に声をかき消すレベルの音が聞こえだしたからだ。
ベルゼも爆発音を聞いて同じことを思ったのか。
「押され始めてきたか…」
と独り言を呟いた。
そんなベルゼには反応せず、アタシは爆発音の向こうにいるであろうフォルテのことを考えていた。
もし本当にベルゼが言っていることが嘘ではなくフォルテが百歳だとしたら…今から百年前の1900年代初頭、第一次世界大戦が勃発した時代からあの姿のまま今日まで生きてきたということになる。正直、今でも信じることができない。
ただの東洋人の青年だと思っていた人物が、死んだ曾お祖父様や曾お祖母様より年上などと誰が信じることができるのかしら…
確かに世話焼きな性格はアタシと同年代の青年にしては年寄り臭いなと少しだけ思っていたけど、まさか本当におじいちゃんだったとは…
と、そう思った時、アタシはふとヤクザ狩りあとの帰り道でのフォルテの言葉を思い出していた。
「お前は仮にも王族の血を引く幼い少女なんだから、そんな覚悟を背負う必要なんて……」
アタシは軍隊に入った時から人を殺めるという覚悟は常に持っていた。覚悟することを決意をしたと思っていた。今でもそれは変わらないし、これからも変わっていくことのないものだとアタシは思う。
だけどもし仮に、仮によ…本当にあのフォルテが百歳以上生きていたとしたら…
決してアタシは軽い気持ちで覚悟を決めていたわけではない…
でも急にアイツの言っていた「覚悟」という言葉が、アタシに今まで以上に重くのしかかってきたような、そんな気がした。
目の前の爆発に怯むことなく、俺は持っていたHK417アサルトライフルを構えてセミオートで撃つ。
7.62×51㎜ NATO弾が爆発によって上がった土煙の中を突き抜けていく。
「おっとッ!」
坂の頂上、十二時の方角からこちらに向かってC4爆弾を投げて起爆させた細長い人影が銃弾を躱しながら近くに生えていた木の裏へと消える。
それを「悪魔の紅い瞳」で強化した視力で確認した俺は、そいつと同じようにサイドステップしながらすぐ横にあった木の裏へと素早く隠れた。その瞬間、俺が数瞬前までいた足元目掛けて空中からサブマシンガンの弾が地面に降り注いだ。飛び散った土がパラパラと俺に降り注ぎ、顔を着弾位置から背ける。
遠隔式戦闘ドローンに搭載された9×19㎜パラベラム、H&K MP5ドイツ製サブマシンガンに使われている銃弾が空中から地面に撃ち込まれたのを見た俺は隠れた木の裏で目を閉じ、聴覚に意識を集中させる。
能力を使用して強化した聴力を頼りに辺りを捜索する。今の俺なら半径100m以内の音を全て感知することくらいはできるはずだ。
ただし部分的な能力使用は集中力が必要になってくるため使用中は無防備になってしまうけどな。
その聴力を使って足音やさっきの爆発で燃えている場所の音などは無視して、空中で空気の流れを乱している音を聞く。
鳥のような生物的動きではない、時にバックしたり急上昇急降下する高速かつ変則的に動き回る物体。
頭上にハエのように動き回っているのが一つ、あとは十二時の方角100m離れた先にホバリングしているのが一つ。
数を確認した俺は目を開いた。この間3秒。そのまま木の裏から飛び出し、夜空の暗闇目掛けてHK417を撃つ。
目で確認せず、耳だけで敵を感知して撃った銃弾は見事空中で高速移動していた一機の遠隔式戦闘ドローンの四基のプロペラの内の二つを撃ち落とした。方向感覚を失ったドローン一機はそのまま錐揉みしながら地面へと落下していった。
今日は静かな夜で良かったよ…
おかげで消音式のプロペラ音でも丸聞こえだぜッ!
「嘘だろッ!」
ドローンが小さな爆発を起こした瞬間、俺から見て十一時の方角にある遠くの木の裏から声がしたので適当に位置を探るように銃弾を撒き散らす。
13、12、11
弾数を数えながらも無表情のまま銃を撃っていると、今度は一時の方角から何かが高速で駆け寄ってくるのを感じて俺は咄嗟に銃を向け、音の聞こえる場所目掛けて銃弾を放つ。
「うぉぉおおおお!!」
その動くイノシシのような何かは、木の陰と夜の暗闇を巧みに利用しながら銃弾を躱しつつこちらに向かって全速力で近づいてくる。傾斜のついた舗装されていない山の斜面をあそこまで軽快に走れるのは並の人間ではできない動きだ。
そう思っていると、そのイノシシのようなデブは勢いを殺さずに茂みからこちらに向かって空中に躍り出た。
4、3
放った銃弾が全て躱された俺はその飛び出してきたデブに向けてHK417アサルトライフルの銃口を向けた。
二十発入りの弾倉には残り二発。一発でもあれば空中にいる奴に銃弾を当てるなど造作もない。
デブが顔につけていた暗視スコープのレンズが月明かりで反射し、空中に緑の尾を引く。時間の流れが一瞬だけゆっくりと感じる中、俺は引き金に指をかけた。
「ッッ!」
だが、トリガーにかけた指を俺が引く前に、前方十二時の方角の頭上から何かが空気の流れを乱すような違和感を感じた。HK417を右手一本で構え、離した左手で左足のレッグホルスターに装備されたHK45を抜きながらセーフティーを解除し、その場所目掛けて高速で連射した。
三発目の銃弾が何かをかすめた瞬間、頭上7~8m位の位置で強烈な光が俺とデブに降り注いだ。
空中から投擲されたm84スタングレネードだ。
俺がセイナにも使った非殺傷用グレネードをくらいながらも、俺は右手一本で持ったHK417アサルトライフルのトリガーを引こうとしたが。
「アイヤッ!!」
空中にいたデブが左足を内から外に振るった内廻し蹴りで銃口を明後日の方角に弾きながら俺に肉薄してきた。
「チッ……」
俺は閃光で目が見えない中、弾かれた右手とは反対の左手で持ったHK45を無造作にデブに向けた。
「フンッ!」
銃口が額に当たった感覚がしたが、トリガーを引く前にデブに左手の掌底で銃口を弾かれてしまう。
空中の蹴りから流れるような掌底、そこからさらに勢いを乗せた右足の後ろ廻し蹴りを繰り出してきた。
水の様に流れるカンフーの連撃。さらにそのデブは単に太っているのではなく、おそらく力士と同じで脂肪に見えている部分の大半が筋肉なのだろう。一撃一撃がいちいち重い。強化状態でなければ銃を手放してしまったかもしれない。そう思った俺は両手に銃を持ったままデブの攻撃を受けずに上体を後ろに反らし、バク宙しながらデブから距離を取りつつ左手に持ったHK45をデブに向けて連射した。
「クッ!」
フラッシュが晴れていく中、そのデブはすぐ近くの木の裏に身を隠しながら俺から距離を取る。
「あの野郎ッ!目を閉じたまま俺の攻撃を避け切りやがった…!」
デブが木の陰を利用しながら姿を眩ませる瞬間、そう呟いた声が聞こえた。
そんなデブを追わせないようにと、また懲りずに遠隔式戦闘ドローンが100m以上離れた上空から俺の頭目掛けて装備されたライフルで.338ラプアマグナム弾を放ってきた。
「はぁ…」
首だけでそれを躱した俺はため息をついた。
全く埒が明かねえな。
夜の暗闇をものともしない、見事な三人の連携を前に俺は少しだけ苦戦していた。
家を出た時刻から体感で今は20時55分。約束の時刻まで残りの時間まであと5分しかない。
本当はもう少し力を残しておきたかったが仕方ない…
「ふぅ……」
俺はゆっくりと息を吐きながら右眼の魔眼に力を込めた。
右眼がさらに紅い光を放ち、体中に力が湧いてくるのを感じる。
腕や足の感覚がさっきよりも軽くなっていく。
七倍、常人の域を超えるその感覚に俺は思わず口角が吊り上がった。
「さて、とっとと終わらせるか…」
暗闇の中に潜む敵をまるで銃に付けたレーザーサイトのように紅い瞳で狙いを定めながら俺は呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる